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「大学無償化シリーズ①」(関西の出願状況1/29:無償化の影響)

2024年度、大阪公立大、兵庫県立大の無償化は、国立大、とりわけ、双方に関与する神戸大学の出願に「影響を与えた?」のでしょうか?
また、そのほか関西の国公立大の出願にどのような影響があったでしょうか?

今回は、1月29日時点での出願の中間状況から、どこよりも早い分析をお届けします。



「大阪、兵庫の公立大無償化は神戸大出願に影響するか?」


実際の出願状況を見てみましょう。

【分析】(1)大学全体での大きな動きは?

この3大学に関して、あくまで、出願途中状況(1月29日17:00)数値から、
「前期」で「昨年最終倍率」の、何割(案%)まで、出ているのか?を比較してみました。
※誤差最小を考え、あくまで同じ条件(前期)での比較としました。

仮説では「公立大に軍配が上がるのでは?」
   「国立大よリ、公立大の出願率が高いのでは?」
と想定していましたが、結果は意外にも「国立大>公立大」でした。

今のところ、国立大(神戸大)の方が、公立大より速いペースで出願が行われています。最終はどうなるでしょうか?


(2)経済・経営学部・商学部系における影響



社会科学系文系学部では、どうでしょう?
念のため、学部系統ごとに比較してみました。

ここでも、神戸大の圧勝でした。
あくまで中間発表ではありますが、公立大無償化は、ここまでのところ、神戸大経済経営学部の出願倍率に見る限、影響は見当たりません。

(3)理学部、工学部系での影響

理系学部ではどうでしょう?

理学部、工学部に関しても、出願スピードで見る限り、神戸大志願者が公立大に流れた形跡はなさそうです。


(4)医学科ではどうか?

医学科はどうでしょう?
比較対象は、神戸大医と、大阪公立大医2校です。
元々、国立大の神戸大医学科の評価は高いですが、大阪公立大医(旧大阪市大医)のブランドも遜色ないとも言え、この2大学の医学科は、いずれも高い評価です。
幾分、神戸大医>公立大医(旧市大医)といったところでしょう。

そして比較したところ、医学科では今のところ僅差という結果です。

医学科に関しては、元々授業料が、さほど出願に影響を与える学科とは思われませんが、年限が6年と長いこともあり、無償になるのであれば、大阪公立大出願に切り替えようといった受験生がいても何ら不思議ではありません。

他の学部系では神戸大出願が優勢であったことを考えると、医学科に関しては、出願が拮抗しているという状況は、初年度から公立大無償化の影響を受けたかも知れません。最終出願を注視したいと思います。

(5)看護系での影響は?

看護系専攻は、3大学ともにありますので、同様に比較してみましたが、こここでも、特に、今年に関しては志願者動向に大きな影響はなかったと思われます。

関西国公立大への影響

ここまで、大阪公立大、兵庫県立大無償化が、双方の府県に関与した神戸大に与える影響を中心にみてきました。その範囲においては、特に公立大無償化初年度大きな影響はなかったというのが、正直な感想です。

ただ、他にも関西には国公立大が多く、何等か影響を受け始めていると思われます。以下、その他関西の全国公立大について、1月29日現在での、出願状況をまとめてみました。



他関西の国公立大(前年比出願率の高さ順)


それぞれの数値には複数要因があり、一概には言えませんが、実際には、必ずしも学部が被らなかった教育大学の出願状況の出足が気になるところです。公立大無償化の影響があるのかもしれません。こういった中間数値は、数値変動も出願の参考になるかもしれませんが、こうした数値を見て動向が変動することもあります。最終的には、全出願結果を見るまではわかりません。出願はあくまでも「自分の学びたい学問」を中心に後悔のないようしっかり考えてすることが大切かと思います。


【まとめ】


"2024年度(令和6年度)の入試では、現時点で大きな影響は見られませんが、結果はまだ予測できません。理由として、完全無償化が令和8年度から始まるため、直近の影響は限定的です。令和6年、7年に入学する学生は2年生から無償化の恩恵を受けるため、令和8年に入学することで完全無償化を享受できます。ただし、既存の大学への出願動向には、今のところ大きな変化は見られない状況です。今後、無償化が学部選びや大学院進学に与える影響にも注目が集まっています。"


兵庫県公立大無償化の例

公立大無償化は、4年、3年と、上級生から順に実現されていくので、令和6年(今年)と令和7年(来年)に入学する学生は、無償化の恩恵を即座には受けられません。
まだ、今年の入学生入学後1年間は、入学金28万円に加え、年間授業料54万円(合計82万円)の支払いが必要です。

6年在学する医学科で影響が出始めており、大学院に進学する率の高い理系では、徐々に影響があるかもしれません。
何もしなければ、比較的4年で卒業する文系学部であっても、影響を受ける可能性もあります。

しかし、もちろん、公立大学無償化といった外的要因があっても、カリキュラムや研究、教育体制の改善工夫でより魅力的な大学にすることで、必ずしも影響を受けないで済むかもしれません。
実際、このところ、新しい研究や新しい教育体制への取り組みも続々発表されているようです。


いずれにしても、最終的な出願先を決めるのは自身の考えです。
こうした情報が、少しでも出願を検討する際に役立つことを願っています。また、慎重に検討し、最善の決断を下すために、各大学の正確な情報を直接確認することをお勧めします。

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