駄菓子は小学生時代の”かわいい”不良。

子どもの頃、家のおやつ棚にあるのは、お煎餅と噛むぞーガムが定番でした。

母が子どもたちの健康を考えて、添加物が少なくて、歯を丈夫にするためにと厳選したお菓子。

他には、母が手作りしてくれたゼリーやケーキ、おはぎなどを3時のおやつに食べていました。


ありがたいことに、私は世間のお菓子事情にうとかったのです。

世の中には、カラフルで夢中になる駄菓子なるものがあることを知らないまま。



小学生の頃、友達と商店街にある駄菓子屋さんへ行くことになりました。

わが家はお小遣い制ではなく、必要な時に申請する制だったのでお金を持ってなかったのですが、ついて行くことにしました。



今まで一度も足を踏み入れたことのない駄菓子屋さん。

ガラガラッと重い扉をひらき入ると、赤い蓋をかぶった小さなプラスチックのケースのなかに、見たこともないお菓子が入っていました。

色とりどりのパッケージ、不思議なネーミング。

何が甘くて、どんな味がするのか想像もつかないお菓子に囲まれて、初めての空間に胸が躍りました。



友達が好きなお菓子を買い終わると、近くの公園の裏の秘密基地へ。

さっそく白いビニール袋から駄菓子を取り出して分けてくれました。

「タラタラしてんじゃねーよ」


パッケージには、そう書いてありました。

どんなお菓子か分からない、意味不明なネーミング。ちょっと悪そうな感じが子供心をくすぐります。


友達にすすめられるがまま、平べったい四角のそれを食べてみると、ピリ辛でしょっぱくて、父が食べているおつまみのような大人の味でした。

私の《お菓子=甘い》という固定概念が打ち破られたのです。

母に見つかったら怒られるハラハラと隣り合わせの、ちょっとしたスリルを楽しんでいました。



私が子どもの頃にした不良といえば、母に内緒で友達と公園で食べる駄菓子ぐらい。


なんと”かわいい”不良。


今でも、母が絶対に買ってくれなかった駄菓子やスナックを食べるときは、ちょっと悪いことをしているような、懐かしい感情がよみがえります。


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あんこぼーろさんの、こちらの企画に参加させていただきました。

あんこぼーろさんが企画してくださったおかげで、ちょっとだけ子どもの頃にタイムスリップできました。