吃音改善訓練

「言友会」は吃音者の全国規模の自助団体である。「香川言友会」が去年の四月に発足した。新聞社に勤めている男性が中心になっており、スタッフは四人で会員は十人ほどだ。月に一回例会があり、年会費は三千円だ。今は新型コロナにかからないようズームで話し合っている。四カ月後に高松市で全国の言友会の大会があるため、準備中である。
 軽い吃音のある女性市会議員も、スタッフではないが参加している。特別ゲストとして吃音のある医師や言語療法士などが来ることもあるが、その人たちは一時的な参加だ。関係者は、リピーターを増やしたい、と言っている。
 私は吃音についての短編小説「吃音を乗り越えて」を書いた。ホームページhttps://www.okumato.comにアップして公開している。
 吃音に関する話の会に出ると、多くの吃音者の体験談や吃音を良くしていく方法などの話が聞け、かなり参考になる。自身の吃音をある程度改善していくことにもつながる。
 日課として二十分ほどの私独自の吃音改善訓練を午前中に行う。
 最初に、体を伸ばしたり、腕を回したりの柔軟体操をする。呼吸を良くするため腹筋の訓練をする。そして舌を回したりして口の中を柔らかくする。
 続いて、鏡を見ながら「あ・い・う・べー」と小さめの音を出す。次に五十音表の最初の方から少し大きめの声で区切りを付けて発音する。そして苦手な言葉の練習をする。
 最後に中島みゆきなどの好きな歌を歌う。
 日中は、他の人との電話での会話を録音して、それを聞いて参考にする。
「香川言友会」に恋人同士で来ていて、男性は吃音が無く女性だけ吃音が出るカップルがいた。二人だけだと吃音はほとんど出ないそうだ。しかし、人前では彼女は緊張してほとんどしゃべれない。彼は「精神的なものが大きい」と言っていた。
 吃音には心理的な影響が大きくつきまとう。座禅やヨガなどをするのがいいと言う人がいる。北鎌倉にある円覚寺が二泊三日の座禅会をしていた。三十五年ほど前に参禅した。その後も数年間座り続け、痔になって座るのが苦痛になったのでやめた。ヨガも倉本会長の「香川ヨーガ同友会」を何年も続けたが、意欲が無くなってやめた。
 発声練習は音だけをテンポよく出すものである。発語練習は朗読などのように声に抑揚を付けたりと、より実践的なものだ。私の吃音は健常者に近づけようというだけでなく、それ以上を目指してちょうどよくなるか、と考えたりする。
 ある九州の吃音グループが、去年の夏に、吃音の体験談『吃音のある97人の体験談集』という同人誌を発刊した。私も吃音の体験談を書いて次回の募集に加わりたい。
「人間を上下関係で見て、スポーツや仕事など、全てを勝ち負けで考えている人が多い」
 と言語療法士が話していた。吃音者同士が集まると、どうしても自分の吃音と他人の様子を比べて優劣をつけるようになる。
 軽い吃音がある医師が、吃音がある小学生と、その親にテレビで言い聞かせていた。
「吃音が早く良くなる人は他人が良くなっていくのを妬まずに、自分のことのように喜べる人です。周りの人を仲間だと思い、愛情を注げるように変わっていけばいい」
 頭では分かっても、実際に、そのように思い続けるのは私にとっては難しい。
(自分だけでも早く吃音がマシになりたい)と思ってしまう。吃音があると消極的になり発言を控えることがある。性格が少し悪くなっているのだろうかと考え込んでしまう。
 今、ダイエットをしている。それにしろ、吃音改善にしろ、何事も良くしていくのは少しずつしか進まないが、たゆまず続けていこう。毎日の改善訓練に励んでいる。
            2021/6/18

 作品に目を通して頂き、ありがとうございます。

 全部で五つの作品があります。
・吃音改善訓練
・吃音を乗り越えて
・心の病
・委員長になり心が折れる
・ひとり上手

 全作品を次のホームページにも上げています。縦書きで読みやすく、最も新しいものにしています。見ていただければ幸いです。                 
https://www.okumato.com  

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 sikokut@gmail.com

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