10月第3週の配信

■『フォシーガ』に「慢性心不全」の適応追加

 SGLT-2阻害薬『フォシーガ(一般名:ダパグリフロジン)』は、これから「糖尿病」でない患者にも処方される機会が増えてくると思われます。新規処方された患者に対して「糖尿病である」かのように決めつけた服薬指導は行わないよう注意が必要です。

(参考)
薬食審、10月29日に第一部会:SGLT2阻害薬フォシーガの「慢性心不全」の適応追加を審議
https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=70017

※現場で気をつけたいポイント
 DAPA-HF試験(1)などでも、「ダパグリフロジン」は低血糖や脱水・腎障害を増やさなかったという報告がされていますが、これは研究の対象が平均66歳と比較的若かったことや、「副作用の兆候があれば、適宜薬の減量・中止を行った」からこそ得られた結果とも言えます。高齢者へ長期投与される際には、薬剤師による投薬後フォローアップなどが必要です。
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■妊娠中でもインフルエンザの予防接種はできる??

 今シーズンは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響もあり、インフルエンザワクチンの需要が高まっています。薬局でも「妊娠中でも接種可能か?」を尋ねられる機会があるかもしれませんので、一度復習をしておきたいところです。
 インフルエンザのワクチンは「不活化ワクチン」で、妊娠中でも接種が可能です。特に、妊婦はインフルエンザが重症化しやすい(2)ため、母子の安全のためワクチン接種が推奨されています(3)。

・妊娠中には接種できないもの:生ワクチン
麻疹:妊婦が感染すると流産・早産しやすく、妊婦自身も重症化しやすい
風疹:妊婦が感染すると、胎児に先天性風疹症候群が起こるリスクが高い
水痘:妊婦が感染すると、先天性水痘症候群を起こすリスクがある
おたふく風邪:妊娠初期の感染で、流産率が高まる
https://www.vaccine4all.jp/topics_I-detail.php?tid=50


(参考文献)
1) N Engl J Med . 2019 Nov 21;381(21):1995-2008. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31535829/
2)CDC「People at high risk of developing flu-related complications.」 https://www.cdc.gov/flu/highrisk/index.htm
3) Acta Obstet Gynecol Scand. 2015 Aug;94(8):797-819. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26012384

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