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合格。と同時に湧き上がるお金と時間の問題。

ずいぶんとこの記事を書き進めるのに時間が経ってしまった。タイムラグがあるが、当時の気持ちはありありと思い出せる。自分のために記録を続けていこうと思う。

2次審査は簡単なものだった。これからの流れの説明と、家族の了解があるかどうかの確認。それだけだった。歌のスキルや軸力などは二次審査では問われなかった。これからボイトレがんばっていきましょう、で終わった。あっけなかった。けど、何かが始まる。そんな覚悟でいっぱいだった。

実は家族の同意はとっていなかった。このオーディションは合格したらそのままデビューというものではなく、曲作り、ボイトレ、アーティスト写真撮影、レコーディング、そしてライブ出演がセットになった有料のプロジェクトであった。分割できるとはいえ、パート主婦の私で手に負える金額ではないことが分かっていたし、家族にそれを相談するのも怖くて仕方なかった。本当は勇気を出して応援してもらえばよかったのに、私にはその勇気はなかった。最大限の分割ローンを組んで、金額は明かさずに「ボイトレに通う」とだけ家族に伝えて、私はこのプロジェクトに参加することにした。ほんとヘタレ。

もう事後承諾にしようっ!てお金は何とかなるって後先考えずに飛び込んだ。・・・ってこの決断をしたのはもう一年以上前。実はお金はなんとかなっています。まだ家族には話せてないけど。親に半分援助してもらっちゃった。本当に恥ずかしい自分。だけど夢に向かっていきたい、その気持ちは捨て切れなかった。恥ずかしい自分を認める。親に頼ることを許す。ひとつひとつ格好悪い自分を許して、今まで来た。お金のことは心配してもきりがない。まず動く。動きながら考えていく。今もお金の悩みと付き合いながら歩んでいます。

プロジェクトのお金だけじゃなく、ボイトレに通う交通費、時間の捻出、考え出せばきりがない。家族と離れて暮らしているため母子家庭で子どもの留守を頼む家族がいない状況で、往復10時間の移動は本当にきつかった。ひとつひとつ、頼ることを増やしていった。子どもをお友達家族に預けることを頼む。ご飯を用意してもらうことを頼む。悪いな、迷惑かけちゃうな、という思いをひとつひとつ許していった。

それからボイトレに頻繁に通いたいけど、焦る気持ちを抑えて無理なく行かれるときを選ぶ。早く結果を出したい、けれども怖い思いもまだまだ抱く。自分のペースを認め、自分のペースを許し、人に頼り、自分を許しの繰り返し。決して順調ではないけれども、ひとつひとつ丁寧に自分と向き合うことが必要だった。”歌手になる”という夢を追いかける過程で、私は自分自身と改めて向き合っていった。自分が許せていなかった自分をそのたびに発見し許していった。そんなこんなしているうちに1年が経ってしまったのだ。そんなのんびりな自分も許す。

夢を叶えるという過程は、徹底的に”自分勝手になる”ことを許すことだ。自分の夢のために、自分の時間、お金を捻出してあげる。そのためには他人に使っていた時間、お金がどうしても犠牲になる。そこを許せるかどうかなんだ。夢に向かって進んでいけるということは。夢を叶えることはスキルじゃない。自分をどれだけ許せるかにかかっているんだと私は学んだ。

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