転生したら○○だったので、クレームを出そうとしたけど、どこに出していいか判らないのでそのままズルズル生きてます。

プロローグ:どうしてこうなった?

 古めかしい石造りの建物の前にたたずんでいた。
石畳の道路、道の端には彫刻から水が噴き出している。
馬車と思われる車輪と蹄の音、外国にでも来たのであろうか、
彫りの深い顔の人々が目の前を行き交う。

なかなか開かない踏切の前にたたずんでいた。
じんわりと首元を伝う汗・・・。
そのわきには長い車列ができている。

「今は、11月で・・・良いんだよな?」
この年は異常気象のため、11月に入っても夏日の気温を更新している。
作業服の右のポケットからハンドタオルを取り出し、首元をぬぐう
地元でも有名な、通称「開かずの踏切」は警笛の音をリズミカルにならしながら行く手を阻む。

目の前を電車が通過するも、次の電車の矢印が出て、遮断機は上がる気配を見せない。
「何時になったら開くんだよ?」
グレーの作業服のボタンは開け放ち、大きく緩めたネクタイは、はち切れんばかりに突き出した大きなおなかに張り付いている。
「眠い・・・」
口を大きく開け、大気をすべて吸い込んでしまうのでは無いかと思われるような、大きなあくびをした。

最近、同居人に絡まれて睡眠時間を大きく削られていたのである。
変な想像はしないように、決してやましいことはない。
同居人と言っても、配偶者ではない。同棲中の彼女?いや?女性であるかも怪しい。そもそも人ではない、日本語をしゃべるが、日本人なのかも怪しい。
ふらつく足元、思わず座り込んで寝てしまいそうになる、季節外れの暖かさに、男はゆっくりと目を閉じた。

遠くから、クラクションの音と甲高いブレーキの音が近づいてくる、
アフリカゾウにショルダータックルを食らったような衝撃。
重たい体が宙に舞う、その刹那
頭の中に、生まれてから現在までの記憶が走り抜ける。長いようで短い時間
「こんな時 人って、本当に走馬灯を見るんだね・・・
父ちゃん、母ちゃん、なかなか実家に帰れなくってごめんね・・・」

固いアスファルトに触れる。後頭部に強い衝撃を感じたところで世界から音が消えた。固く閉じたまぶたは重く持ち上げることができない。
体の芯から何か生暖かい物がこみあげてくる、全身が熱をおびてしびれてきた・・・
「大丈夫、大丈夫だよ、今起き上がるから・・・。ちょっと待ってね、足がしびれたのかな?言う事聞かなくってね・・・すぐ、すぐに立ち上がるからちょっと待ってね。昔っから体だけは丈夫だから。」

平日の昼下がり、駅のすぐ脇にある踏切に人垣が出来てくる。
遠巻きに輪を描くように、手に手にスマホを持って
集まってはくるものの、誰も手を貸してくれる人はいない。
遠くからサイレンの音が近づいてくる。

「あーあ、ラノベとか漫画だと、異世界に転生して・・・
チートスキルなんてもらって、無双するんだろうな・・・行きたいない異世界・・・」

温かい・・・ぬるいお湯の中を仰向けになって漂っていた。そんな気がした。
「温泉?そうか・・・俺は温泉に来てたんだった」思わず口からこぼれた。

「そんな訳あるかい、良いから早く起きなさい。」
頭の上から声が聞こえる、
「誰?」
「誰って?神様だよ。あんた、異世界転生を希望してるんだろ?
だったら早く手続き済ませちゃってよ。
最近、異世界転生希望者が多くって忙しいんだよ。」

おもむろに状態を起こす。・・・動く

目を見開いて声のする方を見ると、白く長いひげを蓄え、白いローブをまとい、長い杖をついた老人ではなく。
紺のスーツを着こなし、いかにも仕事が出来ますオーラをまとった女性が事務机に座っていた。

「あの~。ここはどこなんでしょう?」
白い大きな空間の真ん中に、グレーの事務机がポツンと鎮座している。
「えー、判らないで来ちゃったんですか?転生希望者ですよね?
そう言ってましたよね?じゃあ判ってんじゃないの?
一から説明すんの・・・かったるい。」
「いやいや、話が見えないんですけど・・・」
(自称:神様)女性はいかにも嫌そうに、どこから出したのか?ホワイトボードを使って説明を始めた。
「いいですか?あなたは、交通事故で死にました。死ぬ間際に異世界転生を希望しました。だ・か・ら、手続きが必要なのでここに来ました。以上」
「異世界転生を希望した?」
「希望しましたよね、異世界行きたいな~って」
「そんなこと言ったんだ、俺。」
「ええ、言いましたよ、そう記憶されております。見ますか?
あなたが車の引かれたウシガエル同様に、悲惨に朽ち果てるさまを。
今なら、モザイクなしで見れますよ、あんな物やこんな物が・・・」
彼女の指さす方には、100インチはありそうなモニターが置かれていた。

「いやいや、見なくていいです。理解しました。」
「じゃあ、手続きを始めていいですか?」
彼女は豊満な胸の谷間から、12インチはありそうなタブレットを取り出して渡してくれた。(少し生暖かいのが、妙にリアルである。)
「えええ、どっから出した?」
構わずに話を進める。
「あなたのパーソナルデータすでに入っております。今回は特別に故人(あなた)の希望を優先して、3っつだけ希望を聞き入れて良いとの事でしたので、そちらで入力をお願いします。スタイラス対応のタブレットになってますので、ペンの使用もできますが、頭で考えたことが入力されますので必要ないと思われます。何かご質問は?」
「質問って・・・」
「タブレットに簡単なアンケートが10問出てまいります。それに答えていただいて、その回答に沿って3っつの願いが決定します。よく考えて答えてくださいね。こちらも妥協できる範囲で希望に添えるように善処いたします。ご協力をお願いします。
尚、転生してしまいますと、再度亡くなるまで変更・質問等お受けできませんのでそのつもりで。」
「はい?」
「あっ、次の方が来ますので、そちらの扉を出たところの椅子で入力して、出来たらカウンターの上に置いておいてください。それでは、良い第二の人生を・・・(小声で)次も人とは限らないんですけどね。」

半分追い出されるように部屋を後にした。
今くぐったはずの扉は消え、目の前には病院の待合室のようなベンチと少し外れたところにカウンターがあるだけであった。

とりあえず、ベンチに座ってタブレットの画面に目を落とす。

画面にはに文字とも記号とも見えるものが並んでいた。どこかの言語と思われる言葉が表示されている。
「読めない・・・」


筆休め:①

皆様、大変ご無沙汰しております。
倭國です。

久しぶりの雑記です。
果たして、続ける気があるのでしょうか?

世の中ね、大転生ブームですね
皆さんよっぽど、今の人生が嫌なのか?今の人生を放棄したいのでしょうか?

私はね、個人的には転生できるものなら、しても良いかな、なんて・・・
でもいきなりは嫌ですね。パソコンやハードディスクの中の個人的な趣味の画像や動画、SNSのコメント、あんな物やこんな物なんかをね、すべて消去してきれいな体で転生したいものです。

果たして私が、PCやタブレットのない世界で果たして満足できるんでしょうね?

気が向いたら、続けます。


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