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Newton力学③ 運動エネルギーと運動量

前回の記事はこちら↓

必要な前提知識はこちら↓
・極限と微分,積分(準備中……)

Newton力学も3回目に入りました。今回からようやく,物理っぽいお話ができそうです。


速度・加速度

速度

まずは速度という物理量[物理的な意味をもつ量]を考えましょう。
速度というのは,単位時間あたりの位置の変化[変位]であり,時間$${\Delta t}$$に位置が$${\Delta\boldsymbol{r}}$$だけ変化したとき,速度$${\boldsymbol{v}}$$は,

$$
\boldsymbol{v}=\dfrac{\Delta\boldsymbol{r}}{\Delta t}
$$

しかし,実際には一瞬一瞬の速度というのも必要になるので,この形では少し不満です。瞬間の速度を求めるには,時間$${\Delta t\to 0}$$の極限をとります。つまり,

$$
\boldsymbol{v}(t)=\displaystyle\lim_{t\to\infty}{\frac{\Delta\boldsymbol{r}(t)}{\Delta t}}=\frac{\mathrm{d}\boldsymbol{r}(t)}{\mathrm{d}t}=\boldsymbol{r}'(t)=\dot{\boldsymbol{r}}(t)
$$

上の形は,記法が違うだけで,どれも同じもの(位置ベクトルを時間で微分するという操作)を表しています。
Newton力学のnoteでは,時間微分を表すのに,基本的に最後の$${\dot{\boldsymbol{r}}}$$を採用しています。
また,速度の大きさ$${\boldsymbol{v}}$$のことを”速さ”といい,$${v}$$と書きます。

加速度

次に,加速度の定義を見ていきましょう。
加速度は,単位時間当たりの速度の変化であり,時間$${\Delta t}$$に速度が$${\Delta\boldsymbol{v}}$$だけ変化したときの加速度$${\boldsymbol{a}}$$は,

$$
\boldsymbol{a}=\dfrac{\Delta\boldsymbol{v}}{\Delta t}
$$

察しのよい方はお分かりかもしれませんが,瞬間の速度と同じように”瞬間の加速度”というものを考え,

$$
\boldsymbol{a}(t)=\dot{\boldsymbol{v}}(t)=\ddot{\boldsymbol{r}}(t)
$$

で定義します。


運動エネルギーと運動量

(注:この章以降の内容は実験的な試みで,一般的な教え方とは順序や定義を大きく変えています。おそらく授業で習った(あるいはこれから習う)内容と全く違うと思いますが,循環論法をなるべく回避した結果ですのでご了承ください。)

運動エネルギーと慣性質量

運動している物体は,”何かをする能力”をもちます。これを”運動エネルギー”といい,実験から速さの2乗に比例することが分かります。
(注:例えば真上に物体を投げ上げたとき,打ち出す速さを2倍にすると4倍の高さに,3倍にすると9倍の高さに達しますよね?(たぶん))

そこで,運動エネルギー$${K}$$を次のように定義します。

$$
K=\dfrac{m}{2}v^2
$$

ここで$${m}$$は”(慣性)質量”とよばれる,物体ごとに異なる定数です。式の係数が半端な値になっているのは,この後の話の都合によるものですので,あまり気にしないでくださいね。

運動量と力

”何かをする能力がある”ということは,それだけその運動が激しいということを表しています。運動エネルギーは慣性質量に比例するのだから,慣性質量も運動の激しさに関わる量だと思ってよさそうです。
そこで,慣性質量$${m}$$と速度$${\boldsymbol{v}}$$の積も,運動の激しさを表す量として採用できるのではないか,と考えるのが自然です。
この慣性質量と速度の積のことを”運動量”といい,記号$${\boldsymbol{p}}$$で表します。

運動の激しさを変えるのに,を継続的に(つまり時間ですね)加える必要があることは,ご存知だと思います。これを物理の世界に持ち込んでみましょう。つまり,

$$
\Delta\boldsymbol{p}=\bar{\boldsymbol{F}}\Delta t
$$

ここで,$${\bar{\boldsymbol{F}}}$$は,外から加えられた力の(時間)平均。$${\Delta t\to 0}$$の極限では,

$$
\mathrm{d}\boldsymbol{p}=\boldsymbol{F}\,\mathrm{d}t
$$

この形に合うように,さまざまな力が,実験を通して定義されています。

今日はここまでです。ありがとうございました。

Newton力学編 目次
① 力学とは何か
② 位置の表し方
③ 運動エネルギーと運動量 ←今ココ!
④ 運動の三法則
種々の力
仕事と力積
⑦ 運動方程式を解く
⑧ 回転運動
⑨ 剛体の運動
⑩ 反発係数
◼︎ 章末問題

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