禍話リライト 母

社会人の友人から聞いた話。

その友人の家は母子家庭で育った。彼はいい人で親孝行だった。

ある日仕事に行っていると割と早い時間から母親に
「今夜とびきりの料理を作ってあげるから夜帰っておいで」
と連絡があった。

彼は実家を出て一人暮らし。
実家は電車で1時間ぐらいの所にある。

ああそうなんだ
と思っていたら、また昼頃に
「早くおいでよ」
という連絡があった。
ちょっとしつこいな
と。
普段はそんなことなかったので
余程いい料理なんだろうな
と。
メールで
後で行くよ
って返事をした。

彼はその日残業が入ってしまい再びメールで
ちょっとすぐには行けなくて母さんごめん
と連絡すると
母親から
「早く、早く」
というメールが殺到する。
「早く。何で来ないの❔」
母親の怒り気味のメールが来る。
ちょっと待って今残業中なんだよ。なんか怖いなぁと思いながら、やっと遅くに残業が終わり、めちゃくちゃ大急ぎで電車に乗って駅に着いたら走って実家に向かった。

バン

ってドアを開けたら

家中は真っ暗なんですって。

えっあんなに連絡くれたのに❔

実家小さめのマンションで玄関を開けたらすぐリビングみたいな作りだそうで、そこにテーブルがあってその上に
ご飯、味噌汁、肉入りの野菜炒めみたいなの
が乗っててごく普通なんですよ。

「は❔お母さん❔」
って母親を探すんですけど何処にもいないんですよ。

するとその部屋には押し入れがあるんですけど、押し入れの戸を

バンバンバンバン

って叩く音がするんですって。

「まったく、お母さんの料理も普通だし何なんだよ。」って戸を開けたんですけど誰もいなくて驚いた拍子に尻餅を付いたら

女が
こっちを見てるんですって。
押し入れの下の段にいたんです。

わぁっ

って部屋から逃げ出して、怖すぎてネカフェに泊まったんですって。
 
翌日、実家に電話すると母親がでたので
「昨日は何処行ってたの❔」
「え、友人と旅行にいってたのよ。」
と…。

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