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中西理のアイドル論考

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演劇ダンスなどを批評してきた中西理がアイドルについて考えてきたこと、ライブ参戦のレポートなどを掲載します。
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2022年7月の記事一覧

クマリデパート×CROWN POP 2マンLIVE「ekoms presents「Q×C」」@新宿BLAZE

クマリデパートとCROWN POPの対バンライブ。最近けっこう視察も兼ねてアイドルフェスには顔を出したのだが、当該のアイドルをよく知りたいと思ったら、こういう対バンライブはとてもいい経験になる。ただ、相手のファンなどにもその実力を余すところなく測られてしまうということもあるので発展途上のグループにとっては厳しい経験であるとも思う。 CROWN POPはもともと2人のボーカルに残りのメンバーはダンサーというダンス&ボーカルグループの色彩が強かったが、このところ全員が歌割りを担当

CROWN POP単独ライブ「豊洲に来て」@豊洲PIT

CROWN POP単独ライブ「豊洲に来て」@豊洲PITを見た。CROWN POPのワンマンライブを生で見るのは昨年8月の「CROWN POP STYLE」@Zepp DiverCity 以来だろうか。その間にフェスや配信では見ているとはいえ、ワンマンの場合満を持して仕上げてきている部分もあり、グループとしての成長を感じた。 特に目を見張ったのは田中咲帆のボーカリストとしての成長だ。クラポで歌と言えば三田美吹(いぶいぶ)の独壇場のようなところがあったが、この日は田中はその三田と

「CROWN POP STYLE」@Zepp Diver City

CROWN POPの5人体制になってからの成長ぶり、充実ぶりがうかがえる単独ライブであった。トップのももクロ、エビ中がそれぞれ方向性は違いものの恋愛を歌ったようないわゆる「アイドルソング」から一線を画した楽曲が主体であることもあってか、スターダストプラネットはあまりアイドルを強調しないようなグループが多い。そういう中でCROWN POPはいわゆる「ガチ恋勢」を対象としたアイドル楽曲が多く、スタプラでは珍しいアイドルらしい正統派アイドルグループだと言っていいだろう。

Perfumeとももクロのパフォーマンスについて 配信ライブを中心に(その1)

配信で最先端走るPerfumeとももクロ PerfumeとももいろクローバーZ(ももクロ)という2つのガールズユニットが現在いろんな意味で日本のエンターテインメントの最先端を走っていると考えている。Perfumeとももクロは昨年のコロナ禍で予定していた大規模会場(Perfumeは東京ドーム、ももクロは西部ドーム)でのライブを中止に追い込まれたが、いずれも配信ライブを行った。多くの人気アーティストが無観客のライブをそのまま配信ライブとしているなかで、この両者のそれは最新のテク

Perfumeとももクロのパフォーマンスについて 配信ライブを中心に(その2)

ももクロは配信ライブの新たな可能性について挑戦的な試みを続けてきた*1が、これまでの試みを踏まえての決定版ともいえるライブ配信が「PLAY!」(2020年11月)だったのではないかと思う。VR技術を駆使した新曲の「PLAY!」の初披露から始まった。今回の配信ライブが凄かったのはPerfumeの配信ライブなどでも駆使されたVR(仮想現実=バーチャルリアリティー)など最新のデジタル技術を活用した場面をまず最初に提示しながら、デジタル技術だけに頼らないでシーンごとに様々な映像に関す

Perfumeとももクロのパフォーマンスについて 配信ライブを中心に(その3)

配信コンテンツとしての大きな鉱脈 ディズニーランドやUSJでも可能 ももクロの配信ライブはその後も続く。2年連続で緊急事態宣言下となった5月の連休には「ももクロの『家にいろTV』」と題して春、夏、冬に行った過去の大規模ライブの映像の連続配信を行ったが、その最終日となる第5夜には「SURF & DOLPHIN in 品プリ」という表題の生配信ライブを行った。品川プリンスホテルに併設された水族館施設を借景にした企画ライブで、ラストの場面ではイルカショーとのコラボも用意された。こ

4人のももクロ復活、エビ中新メンバー初ライブ 横アリで開催の巨大アイドルフェス @JAM EXPO 2020-2021@横浜アリーナ

@JAM EXPOはTIF(TOKYO IDOL FESTIVALL)と並ぶ、日本を代表するアイドルフェス。今年は最終日である29日にももいろクローバーZ、私立恵比寿中学を始めとするスターダストプラネット(スタプラ)のアイドルが大挙して参加するため、何とかチケットを確保して出かけてみることにした。ひさびさの有観客ライブとなるももクロももちろん大注目だが、何と言っても目玉は8月21・22日に予定されていた大型野外ライブ「ファミえん」が中止となり、代わって@JAMが新メンバー3人

あーりん(佐々木彩夏)ソロコン AMEFURASSHIの小島はな・愛来 セクシーかつスタイリッシュな怪盗一味演じスター誕生か! 佐々木彩夏ソロコンサート「AYAKA NATION 2022」in TOKYO GARDEN THEATER(東京ガーデンシアター)

開演前にディズニープリンセスのテーマ曲が客入れの音楽として流されていたので「今回はプリンセスがモチーフのミュージカル的演出かな」と思って、ライブを見始めた。後輩のアイドルたちが舞踏会のような衣装で登場する場面も冒頭近くにはあり、その予想通りの展開がしばらく続くが、6曲目の「CAT’S EYE」でセクシーな衣装を着たあーりんがAMEFURASSHIの愛来、小島はなを引き連れて登場。「キューティーハニー」に引き続き、歌詞まで入れ替えた「行くぜっ!怪盗あーりん」で本当の主題は「キャ

AMEFURASSHI シン・魂の公開稽古 vol.9@渋谷ストリームホール

今回の「シン・魂の公開稽古」はエンタメ稽古が気象予報士・防災士の千種ゆり子先生が講師。気象予報士がゲストということで浪江女子発組合の定期大会時の「天気図」などを見せてAMEFURASSHI=雨女説の検証をしてもらうという類のバラエティー展開かなと勝手に予想していたのだが、よくよく考えてみればそれが面白くなるには佐々木彩夏の存在は不可欠で、先生も気象予報士の傍ら東大大学院で地球温暖化を防ぐ研究なども行っている研究者でもあり、割と真面目に地球温暖化について勉強する回になった。 と

ポップダンス、ブレイクダンス……。アイドルの新たなダンス挑戦が魅力的。アメフラっシ 「シン・魂の公開稽古第三回公演」@新宿ルミネゼロ

愛来が足をケガのニュースが急きょ飛び込んできたのでどういう感じだろうと心配しながらの参戦。この企画は単独の自主的イベントからプラットホームを変えて、継続しているもので現在のフォーマットになってから第三回。会場も徐々に大きくなり、今回は客席250~300席の新宿ルミネゼロでの開催。  ゲストは第一部は予想通りにももクロのももクロマニアのマラソン大会の監修などでもおなじみの谷村真理。長時間のライブでも持ちこたえられるスタミナづくりという実践的な主題で、「ファンからすると意外かもし

かわいさよりもカッコよさを探求するももクロの後輩グループ Youtube映像で見るアメフラっシ入門

ももいろクローバーZや私立恵比寿中学が所属するスターダストプロモーションのアイドル部門スターダストプラネット(スタプラ)の中でいまだ知名度こそ高くないが、私が個人的にもっとも注目しているグループがアメフラっシ=写真上=である。ももクロ直系のアイドル育成グループに3Bjuniorというのがあり、ここからはロッカジャポニカ、はちみつロケットといったグループが巣立っていった*1が、この育成グループが解散後、残された精鋭メンバーで結成されたのがアメフラっシである。おかしな名前からギミ

夏菜子支える本広、宗本、ANNAと岡田美音の存在。百田夏菜子ソロコンサート「Talk With Me ~シンデレラタイム~」(2日目)@さいたまスーパーアリーナ(渋谷HUMAX=LV)

百田夏菜子ソロコンサート「Talk With Me ~シンデレラタイム~」2日目は渋谷HUMAXのLV(ライブ・ビューイング)で鑑賞。前日の現地観覧では分からなかった演出的工夫がここでは分かった。演出の本広克行は映画監督だから、この日のLV中継やあるいはこの日の収録映像を基に再編集して制作するであろう映像版「Talk With Me ~シンデレラタイム~」のことも頭にあっての今回の演出なのだろうということがはっきりしたのも今回のLVの収穫だ。 前日の現地ではセンターステージの

元たこ虹の清井咲希 絶対センターのオーラ放つ 舞台「NIGHT HEAD 2041」@シアターGロッソ

「NIGHT HEAD」といえば私の世代では豊川悦司と武田真治が超能力者の霧原直人・直也兄弟を演じ一部でカルト的な人気を呼んだテレビドラマを思い出すが、今回の舞台版の「NIGHT HEAD 2041」は同じ題名のアニメが原作である。アニメのキャラクターデザインなどを公式サイトで参照してみたところ、ほぼ舞台とアニメは同じイメージで製作されており、そういう意味では典型的な2・5次元演劇といっていいのだろうと思う。 www.youtube.com  今回の舞台はダブルキャストで配

“夏菜子浴”を全身で浴びる。百田夏菜子ソロコンサート「Talk With Me ~シンデレラタイム~」(1日目)@さいたまスーパーアリーナ

ももクロ百田夏菜子による初めてのソロコンサート。演出には本広克行監督が起用された。客席はスタンドサイドの後方(17列)だったが、入ってみるとセンターステージで視野は良好。SSAでこの形態は初めてではないか。両サイドにはかなり巨大なモニター画面が一対設置されていた。 初日ということで詳しい中身には触れないことにするが、結論からいえばとても素晴らしいソロコンだった。もちろん、毎年開催を続けることで進化を続けている佐々木彩夏、高城れにのソロコンはそれぞれまったく違ったよさがあるのだ