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2月の誓断【エッセイ】2/7(水)

断片的に捉えれば、それはいつも通りの日曜日であった。
普段と異なる点といえば、もうすぐ雨の音が聞こえてきそうな夜であったことと、明日・明後日は入学者選抜とその採点日の影響で、休日であるということであった。

その夜はセルフプレジャーにふけろうとも思ったがそんな気も起きないほど無気力だった。いくら長い休みがあったからと言って怠惰な自分にとっては空虚な時間でしかなかった。

ふと、スマートフォンに目を落とす。私のクラスメイトになりすましたインスタグラムのアカウントの通知がなった。どうやらインスタライブとやらをしているらしい。私は興味本位で見てみることにした。どうせなりすましのアカウントな訳だし、私が見ていることはバレないと言う考えの元だった。

見ると、私より上位のクラスの女生徒二人が映り込んでいた。どうやら翌日はディズニーランドに行くらしい。自宅学習のための時間なのにディズニーとはどうなのかと辟易としてしまった。我が校もここまで落魄れたものなのだなと感じた。かく言う私は特にその日は何もしていなかったのだが。

「今日はこれでいいや…」

私はセルフプレジャーを致した。麗しい女を見て高揚してしまったのだ。空虚で灰色に満ちた1日はカスの女二人をおかずにしたセルフプレジャーで一気に彩られた。

そして、射精する。

「ふぅ…」

そんなテンプレートのようなセリフを吐いた。

私は今世界で起きている戦争について考えた。人はなぜ争うのか、争いに意味はあるのか。その時は愚かな人類による愚かな行動の全てが憎くなった。それと同時に争いでしか解決できないことがあることも悟り、一筋の涙が伝った。

再び、スマートフォンに目を落とす。そこで私は目を疑った。彼女らがビール缶を嗜む姿がそこにはあった。勿論彼女らは20歳を超えてはいない。詰まるところ、未成年飲酒である。私は再び辟易とした。こんなのが私より頭の出来がいいなどと思いたくなかったのだ。本当に我が校も落魄れたものだ。

しかし、笑いも止まらなかったのも事実だ。私は2人の女の生殺与奪の権を握っていだからだ。

早速私は、Twitterにて彼女らの顔面を晒したが、普通にフォロワーに怒られたので削除した。

兎にも角にも今の私は賢者であり、正義マンである。私が彼女らを生徒指導室送りにしてやる。

しかし、正直優しいとも思った。私がこの情報を持って彼女らを性奴隷にしてやろうとも考えたが、素人童貞の私にそこまでの勇気はなかった。そのシチュエーションは今度のセルフプレジャーにでもとっておこうと思った。惨めな話である。

休み明けの放課後、何度もセルフプレジャーができるように撮っておいた彼女のインスタライブの画面録画を武器に学年主任と担任に話をつけに行った。

私は事細かにあったことを話した。

担任は

「身内に自分の生活を晒してるん?アホちゃうんか笑」

と笑いながら罵っていた。なんだかいつもより気さくで面白かった。

そこで学年主任が口を開く。

「これは相手から見てたことがわかるの?」

なんでこんなことを聞くのかと思ったが、相手が私のことを逆恨みすることを危惧してのことらしい。そんなことも考えなければいけない面倒な時代になったのだなと、そう思った。

私は教師と話しているうちに彼女らのインターネットリテラシーに今更ながら疑問を持った。

いくら身内とはいえ飲酒をしているところをネット上に公開するなど考えられない行為である。そんな屑に私は正義を執行した。とても気分が良かった。

私は爽やかな風に吹かれ自転車を転がした。もしかしたら生徒指導室に常駐している化学教師に体にプラグを刺されて性液を撒き散らすこととなるのかとも考えたが、そんなことはなかった。

2月の風は冷たく、私の体温を奪っていった。

「今日はこれでいいや…」

家に帰った私はそう呟いて布団に潜り込んだ。



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