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少女には向かない職業

【少女には向かない職業】
『桜庭一樹』


なう(2024/08/28 01:47:00)

困ったもので、ここ最近は読書したあとの感想を書き終わる前に新しい本を読み始めて、終わる頃にはまた違う本を読むなどをしており、感想を書く気力より専ら読む方に力を注いでおり、感想が追いついておらず、徐々に記憶から感想が消えていっている。
新鮮な気持ちを書きなぐるために読書感想を残そうとnoteを設立したのに、まさかこんなことを書くことになるとは一冊目を読み始めた時の私は思いもしなかっただろう。
それほど読書をすることが、ただただステータスになるという枠組みから楽しみを感じる方にベクトルが向いているのだろうなと自分の興味関心を持つものに対しての分析をしてみる。

私は、書くより読む方が好きなのだろうなあ。
小説を読み終えて、この本がイメージする絵を描きたいとは思うけど、触発されて小説を書きたい!とはならない。
それこそ中学生の頃なんかは夢小説を興じていてりもしたけれども。。笑

これではただの日記になってしまうのでこちらの作品の感想を書きたいと思う。

桜庭一樹の本を読むのは二冊目で、
学生時代に初めて本を再読するという行為をした本である、『砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない』が初めてである。


当時この小説を読むきっかけとなったのは、小林泰三に対する熱意を語っている時にも似たようなことを述べたけれども、「こういう」感じの小説タイトルを漁っていた時にたまたま気になって書店に行ったら並んでいたので買った本。
正直、こちらの一作目の感想は拍子抜けと言うか、求めていた知性みたいなものを感じ取れなかったというか、ラノベか……?みたいな失礼な感想を抱いてしまったのを今でも覚えている。
当時の私の読解力などからしてもその読みやすさに感謝するべきであったにもかかわらず、主人公に感情移入が出来ず、なんとなく楽しくない本であった。

そしてこちらを選んだきっかけは、貴志祐介にハマっている私は、彼の作品に似た本を探しているという知恵袋を見ており、その回答にこちらが挙がっていたからという安直な理由である。

結論、読みやすいし楽しかった。

一作目と違って主人公が可愛らしくて、始終微笑ましかった。

私は年下の子供が好きだ。
護れる力はないけど、自分より幼い非力な存在は総じて護られるべきであると信じて疑わない。
そんな若かりし少女たちの、奮闘を描いた物語である。

私は読んでいる最中、その表現からこの作者は中学生くらいの女の子が好きな性癖を持っている変態男性作家だとばかり思っていたけど、なんと女性作家らしい。
あとから調べてそれに本当に驚いた。

中学生独特の表現をやたらと挿入してはいるが、私のような陰気な中学生活を送ってきた人間にはいまいち現実味がなくて、そういう短編アニメを観ている感じでイメージしていました。

シズカちゃんの健気なさまが可愛くて可愛くて、愛しかった。
二人が本当の友情を知るシーン(お互いはこれをそれと気付いていないのだろうが)はなんとも綺麗で、やはり、女の子は可愛い。
それを脅かすのはいつだって大人だ。

二つ目の殺人に関しては正当防衛ではあるけど経緯が複雑すぎてこの子達に説明できるのか心配になったし、一つ目は殺人ではないと思うよと、神様目線で優しく包んであげたくなった。

こういう、登場人物をぎゅっと抱き締めたくなるようなものには弱い。

物語の長さもちょうどよく、楽しくは読めたが、やはり若い娘が語り手になっているというか、若い娘の感覚で読み進めなくてはならない小説はキャピキャピしているというか、みずみずしくて、もうこの作者の本を読むことはないと思う。

作品は楽しかったけど、眩しすぎて私向けではないと勝手に決めつけました。

……とか言って、この作家さんの気になるタイトルが出たらどうせ買うのだろうけど。

最後、結末を示唆している表現が一切なかったけど、シズカちゃんが無事でありますように。

あと、男児はハッキリしろ。

以上。