【短編小説】喫茶ダブルドラゴン 第2話
からからん——
「開いてるぅ?」
ドアベルを鳴らして入って来たのは派手なハイヒールの女だった。ロング丈のダウンジャケットから覗く素脚のラインが印象的だった。
「今日はもう終いだ。“CLOSED”の文字が見えなかったのかよ」
喫茶店のマスター、竜田隆一はぶっきらぼうに言う。
「あー、寒かった……」女はカウンター席に腰かけてテーブルに突っ伏した。「ううぅー」泥酔している。
「おいこら……ちっ、しゃーねーな」
舌打ちしながら、ストーブの電源を入れなおして女の近くに置い