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右往左往することなく

 最近は世界的に名の知られた米国のIT企業が相次いで人員削減を打ち出しています。巣ごもり消費やテレワークの進展によって、コンテンツサービスの利用者増加やパソコンの需要拡大により、これらの企業は人員を急拡大させたことや、人材獲得競争が激化することで報酬が高騰したことで、人件費が経営を圧迫している現状があり、加えて、金融政策の引き締めにより、米国経済が景気後退局面に入り、今後の需要減が見込まれることから、こうしたリストラ策を急いでいるようです。
 おそらく、これらの企業で働いている人は、転職経験のある人が多く、こうした人員削減の対象になっても、茫然自失ということはないのでしょうが、景気後退の局面では、条件の良い次の仕事を見つけるのも難しくなり、物価全般が高騰している中では、生活も厳しくなるのではないかと思います。
 一方で、IT人材は引き続き社会全体で不足していることから、人材獲得のハードルが下がり、他の業界にとっては、こうした大手IT企業からの人材流出はチャンスであり、新天地に移ったIT人材により、新たなビジネスが開拓され、企業の生産性が向上し、中長期的には社会全体の底上げが図られる契機にもなるように思います。
 ただ、世界のスタンダードを牛耳っている米国のIT企業でさえ、安泰ではないわけですし、IT業界は変化が激しく、柔軟性と体力に恵まれている若い人ほど有利な業界ですので、社会の入り口ではもてはやされていても、長く走り続けるには、変化にも対応しつつ、自分の立ち位置も変えていかないと、変化の波にのみこまれてしまう、外部から見ているのでこの見立てが正しいかは確証を持てないのですが、そういう一面は確実にあると思います。
 人生は百年時代に突入しつつあり、人口構成の変化に耐えうる社会保障制度を維持していくためには、70歳、80歳まで働くことが当たり前の社会になっていくことになるでしょうから、長く走り続けられない仕事では、人生を尊厳を保ちつつ全うすることは難しくなります。
 ITスキルはどの分野においても、当面は必須のビジネススキルであり続けるでしょうから、一定のたしなみは身につける必要があると、僕は考えており、IT試験を通じてそうしたスキルを実装しようとしているわけですが、それを生業の中心にするかどうかは、自分が向いているかどうかが大事なように思います。
 結局、世の中のブームや他者の推しに右往左往することなく、自分が好きかどうか、続けられそうかどうかを基準に、生業は選ぶことが、人生を完走するために大事であると、今になって思います。ただ、社会の入り口でこうした確たる信念を持つのは難しいと思います。とりあえずで動き出しても、途中で軌道修正は可能であり、僕自身も、リスキリングにより、軌道修正を図ろうとしています。

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