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報酬限度額の計算のコツと判断フロー
SNSを見ていると宅建業法の報酬額の計算が苦手だという方が少なからずいるようなので、しもじ流の計算方法などをご紹介します。
ちなみに、しもじは計算、特にお金の計算が苦手なので受験生時代は苦労しました。
そして今でも苦手なので、飲み会などで割り勘するときは、いつもボッタくられたような損した気分になります。
![](https://assets.st-note.com/img/1691992864882-2TRJXN02Rm.jpg?width=800)
「報酬の問題」解答の流れ
売買・交換の場合
売買・交換の報酬限度額の算出の流れは次のとおりです。
税抜き価格を出す
計算式にあてはめて計算する
消費税を加える
取引態様や依頼者等による振り分けを行う
次の過去問題で検証してみましょう。
宅建業者が売主B(消費税課税事業者)からB所有の土地付建物の媒介の依頼を受け、買主Cとの間で売買契約を成立させた場合、AがBから受領できる報酬の上限額は、2,046,000円である。なお、土地付建物の代金は6,200万円(うち、土地代金は4,000万円)で、消費税額及び地方消費税額を含むものとする。
1.税抜き価格を出す
土地付建物:6,200万円(税込み)
土地:4,000万円
建物:2,200万円
土地は消費税は非課税なので、4,000万円がそのまま税抜き価格となります。
建物は課税されるので、2,200万円のうち消費税10%である200万円を引いた2,000万円が、建物の税抜き価格となります。
そして、土地:4,000万円+建物:2,000万円=6,000万円が、今回の取引の物件価格(税抜き)となります。
2.計算式にあてはめて計算する
必ず覚える計算式
![](https://assets.st-note.com/img/1691999853913-fePD9x11oP.jpg?width=800)
物件価格を計算式にあてはめて計算するのですが、ここで、しもじ流の計算方法をご紹介します。
![](https://assets.st-note.com/img/1691999750579-FejRrl0mjt.jpg?width=800)
ポイント💡
そしてここで、計算式で算出した金額を「おにぎり」としましょう。
計算式で算出した金額=🍙
3.消費税を加える
上記で算出した「🍙=186万円」に消費税額を加えた金額を出すため、1桁ずらして足し算します。
![](https://assets.st-note.com/img/1691999927752-aXZGimds9O.jpg?width=800)
と、いう感じで「204万6,000円」という数字が算出されました。
いくつかの過去問題を解いて検証してみてください。
4.取引態様や依頼者等による振り分けを行う
❖ 媒介
上記で算出した金額を上限に依頼者から受領できます。
売主・買主、両方から依頼を受けていれば(両手)、両方から🍙を1個ずつ受領できるわけです。
❖ 代理
代理の場合は、一人の依頼者から貰える報酬上限額は🍙×2個です。
売主と買主、両方の代理人になることは双方代理に該当するため出来ません。
低廉な空家等の売買の媒介・代理
400万円以下の宅地や建物の売買の媒介・代理で、現地調査等の費用を多く要した場合に、宅建業者は売主に対して事前合意の上で、現地調査等の費用を報酬額に上乗せして請求できます。
ただし、報酬額と調査費用の合計は18万円(税込19.8万円)が上限です。
次の過去問で検証してみましょう。
宅地(代金200万円。消費税相当額を含まない。)の売買の代理について、通常の売買の代理と比較して現地調査等の費用が8万円(消費税相当額を含まない。)多く要した場合、売主と合意していた場合には、Aは売主から308,000円を上乗せして報酬を受領することができる。
代金が200万円(400万円以下)
売主からの依頼
売主に事前同意を得ている
上記から「低廉な空家等」に該当するので、現地調査等の費用を上乗せ請求できます。
ではまずは🍙を算出しましょう。
200万円×5%=10万円
次に、
🍙+消費税+現地調査費用≦19.8万円に当てはめます。
今回の現地調査費用は8万円なので、18万円となりルールの範囲内です。
さらに今回は代理なので、🍙をもう1個プラスできて、28万円+消費税=30.8万円が報酬の上限額となります。
仮に、現地調査等の費用が10万円だった場合は、次のようになります。
🍙=10万円
現地調査等の費用=10万円
この場合、そのまま合計すると20万円となり、上乗せ請求できる上限の18万円を超えてしまいますので、現地調査等の費用は8万円に減額されます。
なので、特に代理の場合には注意が必要となります。
先に2倍にしてから調査費用を上乗せするのではなく、🍙1個の段階で上乗せして18万円(税込19.8万円)以内に収まることを確認します。
その後に、🍙をもう1個プラスすると良いでしょう。
1件の取引に複数の業者が関わった場合
まずは過去問を見てみましょう。
宅建業者A(消費税課税事業者)は売主から代理の依頼を、宅建業者B(消費税課税事業者)は買主から媒介の依頼を、それぞれ受けて、代金5,000万円の宅地の売買契約を成立させた場合、Aは売主から343万2,000円、Bは買主から171万6,000円、合計で514万8,000円の報酬を受けることができる。
まずは🍙1個の金額を出しましょう。
5,000万円×3%+6万円=156万円
(土地は消費税非課税なので代金5,000万円のまま計算)
次に各業者の取引態様と受領できる報酬上限額を確認します。
宅建業者A=代理⇒🍙🍙
宅建業者B=媒介⇒🍙
ここで注意が必要なのですが、1件の取引で受領できる報酬限度額の上限は🍙2個までです。
今回の場合は、🍙2個をAとBで分け合うのですが、Bは媒介なので🍙1個が上限です。
つまり、1件の取引で受領できる上限は🍙2個までで、さらにそれぞれの業者は自身の上限額までしか受領できないということです。
媒介のBが🍙1個を受領すれば、代理のAは🍙1個、
代理のAが🍙1個半を受領すれば、媒介のBは残りの🍙半分、
ということです。
先ほどの問題で受領できる報酬額の上限は、🍙2個=312万円+消費税となるので答えは「誤り」となります。
貸借の媒介・代理の場合
貸借の場合は、1ヵ月分の借賃+消費税が限度額となります。
売買の🍙と区別するために、貸借の限度額は🥚(たまご)としましょう。
問題では建物の貸借が出題されます。
そして報酬限度額を算出する流れは次のようになります。
「居住用」か「居住用以外(店舗などの事業用)」かを判断する
「居住用以外」の場合は返還されない権利金があるか否かを確認する
「居住用」であればシンプルです。
報酬上限額は1ヵ月分の借賃+消費税であり、原則として貸主・借主から、それぞれ0.5ヵ月分+消費税(半分ずつ)の受領となりますが、事前に承諾があれば自由な割合で受領できます。
そして、媒介でも代理でも複数業者が関わっても1ヵ月分+消費税が上限です。
では、「居住用以外」の場合を次の過去問で見てみましょう。
宅建業者A(消費税課税事業者)は貸主Bから建物の貸借の媒介の依頼を受け、宅建業者C(消費税課税事業者)は借主Dから建物の貸借の媒介の依頼を受け、BとDの間での賃貸借契約を成立させた。建物を店舗として貸借する場合、当該賃貸借契約において200万円の権利金(権利設定の対価として支払われる金額であって返還されないものをいい、消費税相当額を含まない。)の授受があるときは、A及びCが受領できる報酬の限度額の合計は220,000円である。なお、1ヵ月分の借賃は9万円(消費税相当額を含まない。)である。
まずは「居住用」か「居住用以外」かを確認しましょう。
今回は「店舗」として貸借するので「居住用以外」です。
そして、返還されない権利金200万円があるので、この場合、権利金を売買代金とみなして報酬額を計算し、借賃1ヵ月分と比べて高い方を報酬限度額とすることができます。
では、権利金200万円から🍙1個分を出しましょう。
200万円×5%=10万円
AとCは、どちらも媒介なので、それぞれの依頼者から10万円ずつ、合計20万円(税込22万円)が限度額となります。
1ヵ月分の借賃9万円(税込9.9万円)なので、高い方の22万円が報酬限度額となります。
まとめ
売買の場合
税抜き価格を出す(土地は非課税)
計算式に当てはめて🍙1個を算出する
媒介は🍙+消費税、代理は🍙🍙+消費税
1件の取引で受領できる限度額は🍙🍙
低廉な空家等の場合
代金400万円以下で現地調査等の費用が発生しているか確認
「売買の場合」と同じ流れで🍙を算出する
🍙+現地調査等の費用≦19.8万円であることを確認
代理の場合は「3」の金額に🍙1個をプラスする
貸借の場合
「居住用」か「居住用以外」かを確認する
貸借の場合は1ヵ月分の借賃が🥚となる
「居住用」の場合の報酬限度額は🥚となる
「居住用」の場合は事前承諾が無ければ貸主・借主からは、それぞれ0.5ヵ月分+消費税しか受領できない
「居住用以外」の場合は「返還されない権利金」があるか確認
「返還されない権利金」が無い場合は🥚が限度額
「返還されない権利金」がある場合は、権利金を売買代金とみなして🍙を算出し、🥚と比べて高い方を限度額として受領できる
報酬額の問題は、これまでの説明のように丁寧に判断していけば正解できますが、試験は時間との勝負です。
問題を多く解いていく中で、素早くざっくりと計算できるようになり、判断速度を高めていきましょう。
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