平沢進 BEACON 感想

全体的な雑感

55/100点くらい。
曲単位でやべぇ～となるものは全然ないが(幽霊列車は最高)、
アルバム通しで聴き流すくらいの温度感だと感じた。

・「平沢進」という音楽に関して
俺が平沢から得られるものはもう何もないと思った。
ホロ男辺りからそういう感じはしていて、
回＝回からそれは顕著になったのだが、今回で確信した。
高橋かしこ氏の感想にも書かれているが、新しい発見とか新規性はない。
どの曲も過去のフレーズを引用して作られていて、その組み合わせの意外性でオッっとなるものはあるが、個々のフレーズ自体は既視感にあふれるもので、驚きとか感動はなかった。
その代わり、聴き込むほどに味の出るスルメ的な良さはあるので、平沢進の音楽との向き合い方は今後そんな感じになっていくかな、と思う。
今までの平沢の総復習、みたいな。
それはそれで楽しみはあるけれど、寂しい。

・音質に関して
これは愚痴でしかないのだが、ミックスや音作りが年々雑になっているのが悲しい。2010年代前半のアルバムと比べると明らかに音がノッペリしていて薄っぺらい。
ホロ男では明らかにマイク由来のノイズ(意図されていない、音楽性のあるものではないノイズ)が入っていてガッカリした。
その辺は今作では流石に解消されているが、相変わらず音は悪い。
特に、少ない音数の隙間をリバーブで埋めているせいか、オケがボヤけており、音の分離が悪い。
ブラス音源がキンキンしてるのと、ハイハットがザラザラしててオケから浮いてるのも気になるし、
ストリングスとかFX的な音はローカットされておらず、無駄な低域が出ている感じがする。
音の選び方とイコライジングが総じて適当、という印象。
(あくまで個人の印象であり、音の好みは当然、人によって違う。)

曲ごとの感想

01  BEACON

ホロ男でいうアディオス的なOPナンバー。
爽快だが言葉はクソ重い。
まぁ、いつもの平沢という感じ。

02 論理的同人の認知的別世界

ジャングルベッドⅠというか、まんまAstro-Ho!(Narration Ver)じゃないか。
時空の水＋点呼な質感で嫌いではない。
ただしセリフ部分はキツい。
あんた一度トラ○プの時にスベりまくったじゃないか。そんな強気に革命前夜だと言って良いのか。それほど今回は確信があるのか？

03 消えるTOPIA

ビストロン(曲名)的な、過度な盛り上がりのない淡々とした曲。これ3曲目に持ってくるのか？
今作はこの曲に限らず、明確なサビのない曲がメインで、所謂リード曲やキラーチューンといったものが存在しないように思う。おそらく意図的にそうなっている。
可もなく不可もないが、パッとしない。その割に6分弱あるのでアルバムの中ではスキップしてしまいがち。

04 転倒する男

かなり良い。この曲に関して言えばブラス音源の導入は正解なように思う。
点呼っぽい、非肉にまみれたギターとブラスが大好物です。俺は点呼が好きなので。

05 燃える花の隊列

悪い意味でダサい。クラップとハイハットが適当すぎる。
還弦の方のDustoidで裏打ちのハイハットが入るが、あれと同じ感じ。あれもキモくて嫌いです。
客がクラップ入れるだろうからライブで聴くと印象が変わるのかもしれない。
とにかくパーカッションがダサい。メロディも特に好きではない。
ダサい上に6分強ある。勘弁してほしい。

06 LANDING

かなり良い。俺の中の平沢はこれ。
こういう胡散臭い爺を演じ続けてほしい。
虹、花、星の並びはナースカフェとか現象～を想起させる。

07 COLD SONG

要らないかな…。
原詞とは真逆の内容になっているが、カバーでやる必要性がちょっと分からない。
肝心のファルセットが歪みとリバーブで埋もれていてもったいない。
そんなにエフェクトでごまかす必要あるか？
あとシネマティックなドラムとSynth1が合っていない気がする。
Synth1は俺も好きですけど、なんでこのソフトシンセ1本に拘ってるんだろう…。いやSynth1は俺も本当に好きですけど…。

08 幽霊列車

100点。この1曲のために3000円出す価値はある。俺はブラスに弱い。
「暗澹たるストーリー」…のいかにもアヤシいメロディーからそのままサビに繋がるのが特に気に入っている。
幽霊列車はやっぱハルディン・ホテルに出てくるそれとイコールなんでしょうか。

09 TIMELINEの終わり

新規ファン向けっちゅーか、東方でいう優曇華院みたいな(この例えが20年代インターネットで通じるのかわからないが)ポジションだと思う、この手の曲調は。
いつものだな、と感じるだけで特に刺さるものはない。

10 ZCONITE

本人のツイッターでも言っていたように、
帳尻合わせのために後付で入れたインストなので特に感想はない。
よくあるインタールードですね。
記憶のBEACONをラストに置くとなると何かしら挟まざるを得ないよな。

11 記憶のBEACON

一人で勝手にハッピーエンドになられても困る。
お前らもさっさと気づいてこちらへ来い、ということなんだろうが、
民衆がそうなるにはまだアルバム5枚分くらい掛かると思う。
曲は可もなく不可もないです。

おわり

俺は現象～が一番好きなのでそこを100点とすると、55点くらい。
(幽霊列車は100点)
回＝回が酷すぎたので、それよりマシでホッとした。
とりあえずGreenNerveに再入会申請した。

ギターアルバムって結局いつでるんですか？