ヤモリの憧れの人

窓に毎日来るヤモリを、父は待ちわびて、何度も窓を見にくる。
「ヤモリさん、ヤモリさん、早く白いお腹を見せて下さい」
そんな日々が続いた日、突然、
「ヤモリさんは、奥方さまを尊敬し、奥方さまのようになりたいそうです」
と言った。
父は、認知症によって、ヤモリの気持ちがわかるようになったらしい。

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