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繊細で優しくて・・・不登校3

その頃、学校は・・・


 夏休みが終わり、また過敏性腸症候群は悪くなっていました。
 憂鬱な朝の欠席連絡は、逆に行ける時に(全く行けないんだけど)電話するスタイルに早々に変えてもらえたので、そこは良かったです。経験者はみんな言うけど、あれがすごくストレスで・・・。
 PTAの下校指導も、自分の子が休んでるのに行けません、と、担任に言ったら、やらなくて良いと言ってもらえたので、その後行きませんでした。PTAの仕事をしないのは申し訳ないと思ったけれど、私も正直、学校に行って他の生徒を見るのが辛かったし、同級生のお母さんたちと会いたくもなかったのです。

 担任の先生はその頃何をしていたかというと、毎日電話をくれていました。私に息子の様子を尋ね、プリントを持ってきてくれたりもしました。
 放課後、保健室で1時間ほど勉強を教えてくれるようにもなりました。このことは大変感謝しています。 


課題をください


 私からは、担任経由で各教科の先生に、課題を与えてもらい、少しでも評価に反映させて欲しいとお願いしました。
 これは、私の勤務校でやっていた取り組みで、学年主任の先生が取りまとめて一覧にして毎月出していました。
 一覧は出なかったけど、私も学校に出向いて教材を各教科の先生からもらい、軽く説明を聞いたり、息子が放課後登校した際に直接指導してもらったり、実験をさせてもらったり、ミシンで作品を作らせてもらいました。
 息子は、いろんな先生が自分のためだけに時間を割いてくださることを、感謝し、実験や実習ができたときは、楽しかった、と嬉しそうでした。
 やってあげようという気持ちがある先生が、善意で少しずつやってくれたのですが、課題すらくれない先生もいました。もしかしたら、担任の先生が頼みにくい先生だったのかも知れません。この年に赴任してきた控えめな先生だったので、やりにくそうな雰囲気は察していました。学年主任の先生にお願いすれば良かったかな、と、今なら思います。
 担任が窓口ではありますが、いろんな先生、特に上の先生にも相談した方がいいです。

 これらの取り組みは、先生の負担だったとは思いますが、学校が原因で不登校になっている息子にも学ぶ権利はあるので、申し訳ないけど、遠慮しませんでした。息子は、勉強したい気持ちがあるにも関わらず、同級生からの巧妙な嫌がらせで学校に行けなくなっているのです。

 自分の勤務校でこの取り組みをしていなかったら、こんなことお願いしていいのかわからないし、思いもつかなかったと思います。 
 息子は、もらった課題は全てきちんとやって提出しました。  
 年度末の評価は、3が最高で、課題を出してくれなかった1教科だけ1。何も行動しなかったら、全て1(もしくは斜線)だったでしょう。
 高校に行く気があり、課題をやる気力があるなら、お願いすると良いと思います。

 いろんな先生がいますが、私が先生側として言えるのは、来れなくなった生徒のことはずっと気掛かりだし、何か提出してくれたら評価したい、と思ってます。
 ただ、来れない理由も一人一人違うので、こちらからぐいぐいアプローチすることで、その子を追い詰めないか?と言う心配もあり、日々の業務に忙殺されている先生たちは、様子見、あるいは担任任せ、と言う場合も多いと思います。保護者や生徒から課題を出して、と言っていただけたら、喜んで課題を出します。(先生によって例外ありますけど・・・これは全て善意で、の範疇になるので仕方ないです。勉強したいなら学校来い!っていう先生もいるので。)

 ただ、学校の方針(年によって変動あり)にもよる所があり、不登校の場合は、テストを受けようが提出物を出そうが、一律オール1、と決まっている場合もあるので、その辺も最初に聞いたほうがいいかも知れません。エネルギーが枯渇している不登校の子には無駄なことをする余裕はないので、そのような学校の方針であれば、受験に向けて、自分の勉強を進めた方が良いからです。


「いじめ」ではない?


 息子の担任の先生は、ここまで聞くといい先生に思えるかも知れません。でも、先生は、私から息子に起きた事を細かく相談していたし、スクールカウンセラーを通じて話が入っていたはずなのに、この事態を「いじめ」として上に報告していなかったのです。
 なぜなら「いじめ」という言葉を私も息子も使わなかったから、と言うのです・・・。
 担任として、クラスの雰囲気、ちょっとした生徒間の機微もわかっていたはず。そしてそれを制御できなかったのは、厳しい言い方をすればクラス運営の失敗ですが、見ないふりをしたと言うことなのでしょう。
 息子も、「先生は分かってると思う」と言っていました。もし本当に分かってなかったなら、それはそれで担任として問題でしょう。
 実態は把握していたにも関わらず、「いじめ」と、捉えていなかった?ため、担任のところで私や息子からの訴えは止まっていて、学校として解決に向けた調査や動きは何一つありませんでした。再三要求したにも関わらず。
 このことがわかったのが、中2の1月。中3のクラス編成では絶対に息子を虐めた生徒と一緒にして欲しくないので、その件を話し合う場を設定してもらった時でした。
 この時は夫、私、教頭、学年主任、担任、というメンバーで話し合ったのですが、なんだか、話が噛み合わない・・・。
 それもそのはず、教頭は、息子が不登校なのは、息子自体の問題だと思っていました。
 私や夫が話すことを聞いて、教頭も「どういうことですか?」と困惑していました。もっと早期に教頭に直接相談すべきでした・・・。
 夫は、
「こんなに時間が経って、今更学校には何も期待していない。とにかく、クラス編成には息子がスクールカウンセラーの先生を通して名前を上げた生徒と絶対に一緒にしないでほしい。それだけだ。」
と言い切りました。
 私たちには、息子がスクールカウンセラーに告げた生徒の名前は知らされていません。息子に、親に言いたくなければ言わなくていいけど、中3でクラスを離してもらうために、スクールカウンセラーの先生には言わなければいけないよ、と言い聞かせて、ようやく言ったのです。


中3になり・・・

 中3のクラス編成は、ほぼ希望が通った形となりました。今回のクラスは、息子にとって安心できるメンバーで、担任は、2年から引き続き同じ先生でした。
 ちょうど、コロナで全国的に休校や分散登校などがあり、中3最初の登校は分散登校でしたが、それが、不謹慎ですが息子には良かったのです。
 出席番号の奇数偶数で分けられた分散登校で、偶然、心を許せる友達が全員一緒になったこと、人数が半分で静か・滞在時間も短いのがリハビリ的に良かったこと、休校や分散で今まで不登校だったことが紛れる感じになったこと、色んなラッキーが重なり、息子は中3からまた登校するようになりました。
 しかし、過敏性腸症候群はまだ症状があったことと、まだまだ不登校の不安もあったので、トライのフリースクールにはそのまま在籍し、担当の先生には夜に家に来てもらって、引き続き勉強を見てもらうことにしました。
 このまま、卒業まで・・・と、祈る気持ちでしたが、そう簡単には行かないのが不登校でした。

次回へ続く
 

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