元たこ虹の清井咲希 絶対センターのオーラ放つ 舞台「NIGHT HEAD 2041」@シアターGロッソ
「NIGHT HEAD」といえば私の世代では豊川悦司と武田真治が超能力者の霧原直人・直也兄弟を演じ一部でカルト的な人気を呼んだテレビドラマを思い出すが、今回の舞台版の「NIGHT HEAD 2041」は同じ題名のアニメが原作である。アニメのキャラクターデザインなどを公式サイトで参照してみたところ、ほぼ舞台とアニメは同じイメージで製作されており、そういう意味では典型的な2・5次元演劇といっていいのだろうと思う。
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今回の舞台はダブルキャストで配役されており、この日は霧原直人(鍵本輝)、霧原直也(大崎捺希)、黒木タクヤ(木原瑠生)、黒木ユウヤ(矢部昌暉)、そして物語のキーを握る謎の女、双海翔子役で元たこやきレインボーの清井咲希が出演した。
超能力者ものと言っても自分の能力を制御することができず逃げ回ってばかりいた原作とは異なり、「〜2041」では精神エネルギーの存在が否定され、存在してはならない能力者を狩る組織とそこで働く政府側の能力者とのバトルがほぼ全編にわたって展開され、演劇においてはプロジェクション映像と白黒で覆われた黒子的なパフォーマーによる身体表現と自在に組み合わさることで迫力あるバトルシーンが展開された。
バトルシーンでの殺陣の凄さが舞台としてのこの作品の売り物だろうと思われる。バトルシーンの一部ではフロア上に奈落まで続く巨大な穴が開くような用意されていて、スタント的なアクションが可能なパフォーマーが天井近くの梁から直接そこに飛び込んでいくような荒業も披露されて、迫力十分だった。
原作の「NGIHT HEAD」では出来るだけ戦いたくない主人公の兄弟が戦いを避けて逃げ回るような展開が続いたような記憶があるのだが、「NIGHT HEAD 2041」では主人公の霧原兄弟と合わせ鏡のように対峙して、再々に当たって超能力バトルを行う黒木兄弟の存在がクローズアップされていて、彼らのバトルが繰り返されることで、スペクタクル的な娯楽性が高まったのではないかと思った。
実はこの舞台を観劇したきっかけは元たこやきレインボー(たこ虹)の清井咲希が双海翔子役で出演したからだ。グループ在籍時から女優志向のあった清井だが、再結成断念後は一層そこへの思いが強まったのではないかと考えるが、等身大の人物を超えた存在でもあり、誰もが容易に演じられる役柄ではない。しかし、最初に登場してひとことふたこと言葉を発しただけで只者ではない空気感が発せられており、メジャー契約アイドルグループの絶対的センターの放つオーラはさすがと感じさせるものがあった。彼女の場合、日常の雰囲気はどちらかというと人懐こい感じなのに一瞬にして場の空気を変えるのには天賦の才があると思う。
アイドルとしてそれを見ることができないのは残念だが、女優としていいスタートをきったと感じた。ダブルキャストのもう片方では私立恵比寿中学の中山莉子が双海翔子役を演じた。残念ながら見ることは出来なかったが、このふたりはまるで違う個性ゆえにどのように演じたのかは気になるところだ。
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