ギフテッド講演会を終えて。

11月7日(木)、都内某所で開かれた「ギフテッド~生きづらさを抱えた子どもたち~」というテーマの講演会に参加した。

(1)内容

話し手 遊びと学びを科学する北の異端研
Gifted・LD発達援助センター
代表 小泉 雅彦

・ギフテッドとは…定義、特性
・知的機能とWISC-Ⅳ
・ギフテッドのWISC-Ⅳプロフィール凸凹と生きにくさ
・個別からコミュニティへ三寺計画そして次のステージへ

(2)参加してみて

私自身はおそらくギフテッドではない。
(小中学校9年間の授業が簡単すぎて退屈・苦痛だったことはあった)
それでも、ギフテッドにとって世界はどう見えるのか、何が好きで何が嫌いか、何にどのように困っているのか、より深く知りたくて来たのだ。

Twitterのフォロワーの方々(推定当事者またはその保護者等)の投稿から断片的には情報を得ている。と言っても、非同期発達とOEが特徴なのと、発達障害を伴う場合があることという程度だ。

(日本にはギフテッドの具体的な診断基準がないので、あくまでも推定としている)

登壇者である小泉氏の口調が、語りかけるようで、それでいてユーモアを交えていた。また、子ども達によるビデオメッセージの中で、小泉氏は「強みで勝負すれば良い」と語ったそうだ。なるほど子どもたちが「普通の大人とは違う」と感じるような温かみがある印象だった。

ギフテッド応援隊(https://www.gifted-ouentai.com/)という、保護者の方々による支援団体があるのも初めて知った。
(講演終了後、数年前から小泉氏と面識があるというTwitterのフォロワーさんにお会いした。フォロワーさん、想像以上に凄い人物…)

学校教育がもたらすギフテッドの生きづらさについても言及された。

いくら言語理解や問題解決能力や創造性に優れていても、凸凹が大きいから、単純な反復作業や読み書きや感情のコントロールに負担がかかるのだという。加えて、言語理解が高いと同年齢の子どもとの興味の差から会話や遊びが成立せず、一人で過ごすことが増えるのだという。
例えると、“小6の子が小1・小2のクラスで学んでいる状態”。

なるほど確かに、既存の学校の授業は漢字の書き取りの宿題でも、算数・中学数学の単純な計算でも、読み書き・反復作業ばかり。さらに、同年齢の子どもだけで構成された空間。そして「多数派に合わせろ」のプレッシャー。
ギフテッドの子には負担のオンパレードなわけだ。

また、「低登録」という新たな概念を知った。外界からの刺激や感覚情報をスムーズに処理できないために直接記憶(ワーキングメモリー)に受容されづらく、絶えず変化する環境に対応しきれないのだという。ゆえに、感覚の慣れが生じづらく、ボリュームの調整が上手くいかない。味や痛みの感覚、触覚が鈍かったり、逆に人より沢山刺激を受け取りすぎてどこかで遮断する。これらのようなことが起こる場合があるらしい。

終盤ではギフテッドに限らず、非ギフテッドの子どもにも同じようなことが言えるのではないかと思うような言葉や視点がいくつか登場した。

例えば、”一人の子どもの教育的なニーズとアンバランスにきめ細かく対応していく究極のオーダーメイド教育”。
凸凹だけでなく、性格や個性も一人ひとり異なるので判断材料にする必要があるだろうけれど、まずはギフテッドを対象に広まることで、他の非ギフテッドの子どもにも、「オーダーメイド教育」の視点や方法が広まらないか、そしてそれが今後を生きる子ども達にとっての新しい教育の手段にならないか、今後の動きに注目したい。

また、才能は「社会に生かす」よりも「人生を楽しむために」伸ばすという視点には盲点。 確かに、子ども自身が人生を楽しんでこそだよな、と思った。

ギフテッドも多様性の一つとして認知され、そして、ギフテッドも勿論ギフテッドでない子も、本人に個別に合った適切なサポートを必要な時に受けられるよう、願う。

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