時計読み

デイサービスから帰宅した父が、目覚まし時計を見つめては、
「京都の皆様、ただいま5時23分です。よろしくお願いします」
と言うようになった。1分おきに、進んだ時間を大きな声で言い、まるでそれが自分の仕事のようだった。
母が、なぜそんなことを大声で言うのかを父にたずねたところ、
「大きな声で言わないと京都まで届かないから」
と答えたという。母が、
「京都の人も時計持ってるからいちいち言わなくていいよ」
と言ったら、納得し、その日の時計読みは終了したが、本日の時計読みは今も行われている。

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