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死者の体温

【死者の体温】
『大石圭』

※この作品、作者が好きな方は気分を害する恐れがあります。あくまで私が感じた気持ちを書いているだけなので、作者やこの本を好きな方などに特定的な感情や誹謗中傷をしたい意図はありません。

※閲覧自己責任

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などと壮大な前置きをしたことから薄々もなにもありありと感じられるだろうが、とーにかく時間を無駄にした。
久々にこんな虚無の時間を味わった気分。
いや、題材や書きたいことなどはわかるし、日本語の使い方や文章表現もプロなのだから当然私よりしっかりしているし、作者は私なんかの何倍も頭が良いのだろうなということはひしひしと伝わってはくるのだが……。
この本を金を出して買った身としては、勿体無い買い物だったなと言わざるを得ない。

まず、目的もなく他人を殺しまくり、埋めまくる。
目的たるものは、人を殺した時におぼえる感情のひとつを知りたい。であったり、幼い頃の自分を絞め殺したい。であったり、ドMなので……であったり、要は、何?
グロいものは見たくないと思う割に同じ死体で何度もマゾな感情を吐き出そうとするのもわけわからないし、そんな周りの人何十人も死んでたら捕まるよ。
まだ捕まっていない非現実要素に加えて殺人が単調でつまらない、人と人との物語などは一切なく、ただ一人の男のメンヘラに付き合わされるだけの物語。

読者も被害者もただ可哀想である。
犬も殺すのかと思いきや殺さないし、父母に対していつかは殺すみたいなことを思ってるくせに過去に血の繋がりのある妹を殺したことがトラウマとかわけわからないし、自殺した人の身辺調査してその人が何者でもないことを知りたがるとか、自分はなにものでもないとか、そんなことに三十路になるまで気づかないのは幼稚すぎる。
昔からサイコパス気質があってみたいな話にしたかったのだろうがパンチが弱すぎる設定の数々に、余分な砲丸投げの要素であったり同情できない主人公の感受性、そのわりにモテモテでなんでも出来る金持ちの俺!みたいな……。反吐が出る。

本当にそんなに旅行に出たのかは知らないけど、世界を見ろ。
戦争にでも行って死ぬことが出来るのならこの主人公は救われたのでは?
最後にも人を殺すだけ殺して結局どうなるのかわからなかったし、せめて自殺でもして無理やり終わらせてくれればよかったものの、最初から最後まで痛い中学生のブログを読んでいる気分だった。

ただ途中で読むのを諦めるのは自分が負けた気がして許せなかったので、頑張って読み切ったという感じ。

途中で誤字を三つほど見掛けたし、狂ってる描写を演出したくてかフォントを変えたりもしていたが読みづらいったらありゃしない。
これが売れるかもしれないと思って出しているのならこの世界を舐めすぎなのではないか。

向いていないと思う。

……とか、こんな感想だらけなのではないだろうかとレビューを何件か見てみたら、一部絶賛してる人が散見されて、虚しい人たちだなと思うなどしてしまった。
悪い癖だと思う。
嫌味でもなんでもなく、好きだと思う理由を語ってほしい。
私には分からないし、合わない。

気になるからという理由だけで全く事前知識のない作者の本を買うのはやめよう。
厚い本ではないが同じことを淡々と繰り返すだけのものを読み続けるのは疲れた。

以上。