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古典、故事成語012(史記)

人之賢不肖、譬如鼠矣。
在所自処耳。


人の賢不肖は、例えば鼠の如し。
自ら処る所に在るのみ。


地方の役人であった李斯(リシ)は、ある時、鼠の姿を見てふと気付く。
ある鼠は便所の隅で人間に怯えながら糞を食べて過ごしており、ある鼠は米蔵で自由気侭に穀物を食べて過ごしていた。
人間も同じで、賢いか愚かか、幸せか不幸かは環境によって決まるものだ。
そうして李斯は、一念発起して荀子(ジュンシ)に弟子入りして勉学に励み、祖国の楚から当時外国人を積極的に登用していた秦の国へと赴き才を認められ、始皇帝の中国統一に政治面で大きく貢献するのであった。

この李斯は他にも逸話があり、荀子の弟子として同門であった、韓の国の王族である韓非(カンピ)の才能に嫉妬し、自らの環境を護る為に韓非を死に追いやっている。
韓非は韓非子の著者であり、吃音があって喋り言葉が苦手であったが文才を磨き、法治主義の重要性を祖国で説くが用いられず、敵国であった秦の始皇帝に才を認められた事が、皮肉にも死を招いてしまっています。
東洋の法律の概念は韓非より始まっていると思います(紀元前235年頃)あ、商鞅もいたか…。
韓非を亡きものにした李斯は、韓非の法治主義を取り入れ始皇帝に貢献します。
しかし、始皇帝亡き後に出処進退を誤り、宦官(王族の世話をする去勢された男性)であった趙高(チョウコウ)に謀殺され生涯を閉じます。
環境の重要さに気付き出世した李斯が、環境の変化から死を招いてしまった事は、歴史の不思議な巡り合わせなのかも知れませんね。


※注釈※
現代において重要な環境は、家庭・地域・職場・交友関係などでしょうか?
機能不全家庭は多くなっているので、悪い家庭からは早めに脱した方がいいでしょう。改善出来たらとても素晴らしい事ですが、大変なエネルギーを必要とします。
地域は治安や災害、経済面や利便性などが考えられます。
職場はパワハラなどブラック企業に長居せずに、働きやすい職場を選択したいですね。
交友関係なども、自分にとって害になってばかりの人やグループは避け、自分にとって益になり成長へと繋がったり助け合える関係を大切にしていきたいですね。
どのような環境を選ぶかは、個々の能動的な意思次第だと思います。


旧ブログにて2016年02月01日に記載していたもの

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