【長期型テストステロンの注射投与間隔】ネビド、リアンドロン、セルノスのこと。
長期型のテストステロンは、基本的には3ヶ月に一回注射ですよ。
と説明すると。
このように、患者さんからお話を聞くことが多かったのです。
私は、患者さんたちにお金を使わせたい、わけではありません。
健康でいてほしい、それだけです。
ジェネリックでもそうでなくても、
どの長期型テストステロン注射でも。
効果は同じなので、投与間隔は同じです。
クリニックで、患者さんの注射直前の血中テストステロン値を見ると。
7割の方がテストステロン不足でした。
沢山の海外の文献を読みましたが....
確かに日本人は体が小さい人も多い。
けれど、世界中でこの日本だけが長期型テストステロンを半年に一回の注射で良いということはあるのだろうか。とずっと思っていました。
何度説明しても、なかなか3ヶ月に一回は患者さんたちに浸透せず。
ついには、僕が間違ってるのか?と思うこともあり。
でも、患者さんのためになるのであればと、論文データを信じようと思い、診療を続けてきました。
オーストラリアで今回、メルボルン大学の内分泌学Ada教授とお話して、自信がつきました。
彼女は僕に初めて会ったのにも関わらず、長期型テストステロン注射希望者に渡す、説明資料を共有してくれました。
下記はその日本語訳です。
◆ウンデカン酸テストステロン1000mg (ネビド、セルノス、リアンドロン)注射について◆
•注射は、医師または看護師により、お尻の筋肉にゆっくりと投与されます。
•最初の 2 つの注射は 6 週間間隔で投与されます。これは必要なテストステロンのレベルより迅速に到達することができます。
その後、注射は通常 12 週間ごとにテストステロン注射が行われます。
•確かに、テストステロンの代謝は人それぞれで、頻繁に注射を必要とする人もいれば、少し投与間隔を長くしたほうが良い人もいます。
•投与間隔は、4回目の注射の前に血中のテストステロン値を確認し、決定されます。他の項目(多血症など)も血液検査で確認します。
•注射投与前の最低テストステロン値は4-6 ng/mlにすることを目標としています。
4ng/ml未満の場合は、投与間隔を短くします。
•最も一般的な副作用は、にきび、多血症と注射部位反応などの痛みや不快感、かゆみ、あざ、赤みや炎症と非常にまれに血液に油塞栓症です。
※単位はオーストラリアのものを日本のものに変更し、和訳しました。
私は、WPATHのガイドライン通り、診療を行なってるのですが、最新版の日本語訳はまだ出ていません。
そのため、今まで誰とも、長期型テストステロン値の最適値についてディスカッションできなかったのです。
今回、Ada教授の話を聞いて、本当にホッとしました。
医学論文をもとに臨床でどのように診療し、患者さんに説明しているのか。
机上の空論、ではなくリアルでたくさんのトランスジェンダー患者さんに接する先生方とのディスカッションは、私に自信を与えてくださいました。
たった1時間半でしたが。最幸の1時間半でした。
帰り道にふと考えました。
約20年後、僕は海外から来た若手の医師に、こんなにもすぐ、手を差し伸べられるだろうか、と。
一人ぼっちで悩んでないで、一緒に勉強しようよ!と言えるだろうか、と。
ありがとう、Dr.Ada.
緊張しすぎて味は覚えていないけど笑
この日の朝食は忘れられない日となりました。ごちそうさまでした。
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