とうふさんの復讐劇

 2020年11月某日。酔い止め豆腐は遂にあのVTuberに復讐計画を企てていた。
 生放送での発言、防音室ができる前の配信の僅かな環境音からVTuberの住所を割り出した。
 だが彼は住所をばら撒きはしなかった。しかしそれが良心からのものであったかというとそうではない。自分一人で凸るためである。
 勿論凸るだけではない。可能であれば拉致監禁しレ○プするつもりだ。
 酔い止め豆腐は家の前で待ち伏せしていた。今の彼はどこをどう見ても不審者だ。しかしそんなことに構っているほど彼に余裕はなかった。
 やや古ぼけた一軒家からVTuberが出てくる。血色の悪い肌に男のような薄い胸板。間違いなくあのVTuberの中の人だ。
 顔はさして良くはないが悪くもない。まぁ脱がせばそれなりには興奮はできるだろう。
 酔い止め豆腐はやわらかスマホを手にVTuberへ近づく。VTuberは近くのコンビニにでも行くつもりなのだろうか、手にはマイバックを持っていた。
 VTuberの後を追って人気のないところで襲おうと酔い止め豆腐は考えていた。すると幸運なことにVTuberは角曲がって狭い裏路地に入っていく。
 なんてついているのだろうと思いながら、VTuberの様子を窺ってみる。
「んにゃあ^~」
 黒猫だ。どうやらコンビニに行くのではなく猫に餌をやりに来たらしい。意外と優しい一面もあるものだなと思いつつもお構いなしに酔い止め豆腐は背後に忍び寄っていく。
 後ろから素早く手を回しVTuberを絞めつける。やわらかスマホを口に当て眠らせる。意外と早く堕ちたなと酔い止め豆腐は口元を緩ませた。

 数時間後VTuberは地下に監禁されていた。手足は拘束されているが鎖が長いため、ある程度の行動はできるようになっていた。
 VTuberは目を覚まし、男に向かって言い放つ、
「へぇ、貴方そういうことするんですね、ヘッ……」
 VTuberは自分が捕まっているのにも関わらず、笑っていた。何故この状況で笑えるのか訳が分からない。
「いやぁ、やっぱり貴方は面白いなぁ……って。だってあの動画を作ってた人がこうやって僕を監禁してるんですよ? 異常じゃないですか。面白い狂い方だなぁ……って」
 狂っているのはお前じゃい! と言いたいところだが、監禁されて錯乱しているだけなのかもしれない。それに僕が狂っているのは事実だ。
「狐仮虎威姉貴僕を馬鹿にするのはやめてください。これ以上やるならあなたに地獄を見せます」
「ヘッ……地獄ですか? ヘッヘッヘェ……! 別にいいですよ。正直……フッ、あの面会室で言っていた地獄が何なのか気になってたんですよね。ヘッヘ……」
 VTuberは笑いながらそう告げた。……狂っている。僕がそんなにおかしいか? 僕からすればお前の方がよっぽど滑稽だ。

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「ヘッ……そんなもの出してどうしたんですか?」
「決まってるでしょう、レ○プですよ。地獄を見せてあげます」
「ヘヘヘッ……ハァ! 地獄? ホモビで散々見てきた展開じゃないですか! ヘヘヘッヘ……ほんっと、面白いですね!」
 本当にこの人は……! 絶対に地獄を見せてやる……そう思いギンギンの木綿豆腐をVTuberに向けたその時だった。
 パシャリ、とカメラを切る音が聞こえたのだ。
「……何をしたんですか?」
「何って……貴方の木綿豆腐を撮っただけですよ? 僕に木綿豆腐を見せるってことは撮られるお覚悟があったって……ヘッヘ、ことですよね?」
 意味が分からない。何故、どうして、Why? まるで理解ができない。
「僕はですね、自分で言うのもなんですけど、結構嫌われてるんで、嫌がらせはお覚悟の上で活動してるんですよ。だからこうやって嫌がらせを受けた際に訴えられるよう、隠しカメラを持ち歩いてるんですよね」
「……は? ふざけんなよお前」
 はっきり言って異常者すぎる。嫌がらせ対策のために隠しカメラを持ち歩いてる? 何だそれは。まるで岩間じゃないか。いやそっちの方がまだマシだ。
「それなら隠しカメラを壊すだけですよ」
「……ヘヘッヘヘヘ! 別に壊しても構いませんよ? でもその後はどうするんですか? 監禁していたことがバレれば普通に捕まりますよね。ちょうど今日は月に一回のAAR鑑賞会の日ですし、開催されないことで僕に何かあったと一瞬でバレますよ……アハッハ!」
 VTuberがそう告げると僕は間髪入れずに謝罪をした。
「あの狐仮虎威姉貴……すいませんでしたtwitter相互にして仲直りしましょう」
 それは僕の必死の打開策だった。こうなった以上僕に勝ち目はない。VTuberの許しを請う他なかった。
「あっ……えー……そ、そうなんですか……フフッ……仲直りしましょうなんですかね? 別に面白いから弄ってるだけなんで……それで、ここから出してくれます? これ以上罪を重ねたくないですよね? 通報はしませんから」
「え……?」
 本当にそれでいいのか? やや疑問は残るが拘束を解くほかなかったため、すぐに解放した。
「案外物分かりが良くて助かりました。約束通り通報はしませんけど木綿豆腐の切り抜き素材はばら撒きますよ、面白いので」
 そう言ってVTuberは部屋を出ていく。あぁ、終わったと酔い止め豆腐はその時悟った。

 数日後、酔い止め豆腐の木綿豆腐がばら撒かれ、酔い止め豆腐は失踪し、面会室はデスノートと言われることになったという……

お借りしたもの
https://seiga.nicovideo.jp/seiga/im10641252

追記:当文書は一部加筆修正を加えたうえで狐仮虎威ファンチ合作に提出し、アンチ部門として出す予定です。当文書に狐仮虎威兄貴を貶す意図は全くございませんが、少なくともファン向けではないと判断致しました。

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