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「新型コロナウイルス 深刻化する⺟⼦世帯のくらし~1800 ⼈の実態調査・集計表(確報)~」を公表

シングルマザー調査プロジェクトは、「新型コロナウイルス 深刻化する⺟⼦世帯のくらし~1800 ⼈の実態調査・集計表(確報)~」を公表しました。この集計表では、速報レポートに入りきらなかった全ての質問とその集計結果を掲載しています。シングルマザー世帯の不安定な雇用や、格差が拡大してしまう状況を可視化した、貴重なデータです。

不安定な雇用と収入
速報レポートにもあったように、今回調査対象になっているシングルマザーのうち、働いている人の割合は87.7%と非常に高く、2つ以上の仕事をしている人も11.2%を占めています。しかし、1つの仕事をしていた人のうち、正規雇用は32%、非正規雇用は37.4%でした。それに加えて、勤続年数が3年未満の人は53.6%と勤続年数は短く、長期安定雇用の状況にないことが明らかです。

また、賃金の支払い形態に関しては、月給は31.2%にとどまり、時給が54.5%と半数以上を占めています。また、仕事の産業に関しても「医療・福祉」が26.5%「卸売業・小売業」が14.1%、「製造業」が12.0%と、在宅勤務やリモートワーク はできないと回答した人が76.4%に上った理由も伺えます。

格差拡大と固定化
雇用や収入の状況に加えて、多くのシングルマザーは世帯の家計を少ない収入で支えつつ、育児などのケアワークも担っています。今回の回答者のうち、自分と子ども以外に同居している人はいないと答えた人は83.4%でした。このような状況で、一斉休校のために仕事を休む、あるいは減らす必要があった人は46.3%に上っています。

8月に発表した速報レポートで述べているように、平均就労収入は2020年2月から5月にかけて正規、非正規ともに減少しました。しかし、2月の時点でさえ、収入が10万円未満と答えた人は36.6%に上っています。その一方で、生活保護を現在受けている人は4.4%、これまでに受けたことがある人5.5%にとどまっており、シングルマザー世帯の苦しい状況はコロナ禍以前から存在していたこと、また、生活を保障する公的援助は届かないという現状が明らかになりました。

支援策として、ひとり親世帯臨時特別給付⾦の追加給付も行われていますが、上記のような構造的な問題の解決に取り組むと同時に、支援を必要としている人に、必要な支援が届く政策、社会の仕組みが求められています。シングルマザー調査プロジェクトでは現在、毎月パネル調査を実施しており、結果も公開する予定です。


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