とある地方都市の外れにて #03 おかんの真実

前回学歴詐称が発覚したおかんだが、実はあの話には続きがある。

ばあちゃんが入院して、古い物の片付けか何かをしていた時だったように思う。
おかんの高校時代の卒業アルバムが出て来た。
早速おかんに報告した。
高校時代の面白エピソードでも聞けるかと思いきや、おかんは怒髪天を衝く勢いでブチ切れ、何も言わずにアルバムをひったくった。

余りの勢いに呆然としたのを覚えている。

よっぽど恥ずかしい写真が載っているのだろうか。
個人写真で鼻毛でも出てたのだろうか。

結局そのアルバムの行方は不明となった。
私自身もおかんの怒りをわざわざ買う必要もあるまいとそのまま忘れることにした。


数年後、おかんは帰らぬ人となった。
その辺の話はまた追々書くとして、先ずは葬式の準備である。
遺影に使う写真を探すため、アルバムの山を漁っていたら、何とあの卒業アルバムが出てきた。
しかしその時は遺影の選定が先だったため、アルバムはおかんからの理不尽な怒りの記憶と共に部屋の隅に追いやられた。

その後葬式も無事終了し、1週間忌引きで休むことになった。
親が亡くなったところに宿題を出すような非情な教師は幸いいなかったため、私は無駄にヒマになった。
ふとアルバムのことが頭に浮かんだ。
今こそ中身を確認する時である。

白黒いや、セピア色と言うべきか。
古いアルバムの中にコレと言って面白い写真は見当たらなかった。
個人写真も特におかしなところはない。
何をあれほど怒り心頭だったのか分からないまま表紙を閉じた。

そして、表紙を見た時謎は全て解けたのである。

表紙にはデカデカと近所の高校名が書かれていた。
県下ナンバー2どころではない。
ナンバー20くらいだろうか。

嘘を吐いてはいけません、何でも正直に話しなさい。
生きていたらおかんに特大ブーメランが刺さってたのに残念なことである。

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