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夢を叶えるまでにしてきた遠回り

執筆者:ふぉんて

叶えたい夢

私にはずっと、叶えたい夢があった。初めて娘を出産してから思い描いていた理想。それは、「私にしかできない方法で、精神的にも肉体的にもトータルで現役で頑張る人のサポートがしたい」ということ。

元々リハビリの仕事をしていた私は、身体に出ている症状のみを治療するだけでなく、精神的なサポートや、全身をトータルでみたいという欲求を感じていた。そして同時に、大きな症状や病気になる前のサポートの必要性も感じていた。

リハビリの仕事を始めて、私は「感覚」で患者さんを診ていることが多かった。学んできた知識よりも、「何となくここを何かしたら良くなるんじゃないか?」というやり方で、カルテに記録するのにとても苦労していた。

私の「感覚」に「知識」が追いついていなかった。

「この患者さんの症状は局所的な治療では治らないな」など、ドクターの処方以外の所へのアプローチがしたいという欲求を、多々感じるようになっていた。

離婚 夢に向かって準備Start

息子が生まれて間もなく、パートナーとの関係は壊れていき、結婚7年目、子ども達が6才、4才の時に離婚した。

離婚した時に、子ども達との時間を大事にしたい、子どもに何かあればすぐに対応できる状態でいたいと考えた。

そして、何より自分にもやりたいことがある。子どもとの時間を確保しつつ自分の夢を叶えたい。そんな思いから、新たに整体師の資格を取るなど、個人で収入を得る準備を進めながら、リハビリのパートで働いていた。

心身のバランスを崩して

離婚してからどれくらい後だったか、突然自宅でめまいに襲われ、全く動けなくなった。数日後、病院であらゆる検査をしたが異常は無し。その時に心療内科受診を薦められたが、受診をすることはなかった。

今思えば、当時の私は自分のことを全く把握していなかった。あの頃は、養育費の支払いも育児協力もするつもりがない元夫に対する「負けたくない」という気持ちだけで踏ん張っていた。「一人でも育てられる」それが傲慢な考えだなんて、気付きもしなかった。

それから数年の間でフルタイムの仕事に変わった。子どもの習い事も忙しくなった。そんな時に、何度かまためまいで動けなくなった。以前めまいに襲われてから、漢方を飲んだり、月一回身体のメンテナンスを受けたり、自分なりに対処はしているつもりだった。

が、ある時、これまでとは明らかに違うめまいが起きた。あと一歩、この境界線を越えたら、もう健康な体には戻れなくなるような、そんな恐怖感に襲われた。

「これ以上はヤバい」と思った私は、近くに住む両親に電話するよう子どもに伝えた。子どもの電話で夜中に呼び出された両親は、すぐに救急車を呼んだ。

数日間入院し、検査でも異常は無し。自分の傲慢さ、未熟さ、限界を思い知った私は、退院後心療内科を受診した。自分では気づかずにいたが、ずっとうつ状態であり、パニック障害を発症していたのだった。完全に心身のバランスが崩壊していた。

人のためになりたくてずっと学んでいた心身のこと、その技術、知識。自分のこともちゃんと見ているつもりだったし、対処しているつもりだったが、一番大切にしなくてはいけない自分のことを見ていなかったのだ。

充電期間でセルフケアと向き合う

その後、これまで拒んでいた実家に子ども達と3人で戻り、私は引きこもり生活になった。誰とも会いたくないし、動きたくもないし、もう何もやりたくない。今までやってきたこと全て、無意味に思えて絶望した。

ただその時救いだったのは、"子ども達の親である"ということ。そして、自分が"両親にとっての子である"ということ。自分が子どもの頃には味わえなかった"愛"を、その期間に感じることができたことが、回復への力となった。

充電期間中に、これまでの何がいけなかったのか、ひたすら向き合った。

例えば月一回通う身体のメンテナンス。「ここに来ていれば大丈夫」という安心感を得られたことや、実際に助けてもらったことは大きい。だけど、「これさえしていれば大丈夫」ということはないし、「この人の言うことさえ聞いていれば大丈夫」ということもない。要は、"自分"でどう感じて、どう動くかということの大切さに、やっと気付いた。

毎日自分を後回しにしながらメンテナンスに通ったとしても、本当の意味での回復は難しい。日々、自分を見てあげることを怠らず、その上で誰かの力を借りることで、より良い効果が生まれる。それに気付き、ヨガを習い、毎日セルフヨガをやるようになった。

食事にも気を付けるようになった。フルタイムで働くようになってからは、家事をすることが本当にできなくなっていった。帰宅すると動けないのだ。食事を作ることも疎かになり、大事な栄養素を取る機会が減っていった。その結果、重度の鉄欠乏性貧血になっていた。そこで、栄養療法についての知識も自分なりに学び、取り入れた。

夢に向かってRestart

娘が生まれてから16年たった今、やっと叶えたかった夢を実現できている。私独自の「感覚」を生かして、整体をしながらその方の感情や潜在意識からのメッセージを受け取る。そして、ヒーリングエネルギーやカウンセリングで心身を整えていく。そんな方法で、今は家事・育児・仕事で頑張っている女性のサポートをさせていただいている。

「自分がやりたいことを自分にさせてあげる」そんな簡単な事をようやくできるようになったのは、自分が自分のことを大切にしてあげること、これに気付いたからだった。

簡単なようで、難しいこと。でもそれは不可能なことではない。そんな境地に至ることが出来たことを嬉しく思っている。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。このエッセイは、NPO法人シングルマザーズシスターフッドのMother's Dayキャンペーン2022のために、シングルマザーのふぉんてさんが執筆しました。

このキャンペーンは、自身の心と体を大切にすること、それを互いにサポートしあえる社会を目指して実施しています。ご共感くださった方はぜひ、私たちの取り組みを応援していただければ幸いです。

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NPO法人シングルマザーズシスターフッド


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