『ひとり親けんこう白書』第2章心身のケアの実践(中編)セルフケア講座7つのパートの目的
セルフケア講座それぞれのパートの目的
オンラインのセルフケア講座はたったの30分ですが、7つのそれぞれのパートには、一つひとつ、大事な意味がこめられています。順番に説明します。
0.準備
オンライン会議システム(zoom)に入室すると、「ようこそ!」という画面共有されたスライドが参加者を迎えます。参加者は自分のデバイスで「表示名」を「呼ばれたい名前@地域」に変更します。「この講座がオンラインツールに慣れるきっかけになった」という参加者も多く、リモートワークや職場のDX化など働き方の選択肢を広げる一助にもなっています。
1.イントロダクション
「こういう場に参加するのは初めて」という参加者がほとんどで、最初はみんな緊張しています。まずは、笑顔で呼びかけ、ここは安全な場だということを感じとってもらうことが大事です。
2.上半身のストレッチをしながら自己紹介
限られた時間内で、ストレッチの効果を最大限に引き出しながら、一緒に参加しているお互いの存在を感じてもらうのがこの時間の目的。自分もこの場の一員であることを感じてもらうために、ストレッチをしながら、自己紹介をする時間をとっています。
話すことは4つ
1.お住まい 2.お名前 3.子どもの年齢 4.今の体調
住まいや子どもの年齢を言いたくない参加者がいる場合は、もちろんそれを尊重します。強制的にきこえないように「お住まい、お名前、それから、よかったらお子さんの年齢と今の体調を教えてください」というふうに、言い方にも気をつけています。
3.下半身のストレッチ
上半身のストレッチが終わったら、机の上に置いてあったデバイスをフロアに置き直して、下半身のストレッチに入ります。縮こまった筋肉を伸ばすだけでなく、老廃物が溜まりやすい膝関節、股関節をほぐし、血行が良い状態にしていくことを実感してもらえるよう、声かけをしながら進めていきます。
4.深呼吸と瞑想
深呼吸をして、自分の呼吸を観察する習慣がつくと、普段の生活のなかでも「あ、いま、呼吸が浅くなっている」など、自分の呼吸の状態に気づきやすくなります。気づくことができれば、その場で深呼吸をしたり、ストレッチをしたりと、セルフケアができます。
多くの人は、呼吸が浅くなっていたり、体が縮こまっていることに気づくこともできない状態になっています。深呼吸と瞑想は、たったの5分でも実践することで、自分の体への気づきを高める効果があり、それは「自分を大切にする」という感覚にも繋がっていきます。
5.体と心の状態を2~3人でシェア
参加者同士でお話ができる唯一の時間です。ブレイクアウトルーム機能を作って2〜3人のグループでひとり30秒〜1分ほど話します。この時間を「交流」と捉える参加者もいますが、ここでの目的は「交流」ではなく、「自分の体や心の状態に意識をむけ、それを言語化する」こと。「自分の体に対する感度を高める訓練」であることが本当の目的です。他のシングルマザーともっと深い話がしたいな、というニーズに対しては、「グループリフレクション」という対話のプログラムを用意しています。(第3章で紹介)
6.クロージング
ブレイクアウトルームから戻ってきた参加者の表情は明るく、笑顔が増えています。最後に、平日のランチタイムは「残りの1日も頑張りましょう〜」と、週末の早朝は「良い週末を〜」と言って、みんなで笑顔で手を振ってお別れします。それぞれが、笑顔で日常に戻っていくのを想像すると、幸せな気持ちに。「この日本中のどこかに、私以外にもがんばっているシングルマザーがいる」「自分はひとりじゃない」と実感させてくれます。
以上、セルフケア講座7つのパートの目的をご紹介しました。次回は、セルフケア講座がもたらす変化〜現場からのレポート〜をご紹介します。
https://www.singlemomssisterhood.org/singlemoms-health
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