東日本大震災からちょうど11年目を迎えるこの日、震災時の東京の出来事を描いた小田尚稔の演劇「是でいいのだ」を三鷹SCOOLで見ることになった。震災劇と「当事者性」の問題について震災10年の昨年書いたこの文章*1で考えることになったのだが、東京で震災を体験した小田尚稔がひとつの解答として導き出したのがこの作品。被災地と東京には距離があるけれども、その距離をもまるごと抱え込んだ作品を創作、それを毎年この時期に上演し続けてきたことには「当事者性」以上の重みがあると思うのだ。最近選んだ震災劇ベストアクトにも入れた秀作。
初演の当時このような感想を持ち、今回の舞台を見る前に書いた震災劇ベストアクトでもそれを踏襲したが、今回の感想もほぼそのままだ。初演時も東京での震災経験を描いたこの作品は珍しいものであったが、今となっては本当の被災地である東北でも被災経験の風化などが一部出てきているなかで、今後こういうものが再び出てくることはないだろうと思われる。それだけに当時東京の人々がどのように感じたのか、感じることのできるこの作品をこの時期に毎年上演していることは極めて重要だと思う。
simokitazawa.hatenablog.com
simokitazawa.hatenablog.com
www.youtube.com
*1:simokitazawa.hatenablog.com