嫌いな奴とテロリスト 【エセエッセイ、略してエッセイ】
どうやら僕のことを嫌っている奴がいるらしい。
仮にカスと呼ぼう。カスはおせっかいな男で、僕のクラスメイトだ。どうやら怠惰な僕のことを心配半分、呆れ半分くらいに見ているらしい。
そんな話を人伝に聞いた。カスはコミュニケーション能力が高く、学校生活も楽しく暮らしているようだ。
僕は彼のことを僕に対して害がない奴と思っていたので、嫌われていると知って無性にイライラした。ただでさえ最近悪いこと続きなのに、彼は僕のことを嘲笑って友達とヘラヘラ笑っていると思うと、虫唾が走る。
そんなこんなあったある暑い日。人も気温も嫌になるような日の数学の授業中のことだった。
女教師の金切り声が響いていたその時に、廊下の方から何やら足音が聞こえた。足音の正体は見知らぬ男で、手には何が不審なものを隠したまま教室に上がり込んできた。そのあと男はカスを机から引っ張り出して、手に持っていた何かを彼のこめかみに当てた。どうやらジップガンらしい。
僕は興奮した。学校にテロリストが来たのと、カスが死の淵に立たされている状況が面白くてたまらなかった。
興奮のあまり、テロリストの言っていたことはよくわからなかった。何やら恨みがどうとかこうとかいっていたような気がする。
カスは小便を漏らしていた。臭かったが、いい気味だった。
そのままカスはテロリストのジップガンによって頭蓋骨を貫かれた。テロリストはそのまま焦ったように走り出した。
未だかつてない興奮が止まない。
「死んだ!死んだ!!」僕は心の中で叫ぶ。
その刹那、女教師の金切り声で僕は目を覚ました。テロリストはいない。カスはいる。どうやらテロリストが来たのは、僕の夢想に過ぎなかったらしい。
「よくよく考えたら、テロリストが学校に来るわけねぇわ!アホくさ!!」
そんなことを思いながら僕は瞼を閉じて、次のテロリストを待った。
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