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【シナリオ技術】キャラを好きになる仕組みとは?

いくつかの例を参照しつつ検証。

例)
●「水星の魔女」
OPでスレッタがエアリアルに対して
「犬をかわいがる」をやり、続いて
「人を助ける」も実行。

(余談)
助けられた側が「助ける必要などない」という対立項として提示される。
ここにて本作のテーマが「人にやさしくすべきか、自分を貫くべきか」
であるということまでが一気に語られている。

なのでその後の学校生活風景紹介は書割で動かす必要もなし、
という割り切りも含めて素晴らしすぎるOP。

●「リコリス・リコイル
千束のモノローグによる「現代で働く若い子」的な価値観。
リコリスの設定に触れつつも染まってないよ感の提示。

そこに退治されるたきなの価値観。命令よりも大事なものがある。
(でも組織には執着するんだよな。この辺の揺らぎが本作の大きな特徴だ)

対して「すごいやつ」と立てられつつも組織には興味ない千束。
その出会い。
本作は「たきなのまちがい」を修正?していく導線なのだろうという予感。

●「すずめの戸締り」
普通にいい子、で、「人を助ける」の実行。
その先には戸締りの謎。

●「マイ・インターン」
ヨガをするキュートなデニーロ。
面接ビデオという形で独白。
現代的なIT企業を、昔気質がほっこりさせるんだな、という大筋の予感。

●「The Last Of Us Part2」
エリーの日常。正直この時点ではエリーは全く好きにはなれない。
しかし、各キャラ紹介がすんだ後で起こる惨劇。
どう考えてもプレイヤーは大きな怒りに包まれ、
エリーと同化して復讐を実行するぞ、という同化が行われる。

●「ペルソナ5」
なんかカッコいいジョーカーがパレスで活躍。
しかし、その後逮捕。どうして? そしてどうなる?という謎を
動機として本編が始まる。

分類すると、主な構成要素は以下。

①「人を助ける」「犬をかわいがる」の実行

②魅力的な仕草(千束の軽やかさ、デニーロのヨガ)

③謎(なぜジョーカーは逮捕? 戸締りとは?
 ジョエルはなぜ? 千束って何者?)

④予感
(ミオリネとの絆、たきなの軟化、IT企業の軟化
 すずめの過去の解決、復讐の成功)

⑤対立項の提示
(スレッタとミオリネ、たきなと千束
 エリーと復讐相手、デニーロと若社長、ジョーカー(若者)と世の中)

※すずめの対立項はなんだろうな。過去と現在、その乗り越え、だろうか?

これらにより
映像なら「応援する気持ち」
ゲームなら「自分もそのためにがんばるぞ」
という気持ちにさせるのがOP部分の命題だ。

そしてその「応援すべき導線」は
作品の命題と直結しているのが良い。

P5のようなゲームの場合は、
主人公はある程度希薄なので
周囲のキャラを助けていく、ということの中で
テーマへの引力が補強されていく。
(ゲームではメインキャラは応援対象でなく自分なので
 別途応援すべき対象が必要となる)

上記の①~⑤の要素を
わざとらしくならないように(マイ・インターンのように)並べていけば
それなりに機能するOPが作れるんだと思う。

「わざとらしくないか」の臨界点はその作品が持つタレント性によって決まる。
デニーロがいるのか、3Dイベントなのか、書割なのか、立ち絵だけなのか。

ゲームの「主人公=自分」ゆえに「応援というより同化」というのが
キーになっている気がするが、この辺りはそれこそ
ドラクエぐらい希薄なのかクラウドくらい人格があるのか、とかで
相当変わる。

ドラクエ型の無味無臭ってのは今の時代じゃ相当難しい。
ゲームで冒険に出る理由が多少必要になってるからね。

ともかく
①~⑤の配合という「形式」、
その作品の持つタレント性(ニュアンス)、
という順番で考えれば、大体のことはなんとかなるのでは。

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