Manabu(マナブ)

モノ書きに憧れて駄文を書き連ねていたけれど、いつの間にかそんな夢も憧れもどこかに消えて…

Manabu(マナブ)

モノ書きに憧れて駄文を書き連ねていたけれど、いつの間にかそんな夢も憧れもどこかに消えてしまったアラフィフ。

最近の記事

起伏はなくていい

注目されなくてもいいし、称賛を浴びなくてもいい。ただただ毎日を平穏無事に過ごしたい。 いつも革新を求められる。新しいスタンスを。進化を。技術を。 そろそろ新しいものを求めることをやめないか。現状のもので満足することを覚えないか。現状のものを組み合わせて新しいことを生み出せばいいじゃないか。これ以上の革新に君はついていけるのか。 高度経済成長時代が落ち着いたあたりからバブル経済が弾けるまでの間の平坦な時代(と言っても経済は成長していた時代)が好きだ。コンプライアンスなんか

    • いつの季節も死にたくなる

      夏から秋、秋から冬にかけての季節の移り変わりはいつも憂鬱な気持ちで過ごしていた。子供のころは単純に長期休暇の終わりがあったからだとは思うけれど、それは大人になってからも変わらなかった。何かをやり残したような気持でずっと過ごしている。夏から秋へは目に映るすべての風景が色褪せてゆくようで。秋から冬へは寒さに皆家に引きこもってしまうようで。 最近は冬から春にかけて、春から夏にかけても死にたくなる。冬眠から目覚め活動を始める春に、新学期や新一年生、新社会人などすべてが新しくなるこの季

      • THE END OF THE WORLD

        ほんのちょっと 出会うタイミングが悪かっただけ。 お互いに電話番号を知っているのに、会う約束をするのはメールで。お互いの住んでるところは知っているのに、会う場所はいつも人込みの中で。君とこうして会うようになって半年が過ぎた。最初の出会いは共通の友人を通じての食事の席。お互いに電話番号交換するだけで終わったその翌週、君から突然の電話。 それから何度か一緒に食事をして、お酒を飲んで、話をしたりしたけど、いつも二人で会うときは雨の日で、「日頃の行いが悪いからだね」って笑ったけど

        • はじめの一歩

          春は嫌いだ。 確かに花は咲き乱れ、風に含まれる粒子は暖かく、新学期とも相まって心が弾むと他人は言うけど。 「はっ…はっくしょん!」 …ぐしゅ…まただよ…。 ここ数年、陽介は春になるとマスクとポケットティッシュは欠かせないものになっていた。いわゆる花粉症というヤツだ。涙と鼻水は常に溢れ、薬や民間療法もほとんど効き目がない。麗らかに晴れた春の午後だというのに陽介がちっとも浮かれた顔をしていないのはそのためである。 -おまけに花粉ってヤツは晴れた日ほど多く舞いやがる- 恨め

        起伏はなくていい

          Another Story

          第一部 (この話はフィクションです) ------------------------------ 「あ…。」 「ん…?」 「…雨…降ってきた…。」 「…そっか…。」 浩介はサイドテーブルに置いたスマホを確認する。午前2時38分。そろそろ帰らないと、とは思うけど雨が降り出したことを考えると少し億劫になった。着信履歴やメールを確認したけれどまだ1件も連絡がない。ということは彼女もまだ夜遊びの最中ということか。こちらから連絡を入れてみようか。でもどうせ反応はないのだろう。それなら