舟和の芋ようかん
「あ!舟和の芋ようかん!」
驚きと嬉しさで、思わず声が出た。
先週末の出来事。所用で夫と一緒に仙台駅に出かけた際に、駅ビル内の全国のお土産物を取り扱っているお店で舟和の芋ようかんが販売されているのを見つけた。
舟和は、東京・浅草の老舗の和菓子店である。
看板商品の「芋ようかん」は、さつま芋と砂糖と少量の食塩だけで造られており、その素朴で自然な甘さが人気の一品。
もう何年も前から、私の大好物でもある。
思い起こせば子供の頃からおかずの中でもさつまいもの天ぷらや大学いもが大好きだった。この芋ようかんを好きになったのも、当然といえば当然ではある。
しかし、カスタードクリームを合わせたスイートポテトやペースト状のサツマイモをこんがりと焼き上げたパイ菓子、スポンジ生地とサツマイモを合わせた焼き菓子など、さつまいもを使った美味しいお菓子は各地に多々あれど、私の中ではこの舟和の芋ようかんが今のところダントツ。一番のお気に入りである。
「買って帰る?」
売り場に立ち止まって動かなくなった私に、夫がにっこり笑って言う。
夫は私以上に甘いものが大好き。この芋ようかんも、以前私と一緒に食べて以来、お気に入りである。
夫の笑顔に背中を押されるように、5本入りのものを1箱買って帰宅した。
買ってきたばかりの芋ようかんを、石巻の観慶丸本店で買ってきたお気に入りのお皿に載せる。
ひんやりとよく冷えた芋ようかんは、きっちりとした切り口も美しい。
表面をこんがりと焼いても美味しいのだが、今回はそのまま早速いただく。
「美味ぁぁぁーい!」
ひと口食べて、夫婦で声を揃えて感激。
ぎゅっと詰まった食感。その甘さと味わいは、焼き芋の濃厚な甘さとはひと味違う、とても上品なもの。程よい固さといい自然な甘さといい、口の中に広がる美味しさはさつまいもそのもの。それでいて、さつまいものように繊維質が口に残ることはなく、口の中でほろりと溶けてゆく。
これまでにも何度も食べているのだが、何度食べても感激する。
夫婦であっという間に2本ずつ食べた後、残り1本は仲良く半分こ。10分足らずでひと箱を食べきってしまった。そのくらい美味しかった。
小豆の練り羊羹や蒸し羊羹も好きだけれど、この芋ようかんはまた違った美味しさである。久しぶりに、そしてあらためて美味しさを実感した。
この舟和の芋ようかん、以前は東京に出かけるたびに、羽田空港の売店で買って帰っていた。逆に言えば、関東方面に出かける機会が無ければ食べられない一品だった。
それを、こうして自分の暮らす街で購入出来るとは。
予想外のご褒美のようで、嬉しかった。
この日の仙台駅では、北海道の物産展も開催されていた。仕事に追われてなかなか各地に足を運べない毎日が続く中、こうして全国各地の名産品・特産品を販売してくれる催事はありがたい。
次はどんな美味しいものに再会出来るか、あるいは新たな美味しいものに出会えるか。
楽しみたいと思う。
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