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おそかった車 (思い出)

速い車の話題は数知れず。遅い車の話題出て来ない。関心を持たれないのもあるが、正直日常困るような車が現代に出現しないのもあると思う。確かに普通車のボトムである3気筒の1.0Lエンジンでも、話題にしたくなるほど衝撃的な感想は与えてくれない。

旧車は当然遅い。そういうクラシックカーを除き、自分が運転するようになったここ20年くらいの間で、とても印象に残っている車の話を今日はしたい。


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日産レパード 3.0XJ

ひとつめは日産レパード。お断りしておくが、この車の性能は十分だ。その辺の小型車よりはるかにパワフル。しかし、期待とかなり落差があったという点で忘れられない。VG30Eエンジンは低価格であることが売り。しかし、乗りながら本当に3.0Lもあるのだろうかと首をかしげたことをことを覚えている。160PS/25.3kg-mというスペックは、90年代の3.0L車としては寂しいものである。これだけ走れば不足はないのだが・・・。ライバルのトヨタの2.5Lよりも力はないし、もしかするとVVT-i化された1G-FE(2.0L)の方がよく走るのではないかと思った。

これはエンジンが悪いというよりも、時代に合っていなかったのだと思う。トヨタはこのクラスに常に最新エンジンを載せていた。日産だって持っていないわけではない。VG30Eより燃費に優れ、出力上回るVQ25DEを持っていたのだ。しかし、3.0Lだけどライバルより安いという方法で売りやすい販売サイドの要望などもあって、しぶとく残されていたと想像するが、高級車ということを考えると、Y33の時代にはVQ25に絞った方がよかったと私は思っている。最終型ではVQ25になっていたが、当時の日産らしい迷走を示したモデルといえる。


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三菱パジェロミニ X (NAエンジン)

10年近く前に乗った2代目パジェロミニもなかなか思い出に残る車である。NAエンジン搭載モデルがあったことに驚きだが、4WDの設定まであったのだから三菱は変態である。見るからにNAエンジンでは不足そうだが、今確認するとさほど重たいわけでもなく重量は920kgらしい。箱バンも4WDならそのくらいあったと思うが、もう少し走りはよかった。

搭載エンジンは4A30型という4気筒エンジンで、これが合っていなかったのかもしれない。スペックは52PS/6.3kg-mと軽自動車としては標準的ではある。しかし、大きなタイヤや構造上のフリクションやロスが大きい感じがして、これがなかなか刺激的な加速だった。まずアクセルを踏んでも動き出さない。というのは言い過ぎだが、そのくらいしっかり踏んでやらないと走らなかったのである。一度速度が乗ればなんとかなったものの、今時こんなにちゃんと乗らないといけない車があるのかと思ったことは大きい。

その後、ターボモデルに乗ったが、ターボでようやく普通に走る感じだった。ただ、それはジムニーでも同様で、スズキは早々にターボに絞っていた。少しでも販売を伸ばそうという心意気は理解できる。走りに無頓着な層もいたのだろうが、1.6L V6エンジンや、DOHC 20バルブの660ccエンジンに並ぶ三菱の変態ストーリーに刻まれる1台である。


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トヨタデリボーイ ディーゼル

これだけ車の登場時期が古いが、私が乗った中でナンバー1の遅さという記録を維持している。デリボーイはライトエーストラックなどのコンポーネンツを使った、デリバリー専用の商用車である。エンジンもライトエーストラックと同じく1.5Lのガソリンと(OHV)、2.0Lディーゼルを用意していた。

私が乗ったのは2.0Lディーゼルの2C型。詳細不明ながら73PS/13.5kg-mというスペックと思われる。これの4速オートマチックである。重量は1,200kg台のようだから、そんなに重いわけでもない。しかしこれが本当にびっくりするくらい加速しなかった。踏んだところでどうにもならず、60キロを出すにも苦労するという経験は初めてのことであった。むしろ、ここまで来ると楽しさにすら感じられ、興奮を覚えたほどであった。

デリボーイはスタイルはなかなかいい。個性的でむしろ今に合っている。しかし、あの走りはちょっとどうにもならない。K型エンジンに乗った記憶から考えると、5K型ガソリンの方が非力な中にも、まだ軽快に走るような気がして、もしも中古車の購入を考えている人がいるとしたら、ガソリンをおすすめしたい。


番外編

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思ったよりよく走った思い出 ライトエーストラック

遅い驚きもあるが、思いのほかよく走って驚くということもある。トヨタライトエーストラックが思い出の1台だ。ダイハツ製の海外生産モデルで品質はイマイチらしく、私の知っている会社ではアクセルペダルが折れたと笑っていたが、搭載の3SZ-VE型1.5Lエンジンは大した馬力もトルクもないのだが、けっこうスイスイ走って、しかも音質もなかなか悪くないことに感心してしまった。同じ系統でトヨタが開発に関わった2SZ-FEは病気になったのかなと心配になるほどエンジン音が悪くて、走らなかったのとは大違いで、小さなエンジンをうまく使いこなすダイハツの手腕を感じる出来事として書いておきたい。

今はエンジンも刷新されているようで、もっと良くなっていることだろう。カタログの数値だけではわからないところが車のおもしろいところだと思う。

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