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各国は今こそ気候変動対策を進めよ:前編(2020年5月21日)

「自粛期間」が終了しても、新型コロナウイルスとの闘いは長期戦になる、という意識は徐々に浸透しているようです。The Economistの最新号(2020年5月23日号)は、パンデミックよりさらに長期的な視点が必要な「気候変動」の問題を取り上げました。パンデミックと気候変動は、国境を超えた地球規模の取り組みが必要なことでも共通していますね。今日はこの記事の前半部分を共有します。

英語原文は、以下からどうぞ:

以下、マイバージョン和訳です:

各国は今こそ気候変動対策を進めよ
2020年5月21日

新型コロナウイルス感染症のパンデミックの展開を追っていると、気候変動の危機の展開を早送りボタンを押して見ているような気がしてくる。ウイルスも温室効果ガスも易々と国境を超えて、世界を容赦なくムチ打つ。どちらの危機も、裕福なエリートよりは貧しく弱い立場にある人々をより大きなリスクにさらし、平時には考えられないような規模での政府の支援を必要とする。だが中国の指導部は自らの利益のみに焦点を当て、米国はパリ気候協定もWHOも軽蔑している。どちらの危機にも、必要な国際協調的対応は十分になされていない。

2つの危機は単に似ているだけではなく、相互に影響し合っている。経済の大部分がシャットダウンされたことで、温室効果ガスの排出量は大幅に減少した。4月の第1週の時点で、世界の1日当たりの排出量は昨年比17%減少している。国際エネルギー機関(IEA)は、世界の産業活動からの温室効果ガス排出量は2020年には前年比で約8%減少すると予想しているが、これは第二次世界大戦以降で最大の減少幅となる。

このことは、気候変動の危機をめぐる重大な真実を明らかにしている。つまり、飛行機や電車、自動車に代表される経済活動を放棄することで排出ガスの問題を解決するには、あまりにも代償が大きいということだ。さらに、この悲しい社会実験が示したのは、パリ協定の最も野心的な目標である「産業革命以前に比べて気温上昇を1.5℃以内に抑制する」には、仮に人々が今までの生活様式を大きく変えたとしても、世界が必要とする脱炭素化の取り組みの90%以上は手付かずで残されるということなのだ。

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