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人生最後の大きなチャレンジの戦略を考える

 最近忙しさが落ち着いて物を考える余裕が出てきた。三流のプログラマの自分が、夢だったAzure Functions チームにも3年以上何とか首にならずに頑張れている。
 自分は正直お金はどうでもよいが、自分が胸をはって「自分はソフトウェアエンジニアです」と言えるようになりたい。
 目標は明確であった方が良いので、自分は「プリンシパルエンジニア」を本格的に目指すことにした。それは5年かかるのか10年かかるのか、果たして達成できるのか?すらもわからない。でも才能がまるでない自分がもし、それを達成出来たら、きっと自分の気分は最高で、多分死んでもいいと思うだろう。

プリンシパルというレベル

Software Engineer の IC (Individual Contributor) でプリンシパルというのは相当にレベルが高い。他の人に聞いたら、その前のシニアのレベルからプリンシパルに開発チームで上がるためには10年ぐらい見た方が良いといわれた。私がまさにそのレベルなので、その通りだと、あと6年ぐらいかかる計算になる。
 ただ、まるでプログラマとしての才能がない自分がこのレベルに到達出来たら面白いんちゃうか?というわくわく感はある。もちろん簡単にはいかないだろう、私の周りを見回しても、凄いやつばかりだ、、、世界中の人が使っているランタイムとその前身をゼロから自ら設計して書いて、しかも設計がむっちゃきれいな男、意味わからんぐらい賢くて天才的なソフトウェアのデザインをする男、複数のプラットフォームを自らリードして作り上げてすべての設計・実装をリードする男、意味わからんぐらい完璧にシステムを把握して、すべての回答は1回で終了し、実装もスーパー早く誰からもたよられるインターンの頃から話題の才能の塊のような人、、、

マジ、才能ある人しかなれへん、、、という感じ。実際の Job Description を見ても、相当にハードルが高い。それだけにめっちゃあこがれる。シニアから、プリンシパルになるこのハードルの高さよ。。。

友人のクリスは「パートナー」

ちなみに、私のメンターであり友人のクリスは「パートナー」である。パートナーは3レベルあるプリンシパルのさらに上だ。もうわけがわからない。クリスは、複数のプラットフォームを1から設計・実装・運用したどころか、世界のどこにもなかった Durable Functionというものを発明し、他のクラウドサービスに存在しないものを作り出した。
 となると、クリスはもう天上の人レベルか…と思うのですが、自分的には先ほど挙げたプリンシパルの人々の方が正直「特殊な才能」を感じる。クリスには特別な賢さ、記憶力、緻密さ、どれも感じない。でも誰よりも「成果」を挙げてるし、誰も作ったことのないものを作りあげたので、自分が一番かっこよく感じる人だ。
 その思いは数年同じチームにいても変わらない。だから私はずっと彼にメンターをお願いいている。今回も「プリンシパル」を目指すよという話を私のマネージャとクリスにしてみた。そこで学んだことを自分も忘れないように記録しておこうと思った。

マネージャとの会話


私のマネージャはほんま最高で、めっちゃくちゃポジティブです。普段はあははは、大丈夫!とかそんな雰囲気なのに、私がプリンシパルの1つだけ下のレベルなのに、今回は彼女の雰囲気が変わりました。珍しく真剣な顔をして「プリンシパルは本当に簡単じゃないよ。ものすごくハードワークをして、そして、ものすごくコントリビュートをしてようやくたどり着けるんだよ」と彼女は教えてくれました。
 少なくとも IC の Software Engineer の場合は、相当に厳しそうです。誰でもなれるレベルじゃなさそうです。少なくともうちの職場の場合は。
 ただ、こんな明らかに才能無い自分にも「無理や」とは言いませんでした。彼女なりのアドバイスをくれました。Mathew も Bala も Paul もみんな物凄いよね。でも、みんな全然違うでしょ?だから、誰かのようにならなくてもいいんだよ。自分の良いところを見つけるといいんだ。例えば君は、アサインされたものをめちゃくちゃ責任をもってやってくれる。だから、君なりにインパクトを出せることを見つけていくといいよ!

クリスとの会話

 クリスと今日そういう話をした。自分とクリスが最初にプリンシパルを目指したときの動機は同じで、マイクロソフトは十分すぎるほど自分にお金をくれている。だからお金に興味は無い。でも、自分が成長して、もっと良い開発者になる事は興味があって、そのゴールが欲しい。
 だったらしい。まったく自分と同じだ。彼が最初にくれたアドバイスは、2つ上のレベルのことを実践するだった。

2つ上のレベルを実践する

 クリスのアドバイスの最初のものは、2つ上のレベルを実践するということだった。自分は今シニアの一番上だが、プリンシパル①の Job Description を目指すのではなく、プリンシパル②の Job Descriptionを実践するようにするということだった。
 アメリカの職場の場合、その人のレベルよりの上の仕事をしていたら、そのレベルにプロモートされるという雰囲気だ。あまり先にだれだれが出世とかそんな雰囲気は無い。だからなりたいレベルの仕事を続けていればプロモートされる。
 そういえば私も大学受験時代、自分の本当の志望校の一つ上のランクの赤本とかをやっていた。
 そして、彼が続けて言ったのは、その Job Description を理解して、そして、自分がその Job Description の実力になったところを想像して、そういう人だったらどういうふるまいをするか?を想像して行動するようにするということだった。「そうしたら自分の行動が変わってくるよ」これは相当に強力なアドバイスと思った。

ワークアラウンドを見つける

 次に私が話したのは、「英語力」についてだった。ICであっても、プリンシパルレベルになると、「英語力」が相当に要求されるように感じる。ICではなくても、他の職種で「プリンシパル」になってる日本人は相当英語ができる人ばかりだ。
 だから私はクリスに「自分は英語力を相当に上げるつもりだ」といった。するとクリスはこういった。
 「うーん。もちろん英語がもっとできることはとっても良いことだとは思うけど、多分君の場合そうじゃない」
 これはクリスが私が英語がうまいといっているのではない。どういうことかというと、彼は続けていった。「だって、英語めっちゃ勉強するのは相当に大変じゃない?自分もそうだけど、自分の弱点については、それを克服するのに時間を使うのではなく、ワークアラウンド(回避策)を考えるんだよ」つづけて、彼は説明してくれた。「例えば、英語で何かを説明した時に、相手の顔を観察して、この人は本当に自分の言ったことを理解してくれたのかな?というのを判断する。もし、わかってなさそうだったら、もっとシンプルで簡単な言葉で説明したり、たとえで説明するんだ。たとえは本当に強力な武器だと思うよ。」

聴く方のワークアラウンド

 なるほど。これなら英語力の強化じゃなくて今日から出来る。しかし、私的に困っているのは、どっちかというとリスニングの方だ。特にアメリカの場合、会議は複数の人がいろんなことをしゃべりつづけるので、それを記憶を保持したまま、タイミングよくカットインするのはとっても大変だ。もちろん英語が理解できないことだってある。
 そんなことを話すと、彼は聴く方のワークアラウンドを教えてくれた。その場合は、相手を遮って、自分の理解したことを説明して、自分の理解があっているかを確認するのがいいよ。もしくは、ホワイトボードに自分の理解したと思ったことを書いてみて確かめるんだ。
 これはいろんな意味で効果的と思った。というのは、記憶の最大のコツは、思い出すことなので、そのメソッドを使うと、自分が思い出して記憶が定着するし、人に説明するとその効果がさらに増大だし、相手に自分がちゃんと理解しているか確認までできる。これは最高だ。
 あとは多分ちょっとした自分の勇気。明日からやってみよう。

スキップマネージャとOne on One をする

 クリスの最後のアドバイスは、スキップマネージャ(2つ上のマネージャ)と関係が良ければ、彼にお願いして、One on One をするというアドバイスだった。それは、2つぐらい上のマネージャの One on One をして、「彼の」悩みや関心ごとを聞かせてもらうのだ。彼の持っているアイデアも。彼の発明した Durable Function も作ったきっかけは実はスキップマネージャとの会話中に、そのマネージャが「こんな面白いツールがあるよ」とシェアしてくれて、それを自分で調べて、考えて実装したという経緯らしい。
 2つぐらい上のマネージャだと、ビジネス的にものを見ているので、彼の悩みや欲しいものを解決するのはとてもインパクトが強い可能性が高くなる。実際自分も似たような経験をしている。ハッカソンの対象プロジェクトを選ぶときに自分が思ったものではなく、スキップマネージャがパッションを持っているネタをピックアップしたら、今私がその実装担当をやっている。ものすごくインパクトのあるパートだ。

クリスには本当にいつもいいアドバイスをもらっている。先日も、「コードリーディング」がもっと正確に、早くなるためにはどうしたらいいか?PRを全部読むとかした方が良いか聞いたら彼は「それは効率あんまりよくないよ。それよりも、「作る」方が詳しくなれるよ」と言ってくれた。だから自分は夏休みは趣味コーディングを実施して、自分でツールを書いてみた。

多分きっと大変な道のり

 このレベルというのは、才能が普通にある人だったら努力したら到達できるレベルなのかもしれない。でも自分は才能ないし、今のシニアだって本当にその実力か?といわれると怪しい。でも数年かけてチャレンジしてみたいと思う。自分のようなどんくさい人は人生のすべてを技術にぶち込む感じで行く方が多分うまくいく気がしている。複数のことをやるのは自分にとっては難しい。
 だから、少なくとも今から1年は技術しかしない。と割り切ってどこまで近づけるか頑張ってみたい。そんな簡単になれないとおもっているけど、1年後に自分がなかなか成長できたと思えたらいいな。
 だって、自分の定年すらそんな遠くない未来なのだけど、それまでにするきっと人生で一番大きなチャレンジがきっとコレだから。受験生だって1年ぐらい受験勉強しかしないのだから、本当に一生懸命やるときはそんな感じで普通なのだろう。がんばるぞ!そして、本当に自分の人生の夢をかなえてみよう。
 


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