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コロナ禍の困窮⼦育て家庭への新しい就労⽀援を考える勉強会の成果報告会での発表を共有します

2022年6月27日(月)16:00-17:30
認定NPO法人キッズドアさんが開催した
コロナ禍の困窮⼦育て家庭への新しい就労⽀援を考える勉強会の成果報告会
に、GSI-J(Global Skills Initiative-Japan)でご一緒しているマイクロソフトの龍治玲奈さんとともに、登壇させていただきました。

その勉強会で発表した10分のプレゼンをこちらでもご共有します。
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ご紹介に預かりました、シングルマザーズシスターフッドの吉岡マコです。本日は、マイクロソフトの全世界的な取り組みであるGSI(Global Skills Initiative)の日本での取り組みについて、連携団体のシングルマザーズシスターフッドより、お話しをさせていただきます。後半に、マイクロソフトの龍治玲奈さんからもコメントをいただきます。

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Global Skills Initiativeは、 マイクロソフト社の全世界的な取り組み の一つで、日本マイクロソフト株式会社が様々な領域のNPOと連携して展開する就労支援プロジェクトです。

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このGSI-Jの一環として、2021年3月よりシングルマザーのための就労支援を始めました。

一つ目は、ひとり親TECHエンパワメントプログラム(2021年3月~)という、総合的なエンパワメントプログラムです。2022年3月からは、3期生として北海道、山形、横須賀、静岡、岐阜の5団体が、同時に6か月間のプログラムを実施してくれています。

二つ目は、
慶應義塾大学との協働でシングルマザーのセキュリティ講座を実施しました。デジタル技術を使ってインターネット上の様々な利便性を享受することは、様々なインターネット空間上のリスクとも隣り合わせであり、サイバーセキュリティを学ぶことは、セットで必須という考えからです。パイロットプログラムを今年の前半に行ったので、今年の後半からは、こうしたプログラムを様々な支援団体に横展開していくことにチャレンジします。

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さて、シングルマザーの就労支援に取り組んできて私たちが気づいたことは、困っている人に対してただ「働いてください」「スキルがないなら勉強して身につけてください」というものでは不十分だということです。働かなければ!スキルを身につけなければ!と焦っているシングルマザーはたくさんいます。でも、その部分だけをサポートしても、十分な効果は得られないということも見えてきました。

ではどんなサポートが必要なのか?

支援のあり方

シングルマザーの抱える問題は、経済的な困窮だけではありません。身体的疲弊、精神的な痛み、不安、孤独、といったものがあります。こうした部分をケアせずに、働きなさい、勉強しなさい、とだけいっても、効果は得られないことは想像がつくのではないでしょうか。そこで、私たちは、支援のあり方として、このようなピラミッドの図を作りました。

まず、「学ぶ」「働く」に健全に取り組むためには、何よりも、1番の土台として、本人の、「身体的、精神的な健康」が必要であること。

そのために、セルフケアすること、自分を大切にすること、そのような機会を提供することをしています。

多くのシングルマザーからこんなコメントをもらいました。「セルフケアなんて贅沢で、自分には関係ないものだと思っていた」自分をケアすることに罪悪感を持っている人もいます。そういったシングルマザーたちに、根気強く「セルフケアというのは贅沢でもなんでもなく、大人として責任ある態度なのである」ということを、繰り返し繰り返し伝えています。この部分の土台がないことで、せっかくスキル習得、資格取得を目指しても、途中で挫折してしまうというケースも多くみてきました。

自己探求の重要性

セルフケアを土台として、次に支援するのは、本人の自己探求です。多くのシングルマザーは、様々な過去の経験から自己肯定感が下がっており、傷つき、自信を失っています。精神科にかかっていたり、PTSDの治療を受けている人もいます。学歴も、資格も、職務経歴書も申し分ないものを持っているのに、パートナーのDVから逃れて引っ越してきた先では何ヶ月も就職が決まらない、というケースもあります。そういったシングルマザーの悩みを受け、このプログラムでは自分の過去を棚卸しし、意味づけし、自身の価値観を言語化するといった、自己探求の作業を通じて、自信を取り戻し、その人らしい、魅力をもう一度表現できるようになるということをサポートしています。

ピアサポート

そしてこれらの取り組みは、ピアサポートにもなっているという特徴があります。これらの作業をオンラインで仲間と共有しながらおこない、共有スライドや共有ドキュメント、共有スプレッドシートに書き込んで行くので、自然と、クラウドツールを覚えてしまう、という効果もあります。自己探求をしながら、ITツールを使いこなせるようになることで、自信とスキルを同時に身につけてしまおうというデザインになっています。

シングルマザーの様々なステージ

最後に、シングルマザーにも様々なステージがあり、どの部分を私たちがサポートしているかを整理したものをご共有します。

本当に困窮してしまって身動きが取れなくなっている方には食料や住宅といった当面の生活のためのサポートが必要ですが、最初の渡辺さんのお話しにあったように、働く意欲があって頑張って働いているけれど、まだ生活が厳しいという方に、こうしたエンパワメントの支援を実施し、貧困の状態に止まることなく、キャリアアップをはかり、ひいては、自分がエンパワーされた経験を生かして、自分が支援する側になるという担い手の育成にもつながっています。

これらの支援を支えてくださっているマイクロソフトの龍治さんから、まとめのメッセージをいただきます。

発表は以上です。

2022年の後半は、シングルマザーのサイバーセキュリティ講座や、ひとり親TECHエンパワメントプログラムなどの標準化されたプログラムを、我が団体でも実施してみたい!という意欲ある支援団体と連携して、こうした支援を横展開していくことにさらにチャレンジしていきます。ご関心ある方は、ぜひお気軽にご連絡ください。

まだ面識のない方は、NPO法人シングルマザーズシスターフッドの公式サイトのお問い合わせフォームからご連絡いただければ幸いです。


よろしければサポートお願いします。いただいたサポートはひとり親の心身のセルフケアとエンパワメントの支援活動に使わせていただきます。