写真展示の未来

写真展について。
デジタル化の波で、普段写真を見る時に使われるメディアのほとんどは紙からディスプレイに移行しましたが、展示となると依然としてほとんどが紙です。
その理由ってなんだろう、と思い少し考えてみました。

一つ目は、「コスト」。
現状、液晶や有機ELディスプレイを用いて写真を展示することは技術的には十分可能ですが、初期投資やシステム構築、それにシステムトラブル発生時のコストの問題があリマス。その点、紙はめんどくさい技術的問題がないので楽、という考え方です。

二つ目は、「質感表現」。
紙にはマットやグロッシー、光沢など表面加工にたくさんの選択肢がありますが、画面には光沢か艶消しぐらいの選択肢しかない。写真の雰囲気に合う表面質感を選べるという点では、まだまだ紙の方が優れています。

一方で、技術革新によって上記のような問題が解決できるとしたら、デジタル展示は紙を超えることができるのではないかと考えています。

一つ目は、撮影者の意図した通りの表現。
元々デジタル画像はRGBで記録されているものを、プリントの時にCMYKに変換しています(ごく一部のプリンタ除く)。そのため、撮影者の意図通りにプリントするために正しいキャリブレーションや色変換が必要で、何度もプリントし直しが発生すると手間とコストがかかります。
これに対してデジタル展示であれば、RGBデータをそのまま表示できるので、展示会場のディスプレイ向けに少し手を加えれば撮影者の意図した色になると考えられます。(会場のディスプレイがすべて同じ機種であれば尚良い)

二つ目は、設営・撤収作業の削減です。
あらかじめディスプレイの配置を決めてしまえば、あとは画像を表示させるだけで完成です。紙の場合は大荷物になりがちですが、デジタルならUSBメモリにデータを入れて渡すだけ。撤収はもっと楽。
会期中に作品を入れ替える、なんてこともお茶の子さいさいです。

さて、そんな妄想を実現するには、少なくともこんな要件の素敵なディスプレイが必要です。

・超軽量、超薄型、省電力
・さまざまな表面質感
・ベゼルレス
・超広色域(AdobeRGB 100%、できればProPhotoも9割以上カバー)
・安価

カメラの技術革新ばかり注目されますが、ディスプレイの技術革新も日進月歩です。まだまだ写真の表現を変えてくれる可能性があります。
ジャパンディスプレイさんあたりが頑張ってくれませんかね・・・


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