2024年、メディア革命の年

明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

先日、初詣で神主さんに言われて知ったんですが、今年は辰年ですが、その中でも甲辰というもので、60種類ある干支の一つです。前回の甲辰は60年前の1964年、東京オリンピックがあった年でした。その前は1904年、日露戦争で日本がロシアに勝利した年。甲辰という年は変革が起きる年だそうです。

調べてみたら、確かにそのエッセンスはありそうで、今年、革命が起きるように思えてきました。特にメディアにおける革命です。

1964年はマーシャル・マクルーハンが『人間拡張の原理-メディアの理解』を発表。マクルーハンはメディア論の元祖でメディアが人間の拡張であり、メディアはメッセージだと言った人でした。

西洋人が神経を自分の身体の外側に出すプロセスを始めたのは電信が最初である。それ以前のテクノロジーは、すべて肉体の器官の拡張であった。例えば、車輪は足を自分の外部に出したものであり、都市を囲む城壁は皮膚を集めて外化させたものである。ところが電子メディアは、中枢神経系の拡張であって、これは包括的で同時的な領域にほかならない。電信の発明以来、私たちは人間の脳と神経を地球全体に拡張させてきた。その結果、電子時代は実に不安な時代となった。人間は、頭蓋骨を内側に入れ、脳みそを外側に出して耐えている。私たちは異様に脆弱になった。米国で電信が商用化されたのは1844年、キルケゴールが『不安の概念』を出版した年である。

-マクルーハン『外心の呵責』


この年、IBMがシステム360を開発し、現在のコンピューターにも影響する革新的なコンピュータシステムが誕生。また、D・エンゲルバートがNLSプロジェクトを開始し、ハイパーテキストのプロトモデルを実現しました。コンピューター時代の到来です。

IBMは同年に初のワードプロセッサーを開発。国際電気通信衛星機構インテルサットが発足され、ワシントン〜NY〜シカゴ間にTV電話ピクチャーフォンが開通。電子メディアが花開いた年でした。

ちなみに、1964年はビートルズがUSツアーを成功させ、ボブ・ディランが風に吹かれてをリリース。ザフーが結成されています。日本では、平凡パンチ創刊、コント55号のデビュー、東海道新幹線が開通し、東京オリンピックが開催されました。


その前の甲辰は1904年。

日本初の無線電信に成功しています。長崎と台湾の基隆間で、日本初の無線電信の交信に成功。エルステルとカイテルが最初の実用的な光電池を考案。

光電池(photovoltaic cell)は、太陽光などの光エネルギーを直接電気エネルギーに変換する装置です。このプロセスは光起電力効果と呼ばれ、太陽電池やソーラーセルとも称されます。光電池は、再生可能エネルギー源として重要であり、特に太陽光発電システムにおいて中心的な役割を果たします。

コルンがセレン光電池による写真伝送方式に成功。アメリカではヒュットン社が設立され、無線を初めて業務に使用しました。そして、日本では初の無線電信の登場。1904年は無線電信の変革が起きています。マクルーハンが言った「西洋人が神経を自分の身体の外側に出すプロセスを始めたのは電信が最初である。」という言葉につながる重要な年だと言えそうです。

数理面では、ローレンツがローレンツ変換式を導出したり、ルベーグが『積分と原始関数の研究』を発表、ヒルベルトが積分方程式の固有値問題を提示。

ロンドンでは地下鉄が電化され、ロールス・ロイス一号機が誕生、ライト兄弟が1キロメートルを超える飛行に成功した年でした。


その前の甲辰は、1844年。
この年、最初の電信が誕生しています。

1844年5月24日、サミュエル・モールスがモールス電信機を用いてワシントン〜ボルティモア間に「神の創り給いしもの」を送信。この歴史的な出来事は、電信技術の実用性を世界に示す重要な瞬間でした。

電信の誕生(1844)から無線電信の幕開け(1904)、そしてコンピューター時代の幕開け(1964)と甲辰の年にメディアは大きな発展を遂げています。1999年に書かれた『メディアの技術史』には、第11章メディアのゆくえの中で究極のコミュニケーションとはワープとテレパシーだと考えてよいであろうと書かれていますが、果たして2024年どのような変革が起きるのか楽しみです。少なくともAIにとってはとても重要な年になるのでしょう。

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