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「Be Lazy」のマネジメントでチームの成果が出る理由

自分の新刊や、インタビューでも一部説明している「Be Lazy」の考え方は、生産性とは、仕事の物量ではなく、物量はむしろ減らして、インパクトに重視するという考え方だ。詳しくは下記のリンクを参考にしてほしい。
この記事はそこからいただいた質問に対するフォローアップだ。

インタビュー記事リンク

この考え方はマイクロソフトに来てから本当に何度も出会ってきた考え方で、ものすごく生産性に貢献する考えなので、ぜひ日本でももっと広まってほしいと思っている。これは私オリジナルとかではなく、私は何回も体験しただけで、生産性のことを勉強するといろんなところに出てくる考え方だし、素晴らしい生産性の方に聞くと似たような考えをしていることが多いので本質なのだと思う。

自分の環境で実施するのは難しい

 フィードバックを読んでいるともちろん多くの人は喜んでいただけているようだが、自分の環境ではできる気がしない。お客様が許してくれないだろう。という意見もある。
 もちろん、そういう環境では簡単ではないだろう。じゃあどうやったらできるだろう?例えばこのようなブログが読まれて、こういう考え方がもっと一般的になってくればもっとその恩恵を受ける人がもっと増えるかもしれない。だから、微力ではあるが「ソリューション」の一環としてこのブログを書くことにした。

物量を減らすチームがなぜうまくいくのか?

 上記の書籍でも詳しく説明しているように、私は今マイクロソフトのクラウドの開発者として米シアトルエリアに住んでいるが、私のチームではマネージャが簡単にやる予定だった機能をスコープアウトする。「これいらないよねー」とか言って。
 じゃあ、なぜそんなことをしてチームがうまく回り、生産性が高くなるのだろうか?いろんな理由が考えられるが、今回はまず、「性善説・性悪説」の観点から見てみよう。

サボる人いないの?

こんなことをしたら、「サボって、仕事しなくなる人がいるんじゃないか?」と言われそうだ。事実スコープアウトしたところで、インパクトが重要なのでインパクトがあるのをしっかりやっていればよい。
 じゃあ、自分がもし故意に仕事の生産性を落として、アサインされる仕事を少なくしたらどうなるだろう?多分可能だ。マネージャはやっぱりできなかったら無理をさせず、機能をスコープアウトするだろう。一切文句も言わないだろう。つまり、この環境ではサボろうと思えばなんぼでもサボれる。もちろん会社も物理的にどれだけやったかとかトラッキングしている風もない。

なぜ、誰もサボらないの?

これはいくつか理由があるだろう。一つは、「仕事の報酬は仕事」ということだ。この言葉は先週対談した三浦さんの著書「言語力」に出てきた言葉だ。ちなみにこの本めっちゃ面白いのでお勧やで。

さぼって、あまりがんばらなかったら、マネージャは「あ、この人に仕事回したらあまり進まないな」と思うだろう。だから仕事が進む違う人にふろうと思うだろう。だから、自分が面白い仕事をもっとしたかったら、「こいつできるな」と思わせるのがよいだろう。だからみんな頑張るという仕組みだ。

 そんなんいらないからサボりたい。と思う人は周りを見回してもいないが、もしいたとしたら、あまり頻繁には起こらないが、レイオフがあったときに真っ先に候補にされてしまうだろう。だから、たとえそういう人でもそうならない程度には頑張るだろう。

違いは「自分から」頑張るか

じゃあ、上司に命令されるときとあまり変わんないんじゃない?と感じるかもしれないが、実際に体験するとものすごく違う。何が違うかというと、仕事を頑張ることを「自分」が選んでいるからだ。やらされているのはほんまおもろない。でもここでは、常に選択するのは自分だ。だからある程度がんばって、ワークライフバランスを安定させて、プライベートを充実させるというチョイスも全然可能だ。

採用を頑張る

あとは、これは個人的な意見なのだが、自分の今いる会社は「採用」を頑張っていると思う。日本の採用って簡単な面接だけだが、米国の会社は、「コンピュータサイエンスの学位を出ている程度の実力」という部分を確認しているし、コーディングインタビューしたり、アーキテクチャのディスカッションをしたりして、実務的な能力を具体的に観察する。ポイントは学歴といいうのではなく、「それ相当の知識」だ。私もコンピュータサイエンスは出ていない。沢山ある面接でいろんな観点で見極められている。だから、私も今のチームに採用されるようにいろいろ工夫をしている。ご興味ある人は下記のブログを読んでもらいたい。


高いレベルを要求する

ただ、そうやって、企業が「高いレベル」を要求すると、新卒含めて応募するほうも勉強してくるようになるので、入社してから新入社員教育とか必要ないし、初めから「最低限の技術的土台」を持った人が入ってくるので話がとても速くなるのを実感している。本にも書いているが、少なくともソフトウェアは、「低い技術力の人に合わせて誰でも作れる」流れにするよりも「ソフトウェアの専門家」をよい待遇でやとって少人数で開発する流れにするほうがイノベーティブなものが品質よく高速に出来上がる。これがビックテックがやっていることではないだろうか?
 プログラマ側からしても、誰でもできるつまり、本来自動化できるようなことをやらされるより、チャレンジングでイノベーティブで楽しいことをするほうがよっぽど楽しい。

 「ソフトウェアの専門家」になる門戸は誰にでも開かれているが、その勉強をしない人には閉じているというのが良い感じじゃないだろうか?
 だから、日本の企業もいい人が来てくれないと嘆くより、技術者をよい待遇にして、高いレベルを求めるという流れになってくるとより良い循環になってくると思う。

まとめ

今回は書籍やインタビューのフォローアップとして「BeLazy」なマネジメントがどうしてうまく回るのかを考察してみた。少なくとも働いている側からすると、圧倒的に「自分で決められる」スタイルで仕事をするのが楽しいし、そして、頑張れる!そんなことをシェアしたくて、今回の記事を書きました。

よかったら最近出した私の本も読んでみてくださいね。







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