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公共の場所でのマスク着用を義務化せよ(2020年5月30日)

The Economist最新号(2020年5月30日)のLeaders(看板記事)。いつもは真っ先に政治経済のトピックを皆さんに共有しているのですが、今回は趣向を変えて「マスク着用しよう!」という柔らかい記事をご紹介します。でもマスクの話題が世界的に有名な英エコノミスト誌のトップ記事になるなんて!?と驚いたのは、私が日本人だからですね。欧米では、マスクの着用は社会的な啓もうと義務化が必要な「新しい生活様式」に違いありません。

英語原文は、以下からどうぞ:

以下、マイバージョン和訳です:

混雑した公共の場所でのマスク着用を義務化すべきだ
2020年5月30日

パンデミックはファッション通の人々にも影響を及ぼしている。店舗は休業しており、実際の色や着用感とのギャップを気にしながらオンラインで購入するしかない。しかし、ファッション業界にとって暗黒の夜にも、夜明けの光が差し込みつつある。今シーズンの最新マストハブアイテム、マスクを通じた個性的な装いのチャンスが生まれているからだ。

パリではすでにシックなマスクの市場が生まれている。パリの人々の絶妙なファッションセンスを考えれば当然だが、それだけが理由ではない。5月11日以降、パリでは公共交通機関の利用時にはマスク着用が義務付けられ、違反すると135ユーロ(150ドル)の罰金を科せられる。このため、メトロでマスクをしていない人を見かけることはめったにない。対照的に英国では、マスクの着用は政府に「奨励」されているだけで、ロンドンの地下鉄でマスクを着用している人は3分の1程度に過ぎない。

多くの先進国が、混雑した公共の場でのマスク着用を義務付けている。英国と米国はその数少ない例外である。米国では、東海岸から離れた州でマスクの着用が義務付けられているところはほとんどない。米国での新型コロナウイルス感染症対策は二極化しており、それが感染拡大の制御を難しくしている。マスク着用で命を救える可能性があり、人々も仕事に復帰できるようになるのに、残念な事態である。

多くの人が、マスクは空気中のウイルスから自分の身を守るものと考えている。それは間違ってはいないが、新型コロナウイルスの場合、より重要なのは感染者がマスクを着用することで他人に感染させないことである。このウイルスの特徴の一つが、無症状、あるいは潜伏期間中の人からの感染が全体の約3分の1から半分を占めると考えられることだ。つまり、症状の出た人が全員家にいたとしても、ウイルスは拡散してしまう。ソーシャルディスタンスは有効だが、人混みの中で維持するのは難しい。マスクは飛沫拡散を抑えるため、感染のリスクを下げることができる。

平時であれば、政府が新たな保健衛生上のルールを施行するには、治療群と対照群を比較した無作為化比較試験などの証拠が求められる。しかし、今は非常時であり、対策のスピードが求められる中でそうした裏付けを待つ時間的猶予はない。それに、マスク着用が有効だという兆候はすでに存在する。手作りのフェイスカバーも同様だ。実験によると、台所用の布巾で口と鼻を覆うと、飛沫の60%をブロックできるという。医療用のマスクほど効果は高くないが、何もしないよりはずっとましだ。手作りマスクなら、国民にマスクの着用を奨励することで医療従事者に不可欠なマスクが行き渡らなくなるという懸念も払拭できる。

東アジア諸国が感染拡大のコントロールに成功していることも、マスク着用が有効と考えられる理由の一つだ。東アジアの多くの都市では何年も前から、大気汚染や感染症から身を守るためにマスクが着用されており、新型コロナウイルスが流行すると、人々はすぐにマスクを着用した。西洋ではマスクをすることに奇異の目が向けられたのに対し、マスク着用が受け入れられている国では感染拡大はすぐに抑えられた。

これは、マスクを着用すべきことの決定的な証拠ではない。マスク着用が一般的な国での感染状況がそうでない欧米諸国と異なるのは、他にも要因がある。例えば韓国のように厳格な感染者追跡システムを持つ国もあれば、日本のように握手の文化がない国もある。ただし、ドイツなど最近になってマスク着用を採用した国は、感染拡大の抑制に成功している。

世界規模で自然に発生している社会実験、実験室での研究、そして無症状の感染者の存在ということを総合的に考慮すると、マスク着用は人々の安全を守るのに有効だといえる。決め手はコストである。ロックダウンは経済に大打撃を与えるし、ソーシャルディスタンスのルールも何らかの経済的悪影響を及ぼす。一方でマスクのコストはほぼゼロだ。もちろん、それだけで流行を止めることはできない。手洗い、追跡調査システム、大々的な検査の実施といったことも併せて行っていく必要がある。しかし、マスク着用も人々の安全を守り、経済を再建するために一役買うことができる。もちろん、マスクでファッションセンスを披露することも可能だ。

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日本でも手作りマスクをしている人が増えましたね!小池知事はマスクファッションの最先端をいっていると思います。欧米でも「#いま私にできること」の精神で、これからマスク着用の習慣が根付くといいなと思います。

では皆さん、どうぞよい週末をお過ごしください。






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