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意思表示

意思表示のポイントを図解でまとめます。
お手持ちのテキストの補助教材としてお役立てください。
勉強する時間が無かったときなどは、図を眺めるだけでも効果的です。



理解ポイント

  • 表意者からの視点で考える

  • 当事者間での効果と第三者との関係をしっかり区別して覚える


意思表示について

「意思表示」とは

「意思表示」とは、「意思」を「表示」することをいいます。
意思表示をした者のことを「表意者」といいます。

「意思表示」の流れ

意思が表示されるまでには、「動機」「意思」「表示」の手順を経るのですが、それぞれの間が矛盾なく繋がっていることで有効となります。
特に「意思」と「表示」が矛盾なく繋がっているか否かを意識しましょう。


詐欺による意思表示

例:AがBの詐欺により自己所有の不動産をBに売却した場合
当事者間では、取消せます。
第三者に対しては、第三者が善意無過失の場合には、取消しを対抗できません。

強迫による意思表示

例:AがBの強迫により自己所有の不動産をBに売却した場合
当事者間では、取消せます。
第三者に対しては、第三者が善意無過失でも、取消しを対抗できます。


錯誤による意思表示

錯誤による意思表示は、少し複雑なので、原則と例外、さらに例外の例外という感じで分けて覚えましょう。

当事者間①原則

原則
目的や重要なところに錯誤がある+表意者に重過失がない=取消せる
例外
目的や重要なところに錯誤がある+表意者に重過失がある=取消せない

当事者間②例外

表意者に重過失があったとしても取消せる場合があります。
それが例外の例外で、相手方が、

  • 表意者の錯誤について悪意または重大な過失により知らない場合

  • 表意者と同じ錯誤に陥っていた場合

相手方が表意者の錯誤について悪意とは、勘違いしていることを自分に有利になるように利用するなど、表意者を保護する必要があります。
重大な過失により知らないという場合は、表意者も相手方も重大な過失がある状態のため、この場合は、お互いの損害を防ぐためにも取消せたほうが良いわけです。

相手方が表意者と同じ錯誤に陥っている場合も同様に、お互いに勘違いしているのであれば、後の思わぬトラブルを避けるためにも取消せたほうが良いですよね。

第三者

Aが錯誤によって自己所有の不動産をBに売却した後、Bはその不動産をCに売却した。その後、Aが錯誤を理由にBとの売買契約を取消した場合、AはCに対して取消しを対抗できるか。

錯誤による取消しは、善意無過失の第三者には対抗できません。

動機の錯誤

「意思」を「表示」するためには、はじめに「動機」が必要です。
でも買い物をするときに、いちいち「なぜそれを売ろうと思ったのか」または「買おうと思ったのか」なんていうのを確認することは滅多にありません。

つまり「動機」というものは、表意者の心の深いところにあるので、相手方にとても伝わりにくいのです。
なので、動機の錯誤による意思表示は、原則として取消せませんが、逆に、動機が相手方に伝われば、目的や重要なところの錯誤となり、取消すことができます。


虚偽表示

当事者間

虚偽表示の場合は、当事者両方に契約締結の「意思」が無いので、無効となります。

第三者

AとBが通謀して、A所有の不動産の売買契約を締結し、登記も移転した後、Bは、その不動産をCに売却した場合、Aは、AB間の契約の無効をCに対抗できるか。

この場合、第三者が善意であれば虚偽表示による無効を対抗できません。
ウソの契約をした者よりも、通常の取引だと思って参加した第三者を保護するのです。

転得者

次に、第三者Cがさらに別の者Dに不動産を売却した場合、AはDに無効を対抗できるか。
この場合のCから不動産を買い受けたDのことを「転得者」といいますが、CとDのどちらかが善意の場合、AはDに無効を対抗できません。

Dが善意の場合は、理解しやすいと思いますが、Cが善意だとしても、なぜ悪意のDに対抗できないのか。
それは、AがDに、虚偽表示による無効を対抗できるとなると、不動産はAに戻ってきて、Aは満足するかもしれませんが、Dと契約した善意のCは、受け取った代金をDに返還しなくてはいけません。

そうなると、何も知らずに社会取引に参加した善意Cの権利を、ウソをついたAのために奪ってしまうことになります。
それは良くないよね、ということで、次々に転売されていく中で一人でも善意の者がいた場合、例えそのあとの者が悪意だったとしても結果的に保護されてしまうわけです。

ただ、「悪意」というのは、悪いヤツというわけではなく、単に「知っている」ということなので、そんな人と、ウソの契約をした者のどちらを保護すべきか、というのを考えれば納得いくのではないでしょうか。


心裡留保

当事者間

心裡留保、つまり冗談でした意思表示というのは、例えば、売る気が無いのに「売ります」といったわけです。
この場合、相手方が善意であれば有効となり、悪意や有過失の場合には無効となります。

表意者は、売る気が無いのですから、相手方が悪意ということは、相手方も買う気は無いわけです。
お互いにその気が無いものを有効にする必要はありませんよね。

相手方に過失が有る場合というのは、もしかしたら表意者はツッコミを期待して「いやそれ普通に考えれば冗談てわかるでしょ」くらいの冗談をいったのかもしれません。

でも相手方が善意の場合ということは、表意者も「売れればラッキー」くらいの感じで、信じてもおかしくないようなことを言ったのかもしれません。

第三者

それと同じように考えると、第三者の場合もイメージしやすいと思います。


とりあえずこんな感じでした!
追々、いろいろ追記していきます!

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