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華道家の假屋崎省吾さんとの立ち話

JR川崎駅ビルが改装されて、オープン・セレモニーが始まりました。
(今の川崎アトレでなく、川崎BEと呼ばれていた頃の話です)
ゲスト・スピーチは、華道家の假屋崎省吾さんでした。
この駅ビルは私の生まれ育った町の、慣れ親しんだ場所です。
いつものように歩いていると、少し前に假屋崎さんが立っていました。
一回目のスピーチが終わったのでしょう。
全身、ブルーの素敵なドレスをまとってました。ちょっと小柄なのが意外でした。
私は何となく吸い寄せられるように近づいて、話しかけていました。
「坂本九さんって、川崎出身なんですよ。この駅の近くに実家があって」
「そうなの!」
「はい。私の家の近所には坂本九さんが通っていた川崎小学校があります。
校門の前には、モニュメントもありますよ」
「いい話、ありがとう。次の回のトークで話すわ」
私は買い物があったので、始まったスピーチの声を遠くから聞いただけでしたが、大きな拍手が起こっていました。きっと話をされたのでしょう。

叔父のところに遊びに行くことがよくあります。近所に住んでいました。
昔、私がフランス料理店で働いていた頃、最初に習ったのがネル生地を使って珈琲をいれることでした。
今でも、珈琲は大好きです。
叔父は、私を待ち構えていたように、キッチンに呼びました。
「どうしても、ひろゆきちゃんがやるように、珈琲豆が膨らまないんだよ」
私は、叔父の前で一通りの「オペレーション」を見せました。
「そんなにお湯、細くするの?」
「お、ホントだ、崩れない。山のままだ」
そのあと、叔父自慢のパスタをご馳走になりました。
仲の良い叔父ですが、一度だけ、叱られたことがあります。
坂本九さんが亡くなったころ、ボクが「残念だなあ」とかそんなふうなことを言ったのでしょう。
半べそかいた叔父が、「お前が言うな」と。
同じ小学校に通った先輩・後輩。わかる気がします。

川崎駅前には、古くからの靴屋さんがふたつあります。
そのうちのひとつで、靴を選んでいました。なんとなく坂本九さんの話になりました。
店主が、あ、同じクラスだったんだよとつぶやきました。
今もあの靴屋さん、あるかな。

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