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災害を考えたとき、自分の生活が見えてくる

こんにちわ、プロ雑用です!
我々の住むこの日本は災害大国であることは皆さんもご承知の通りだと思います。今年は1月元旦から能登に震災が発生しました。

MOVEDの支援している糸魚川市は、被害こそ少なかったですが、フォッサマグナの糸静構造線の北側に位置していますから、いつ震災に見舞われてもおかしくはありません。また、私の住む東京も、昨年がちょうど関東大震災から100年の節目の年でした。地震以外でも、毎年のように未曾有の自然災害が全国のどこかしらで発生しています。そんな時節に、あらためて防災について学ぶイベントを、糸魚川市で行ってる最中です。

今日は、その一日目の体験について振り返ってみたいと思います。

避難先で衣食住をどうする!?

一日目は体験とトークセッションの二部構成。
昼間の体験ですが、仮に被災したときに衣食住をどう確保するか?をテーマに体験会を行いました。まずは食の体験。水を確保し、濾過、湯沸かしして持参したカップラーメンを食べようと試みました。

まずは水を確保!

会場となったのは糸魚川市のクラブハウス美山というワーケション施設。1月1日には実際に多くの市民が避難してきた場所でもあります。施設の近くには湧水地があるので、そこまでみんなで水を汲みに向かいます。

イベント開始直後までは晴れていたのですが、移動を開始するとみるみる天候が悪くなり、なんと雪が降ってきました!気温も下がってきて足早に水源を目指します。

イベント開始直後。雪の気配はまだありませんでした。
30分後の様子。降雪によりみるみる視界が真っ白に。

想定外の雪中行動

今回はあくまで体験会なので、水源地はあらかじめわかっていました。しかし、自然の湧水など普通の生活をしていれば知る機会はありません。当てがあれば探しに行くのもありですが、土地勘が無いところであれば、悪天候下での行動は遭難のリスクがあるので注意が必要です。たとえ土地勘があったとしても、道の開けていない山に入るのは無謀と言えます。

湧き水を確保し容器に移し替えました。雪の勢いは増し、とにかく寒い!
帰り道はすでに雪がつもり始めていたのですが、戻る途中で落ちている小枝を拾います。これは湯沸かしの火付けに使うためです。

火が…つかない!?

クラブハウス美山に戻ったらまずは水の濾過です。今回は濾過キットを使っての濾過でしたので、苦も無く終了。実際、自然物を使っての濾過は、専門知識や道具が無いとかなり難しいので、現実的には難しいと考えられます。

湯沸かし用のキットにろ過しながら注水。
そして着火ナイフ(ファイアスターター)を使って火起こしにチャンレジ。

水の確保から注水までは移動時間も含めて30分程度で完了しました。しかし、このあとの火起こしが想定以上に大変だった!湿り雪だったため、空気中の湿度がバク上がりし、そもそも小枝や葉っぱが湿り、火床が作れないという自体。ティッシュや牛乳パックでなんとか火がついても、湿り気を突破できず全然点火できないという事態に!

杉の葉や松は通常よい着火剤になるのですが、この日は煙ばかり…

結論から言うと、湯沸かしボトルは6本あったのですが、最初の一本が沸騰するまで1時間半(私の分でした)。水確保の移動時間を引いても、なんと1時間も掛かりました。主催メンバーの一人は事前に別日に火起こしをした経験があるのですが、そのときはあっという間に火起こし➜沸騰までできたということで、天候や湿度の影響は想像以上だったということです。途中、火付けを諦めるメンバーも出ましたが、私がなんとか3本沸騰させ、無事に6本すべて沸騰させ、各々持参したカップラーメンを食べることができましたが、なんとここまで2.5時間…寒さの影響もあり、お湯を沸かすだけで参加者全員ぐったりしてしまう体たらくでした。

たかだか200ml程度の湯沸かしするだけでこの時間、我々が普段いかに文明に頼って生きているかがわかろうというものです😂

あえなくタイムアップ

本来はこのあと、身近なものを使って暖を確保するか(衣)、避難所の中でどうやってプライベートを確保するか(住)、の体験が続くはずだったのですが、あえなく時間切れ、ということになりました。現代人は無力だ…という感想を参加者全員が感じました。

ちなみにあれだけ降っていた雪ですが、イベント終了後に晴れてきました。えぇ…😇

関係者が語る被災のリアル

第二部は、会場を町中の施設・キターレに場所を移しトークイベントです。

配信準備中の弊社メンバー。

登壇者についてはイベントページを御覧いただきたいのですが、とても貴重なお話を伺えました。私が特になるほど思ったポイントを上げます。

毎日同じものは食べられない

ビデオ出演いただいた野村さんは、現在能登の支援にも入られており、まさに現場の実情をよくご存知です。そのお話の中で特に印象深かったのは「まずは逃げろ」という点。防災バックだとか色々準備はよく言われるが、そもそも防災バックを取りに行く暇があったら逃げろ、ということ。そりゃそうだよな、ですよね。バックを取りに戻ってるうちに倒壊に巻き込まれたり、逃げ遅れたりしたら元も子もありませんわ…

また、もう一点、人間は毎日同じものは食べられないということとも印象に残りました。被災者にボランティアが振る舞う食事といえば、豚汁、カレー、揚げ物などですが、確かに子供やお年寄りが毎日脂っこいものを食べるのはツライし、3日間ずっとカップラーメン食べるのもしんどい…
こちらも考えればそりゃそうだ、と思うのですが、防災の備えをしているときは全く考慮できてないですよね。重要なことだと思いました。

試されるサバイブ力

のと震災の被災者でもあり支援者でもある野水さんにも、同じくビデオ出演いただきました。こちらも勉強になる話ばかりでしたが、特に平時にサバイブ力を高めおくことは、被災したときのことを考えると必須だなぁと痛感いたしました。火を起こすだけで2時間もかかってたらアカンよ自分…

野水さんはご自身のnoteでも随時発信されておりますので、よかったらこちらも御覧ください

被災があぶり出すもの

最後は現地でライブ参戦いただいた齊藤さんからお話いただきました。お話の中で特に印象に残ったのは「災害がその地域の課題を噴出・加速させる」という指摘。人口減少、高齢化、農地荒廃、空き家問題など、よく聞く地域の課題は、普段目にしないようにしていても、災害によって出現・加速するというのは本当にそうだと思います。8年前の糸魚川大火の復興に携わった方だからこその鋭い指摘だと思いました。

今回の被災地である能登も、まさしくその通りで、この30年の震災被災地の中では初めて被災地の殆どが過疎地であるという現実は、今後日本全体の防災や復興の考え方や活動に大きな影響を与えると私も感じます。

第二部の配信は、アーカイブとしてすでに配信されておりますので、よければ合わせて御覧ください。

東京ではどうする…?

私は東京、それも都心在住です。東京が被災したときにどんなことになるのかは全く想像できません。地域コミュニティも薄いし、建物は密集し、また住人でない労働者がたくさん常日頃から存在している地域です。これまでの経験が生きるのかは全く想像できません。

13年前の東日本大震災では、すべての交通機関が麻痺し、帰宅難民が続出しました。私も当時の調布から自宅に戻るまで5時間かかったのを覚えています。直下型であればそもそも生き残れるかどうかわかりません。
今回のイベントを通して、改めて準備万端ではないときに突発的な事態のなかでサバイブするための力を、どう身につけるかを考えさせられました。生き残る知恵を身に着けなければなぁ。

被災したときを想定した体験は、疲れましたがとても勉強になったので反省点をブラッシュアップしてまた開催したいと思っています。

第二部の現地参加者と記念撮影

といことで、今回はこれまで。
それじゃ、また👋

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