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職業選択の年齢差別ってなんで存在するんだろう?

 私は米国のソフトウェアエンジニアとしてクラウドプラットフォームの開発を日々エンジョイさせてもらっている。
 私は今52歳で、今のポジションについたのは3年前だから49歳の時に面接を受けたことになる。米国で働いていてとても快適と思う大きな要素として、上下関係が無いことと、年齢差別が無いこと大きいと思う。今日はふと、SNSで日本では相当の実力が無いと40歳以上でプログラマやれないというのを見て悲しい気持ちになったので、このブログを書こうと思いました。

米国での就職事情

 こちらでは、誰も周りの年齢とかを知らない。履歴書にも年齢を書く欄が無いしそもそも誰も気にしない。こちらでは、就職の際 Job Description というのがあって、このポジションではこんな人が求めらていますということが書いてあって、コーディングインタービューを経てそこに最も合っている人が採用される流れだ。だから見られるのはそのポジションにあったスキルであり、年齢とか性別とか人種とかそんなのは関係が無い。少なくともプログラマの職は。そもそもその判断に年齢ってなんで重要なんだっけ?

日本ではプログラマの年齢はなんで重要だったんだったけ?

 そういえば若い頃には良く「年取ったら融通が利かなくなる」とか、「頑固になる」とか、「ものを覚えられなくなる」とか「新しいことに対応できない」とか言われてた気がするが、今自分が50代になってみて、若い頃と比べて劣っていると感じているところは「元気さをキープするには運動が必要」「徹夜が無理」の二点ぐらいで、覚えにくくなったとも、新しいことに対応できないとも何とも思わないし、周りの人を見回しても私よりもかなり年上の人でもそんな人はいない。なんでこんなに違うんだろう?

 ちなみにめっちゃどうでもいいことだけど、最近筋トレ時の筋肉増加も90歳ぐらいになるまで年齢にあまり関係ないということを知りました。自分が50代だから筋肉の育ちがいまいちなんかなぁと思ってた自分に喝という気分ですw

個人商店と帰属意識

 こちらで働いていると自分は個人商店であるという感覚が凄くある。日本に居るときは会社に保護された一員という感じだったように思う。どういういう感じかというと、会社は自分のお客様だから、会社に自分ができることをアピールしてスキルを買ってもらっている感じだ。
 だから、年齢とか関係なくポジションをゲットしようと思ったら、勉強してスキルを磨いたり、経験を積めばよい。プログラマだったら、GitHubにたくさんスターが付くようなリポジトリを作ってもいいかもしれない。
 自分をアップデートしないと、スキルが古くなったら雇ってもらえないだろうし、周りも含めて息を吸うようにみんなスキルをアップデートしている。
 また、自分が頑固で、横柄で人のいう事も聞けない人だったら、働きにくいとやとってくれないだろう。だから、みんな自然と人にナイスな感じになるのではないだろうか?そのそも周りがみんないい人なのでそんな気分にもならないのかもしれない。

頑固な人はなぜ生まれたんだろう?

 しかし、人事の人もアホではないので、私の若い頃に言われていたことはきっと、一定の真実があったのだと思う。単純な想像でしかないが、終身雇用であったことを考えると、若い人は長くつとめてくれるし、年を取った人は努力しなくても会社が雇い続けてくれるのであれば、努力も勉強もしなくてよいし、めんどくさいから同じ方法を続けたくなるというのも理解できる。
 だからそういう人だと先に挙げたことはきっと本当なのだろう。ただし、それは年齢の相関ではなく、努力も勉強もしなければ衰えるのは当然の気もする。若くてもきっとそうだろう。
 ただ、日本でも終身雇用制は終了したといってよいし、新人であっても3年たたず転職する人が普通になってきているので、年齢でフィルターにするのはそろそろもったいない時期に差し掛かっているのではと思う。
 若くてなんも努力しない人より、今までもバリバリのエンジニアで定年迎えて時間ができたから大学院でコンピュータサイエンスを学びなおした人がいたら自分だったら後者を採用したい。どう考えてもそっちの方が出来そうだから。もちろん、逆もしかりなので、年齢ってどれぐらい重要なのだろう。要はその人のポジションとスキルのマッピングでしかないと思う。
 これから老齢の人が増えるのだから、そういう人も、若い人も、もっと楽しく仕事ができるほうがよさそうなものだ。

自分が選択できるようになると嬉しいかもしれない

 こちらでマネージャになる人は、マネージャが足りなくて上司がお願いというケースもあるが、みんな「自分の意志」でそうなっている感じだ。IC (Individual Contributor、つまりプログラマの事)とマネージャを比べても給料にそんなに差は無いし、マネージャになっている人は、そっちの方が向いているから、とかマネージャの経験を積みたいとか、子供がいるので、時間が拘束されるICより都合がいいからとか多いし、マネージャになっても、「やっぱ俺プログラマがいいや」とICに戻る人も多い。
   日本だと、「プログラミングは誰でもできる」と言われていたし(もちろん何言ってんねんと思ってたけどw)、マネージャでレバレッジを効かせたい的なところがある感じもするが、こちらの感覚だと、プログラマ自体が自動化してレバレッジを効かせる職種なのでどっちも同じぐらい重要で、そもそも誰でもできるんだったらすでに自動化している。だから100人のチームとか無くて、10人程度のチームが多い。

スキルで決まる世界はきっと快適

 何が言いたいかというと、年齢とか全く能力に関係のないパラメータで可能性が狭まるのはつまらないし、マネージャも、プログラマも職業の選択は、その人の年齢・性別・人種とかどうでもいい要素で決まるのではなく、そのポジションとスキルのマッチングに日本でもなってほしいなと思う。
 そうすれば、年齢などに関係なく、若くても、年を取っていても、がんばってスキルを高めれば、自分の望んでいるポジションにつける可能性が広がる。年をとっているからといって、高いポジションにつかないといけないとかもどうだろう?と思っていて、「自分はこれぐらいのポジションで楽にやりたい」と思うならそれでいいと思うし、「頑張って、あのポジションになって金稼いで引退や!」と思ってもいいと思う。

 今は令和だし、年功序列でも終身雇用でもないのだから、みんなが楽しく仕事ができて、企業さんも良い人がたくさん採用できるような世の中になればいいなと思います。

余談ですが

 普段ノートでブログを書いていますが、文藝春秋の編集者山本さんにお声かけをいただき、10/23 に本を出版することになりました。私は正直一流には程遠いですが、ガチの世界一流のエンジニアから学んだこと、米国のマイクロソフトのクラウド開発の現場で学んだことを全部ぶちこんだような内容になっています。私よりも100倍国語力に優れた皆様が編集しているのでとても読みやすくかつ、ビジネス書ですので、技術者ではない人でもエンジョイしていただけるような構成になっていますので、もしよかったら楽しんでくださりまし。

 
 

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