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MaaSに関するクラウドメモ Part 1/?

しがない 元MaaS研究者,現某交通系(一応)企業勤務 としてMaaSに関する所感をいろいろ書く.
まったく整理して書く気はない.ただのクラウドメモ.

読みながらメモ・感想・疑問・思い出したこと①

P20「自動車利用に依存した社会からの脱却の1つ」
-> 日本版MaaSでの将来ビジョンとして「自動車利用脱却」は適切か?
特に日本では公共交通の発達地域も多く,大都市型MaaS(暫定的な仮称)は自動車を脱却することが目的とは言えないのでは.別の目的意識も存在しているはず.

p30「グーグルカレンダーに登録している自分の予定が出てくる」
-> これ必要だって(ワイが)ずっと言ってる.

p59「公的サービスの自由化による変革をとらえるため,通信・エネルギー・鉄道・航空の4分野のケーススタディ」
日本の場合では?

p82 「ヘルスケア業界との連携も考えられます.たくさん歩いたひとは料金が安くなるように」
この手法での交通機関側のインセンティブは?
確かにヘルスケアは盛り込みたいところだが,一方で徒歩利用と交通利用は背反しうるところ.

p87 交通分担率の観点からみて,やはり一概に都市型とか括るのは厳しいな... てか無理.

p88 「高齢者のQOL向上のため,移動の足を確保する」&「高齢者の免許返納」というのは全国的な話になるので,その点に関しては全国で共通の課題としてみなしてよい.特に「足がないから返納しない」というのはよく聞く話.

p92「... 楽しめるような場所が日本の地方都市には圧倒的に欠けているのだ」
それが主要因なのかは疑義があるが(労働の問題・金銭的な問題などのほうが大きい可能性も?),確かにその節はある気がする.実態アンケートはあるか?

p94 「地方都市以上の渋滞はあるし,大気汚染や騒音の問題もある.当然事故も多い.(中略)人口が多いからクルマの絶対数は多いし,経済の中心だから物流のクルマが多いという...」
この問題が実際MaaSに転換するうえでの理由付けとなるかが怪しい.そもそも(最終目標が一極集中を解消する!!とかでもない限り)こんな高集積で都市活動をする中では「渋滞や大気汚染・騒音は地方以上」ということが交通手段を変える訴えかけにはなりにくいんじゃないか?
クルマの絶対数が多いのはそりゃそうだが,その分交通容量なども大きい.物流は一般にはMaaSと結びつけられていない(まだ).

その点で後述されてるように,カオスな東京の公共交通をある種ソフト面で「統一」を図ることが「大都市型」MaaSの目標になる気がする.(「環境面・渋滞解消のため」の公共交通への転換ではなく,「公共交通の利便性向上」に伴う公共交通の転換がもたらす環境・渋滞問題の解消,が自然な流れな希ガス.)

p98
ド地方():そもそも交通手段がないor 維持が厳しい -> 自家用車によるライドヘイリング・ライドシェアから 
地方都市圏:一定の交通手段はあるので,それの効率的運用から考える&移動選択肢(ド地方と同じ)を増やす.
大都市圏:公共交通のスマート化,タクシーの柔軟な使い方を可能とする.パーソナルモビリティの確保(ただし適切な移動路が足りないよね

p100 移動ビッグデータの利活用
何が取れるか?:ラグランジュ的なデータ(OD断面データではなく経路データ)とそれの付随する属性値(人・移動手段)
p101 「縁石のセットアップへの活用」は興味深い.可動式縁石とかもありうるかもな...?

p103 地域内循環構造を構築するためのMaaS

p108 論理に欠陥.「クルマ社会の地方でも車に乗っているのは一日せいぜい1時間程度で,(中略)それに対してこの金額を払っているのは不経済だ」
-> ①これは「車を会社に"無駄に"待機させてでも,待ち時間ゼロで直行直帰できることの効用が公共交通利用より高い」という状態.実稼働時間で不経済と断定するのは不適切では?
②そもそも地方ではクルマは通勤手段として主に使っているのであり,「週末しか使わない」という例は希少なのでは(高齢世帯除く)

但し,そのあとの配車サービスの部分は尤も.あと仕事時間中のクルマの稼働をできる仕組みがあればそれは完璧.その点で乗り合いは有効かなと.

p111「免許がなくても困らないくらし」これである.

p114「移動に関する情報のうち,... 産業データには ... まだ十分にアクセスできていない」IoTってとこか.


論文とか

Jana Sochor et al.(2017): MaaSの統合レベル定義をしたらしい.

0. no integration
1. information:マルチモードの検討 -> 移動コスト認識への働きかけ?
2. booking & payment:単一トリップ化.-> 移動需要そのものへの働きかけ?
3. service offer:パッケージ化.
4. societal goal:官民連携.


関係なく感想

①データ連携基盤どうやって進めるか.
②都度払い・定額利用そのサービス設計の境界.
③外国人利用者・そもそも東京圏初めての人など,運行会社境界が不明な人に対するアプローチとしてのMaaS
④スマートEX・新幹線eチケットみたいな,ネット事前決済-> 通過時にICカード利用で確認する方式,有効かも?(スマホ画面見せるよりいいのでは?)
⑤鍵は多様なパッケージプラン?
⑥タクシーのファースト/ラストワンマイル売りが有効か?(収益の観点で)
-> ただ,初乗り数キロが実質値下げしたことも考えると,意外と有効なのかも.

キーワードっぽいもの

「まちづくりと公共交通の連携」
「ラストワンマイル利用として鉄道とタクシーのコネクト」
「カープール」事前の示し合わせ,「ライドシェア」偶然同じ方向に行く乗り合い,「ライドヘイリング」マイカーを呼び出して送迎させる 
→この辺りは配車サービスとして台頭.

用語メモ

- TAPforce
- Moovel Transit
- Car2go(カーシェア)
- shareedstreets(移動データプラットフォーム)

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