見出し画像

発達障害という診断名よりも重要なのは「発達特性」を知ること

精神障害についてはまだまだ偏見の目がありますが、1999年頃に出てきた「うつ病」「こころの風邪」という概念をきっかけに、誰でもかかりうるもの、というイメージに変わりました。

また、服薬治療や一般的な医療・福祉支援では回復、問題解決に至らないケース、躁うつ病のような症状はあるけれど、ハッキリと診断できないようなケースは「パーソナリティ障害」と分類されるようになり、メンヘラといった言葉と共に広まりました。

さらに時は進み、2006年に発達障害者支援法が施行されます。
これまで発達障害は知的障害を伴う自閉症、というイメージが強かったのですが、知的障害がなく普通級に通い、人によっては大学を卒業し就職している人でも、発達障害の特徴によって仕事や人間関係がうまくいかない人、大人になってから発達障害の診断を受ける人を「大人の発達障害」というようになりました。

うつ病→パーソナリティ障害→発達障害
と、世の中は流行りの言葉を作り、ここ数年は仕事がうまくできないと「発達障害があるのでは?」といった考え方をする人が増えています。

ちなみに、診断は医師のみができることです。
勝手に決めつけるのは、ハラスメントにもなります。

実は、私自身も精神障害と発達障害を持っています。
診断基準や医療技術の変化、診断の流行りによって、診断名は様々に変化していきました。
統合失調症→双極性障害→パーソナリティ障害→発達障害と気分変調性
現在は、「発達障害」と「発達性トラウマ障害」という診断名がついています。

精神障害や発達障害について学び、自分と向き合う中で一番しっくりする診断は「発達障害」でした。
また情緒不安定などの精神症状は、環境にうまく適応できないストレスから生じる二次障害であることも分かりました。

しかし、知れば知るほど「発達障害者」とそうでない人の違いが分からなくなっていきます。私自身も専門の医師に出会うまでは「個性的なだけだ」と言われており、発達障害の診断はつきませんでした。
実際に、相談支援をする中で「特性はあるけれど、診断をつけるほどではない」と言われて途方に暮れる方も多くいました。
医師ですら的確に診断することが難しいものが「発達障害」です。


そもそも、発達障害とはなんなのでしょうか?

ここから先は、私の経験や学びに基づいて、私なりにまとめた発達障害に関する説明をしたいと思います。
そして、発達障害という診断名よりも、「発達特性」という個々人の持つ特徴を重視することが大切であることを、お伝えしていきます。

まず、私は人が何かをする時に4つのステップを踏むと考えています。
【受信】情報の受け取り方(見る、聞く、感じるなど)
【照合】受け取った情報の意味を理解する(音や文字と言葉の意味の一致)
【思考】前後の文脈や経験値と照らし合わせ、回答や行動を導き出す
【発信・行動】考えたことを具体的に言葉にする、行動に移す

この4つのステップのうち、
「聞くのが苦手」という人は受信部分が弱いといえます。
「一度教科書を見ただけで覚えてしまう人」はココが強い。
他にも、「聞いているけど、考えるのに時間がかかる」など、
人によって能力の個人差がありますよね?
身近なあの人も、自分も、当てはまることがあるのではないでしょうか。

ちなみに、これらは全て「脳」がキーワードになってきます。
そして、発達障害もこの「脳」の機能がうまく働かない状態によって生じてきます。

沢山の機能を脳が担っています!脳を休めないと、どの機能もうまく力を発揮できない。
結果、エラーが起きやすい、ということもあります!

発達障害の診断名は大きく分けて3つあります。
①ASD(自閉症スペクトラム症)
②ADHD(注意欠如性多動性障害)
③SLD、LD(学習障害)

定義は年々変化していますし、きちんと診断できる医師も日本には少ないのが現状です。
※詳細はコチラ▶https://sites.google.com/view/chamomile-20180227/colum

年々変わっていく診断基準、ちゃんと診断できない医師が多い中で、
果たして診断名にこだわる必要があるでしょうか?
そして、診断名がついてもつかなくても必要なのは、
①自分の得意苦手について知る
②得意を伸ばす
③苦手をカバーする(対処法、ライフハック)

私にはASDとADHDの診断がありますが、発達障害を治療する薬は飲んでいません。(ASD、LDの治療薬は現段階ではない)

では服薬していないか?といったら違います。
「睡眠導入剤」「抗不安薬」などを服用しています。

治療はしないのに受診を続ける理由は何だと思いますか?

理由は、
①睡眠の質を上げるため
➡脳を休め、少しでも負担を減らすために睡眠は不可欠
②ストレスが増えすぎた時の自動思考を抑えるため
といったメンテナンスと経過観察です。

※自動思考とは、マイナス思考が自動的に湧き出てしまい、自分で自分を追い込んでしまうことです。分かっていても考えを止められない。例えば、「私なんてもうだめだ」など…

最近は、虫歯にならなくても定期的に歯医者に行く人も増えました。
歯石をとったり、歯磨き指導をうけたり、かみ合わせや虫歯チェックなど、メンテナンスをしています。
私は、精神科の通院も同じような意味合いでとらえています。

ちなみに、私の歯はエナメル質が弱く、人よりも虫歯になりやすいです。
こういうことを知るのも、自分の歯の「特徴を知る」ことですし、歯磨き指導や虫歯チェックは訓練とメンテナンスですね!

…発達障害の診断の話に戻ります。。。
頼りにならない医者、支援者は診断名に固執しがちです。
反対に、頼りになる医者、支援者は、
「診断名に拘らない」
「得意不得意を見てくれて、具体的な対処法を教えてくれる」
「困りごとに応じた薬を処方してくれる」

「発達障害とは診断できないから手帳は取れません」と決めつける医者。
「障害と思わずにとりあえず頑張ってみては?」と先延ばしにする支援者。
どちらも不親切です!!

また、自分の納得がいく発達障害の診断をしてくれる医者を探し回るのも、時間がもったいないです。
自分の診断名はなんなのか、IQはいくつなのか?
ちなみに、IQや診断が同じでも、困りごとの出方はイコールではない!

眼鏡をかけている人は自分の視力を細かく覚えていますか?
自己紹介の時に、「自分の視力はいくつで…」と話しますか?
あまりしないですよね…
日常生活がしやすいように、自分の視力に合った眼鏡を掛ければいいんです。
花粉症も、何の花粉に反応するか調べて、自分に合った薬を飲んだり、マスクをするとか、色々工夫しますよね?

ちなみに、私の夫は長年花粉症ではないと思っていたそうです。
アトピー持ちでしたが、ふとした検査を機に花粉症が発覚して、そのせいで余計にかゆくなっていることがわかりました。
特に花粉症の診断もないし薬も飲んでいませんが、花粉のことも念頭に生活をすることで、少しだけ過ごしやすくなったようです。

発達障害も、それと同じように考えてみてはどうでしょうか?

今後、また改めて
「発達特性をしること」についてもう少し具体的に書きたいと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?