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「はたらくFUND」が出資する社会課題解決型のスタートアップとは?

■シリーズ:ESGの一歩先へ 社会的インパクト投資の現場から■

加藤有也_プロフィール写真

SIIF インパクトオフィサー 加藤有也

新生インパクト投資さん、みずほ銀行さんとともに日本インパクト投資2号ファンド(通称「はたらくFUND」)を立ち上げたのは2019年6月。スタートから1年3カ月が経過した現在、出資先の選定が本格化しています。

はたらくFUNDは、社会的課題を解決するスタートアップ企業への投資と支援を行うベンチャーキャピタル(VC)型インパクト投資ファンドです。少子高齢化、労働人口不足といった喫緊の社会課題に着目し、「働く人」を中心にすえ、子育てや介護、キャリアチェンジ等の様々なライフイベントを経ながらも働き続けられる環境作りと人材の創出について、投資の面からサポートしています。

ファンドサイズは総額50億円を目標としており、VC型のインパクト投資    ファンドでは国内最大級の規模です。現在までにLP投資家として機関投資家11社から参画いただきました。新型コロナウイルスの影響で、産業界は大きなダメージを受けていると思います。だからこそ社会課題解決を目指す企業を投資で支援する当ファンドの意義を感じていただいた面もあるように思います。社会の変化が加速するこの時期にインパクト投資を推進することは大きな意味を持ちうると認識しています。

はたらくFUNDがインパクト投資ファンドとして目指すのは「多様な働き方・生き方の創造」です。出資検討においては、社会的価値の創造と事業の成長が相関関係にあることを重視しています。事業モデルとしてはあくまでもベンチャーキャピタルなので、通常のVCと同じくエクイティへの投資から十分な財務的なリターンを見込めるかの判断を行います。それと同時に、社会的なリターンについて、グローバルで開発が進む評価のフレームワークを用いて評価を行います。重視しているのは投資を検討する段階から候補先企業と深いコミュニケーションを行うことです。どんな社会課題の解決をどのような戦略で達成するのかを経営陣の皆さんとともに言語化・可視化し、課題解決の可能性を高める道を考え抜こうと努力することが私たちの特徴だと感じています。

たとえば、投資先の1社である中高生向けのプログラミング教育事業を手掛けるライフイズテック株式会社は、EdTech・次世代人材育成の領域で急成長している企業です。同社は「中高生一人ひとりの可能性を最大限伸ばす」ことを掲げて、これまで延べ4万6千人以上の中高生へIT・プログラミングを学ぶ機会を届けています。出資判断において重視したのは、同社は「プログラミング教育」ということばで連想される知識やスキルの習得に留まらず、社会の課題解決をリードする人材に必要な「非認知能力」の習得を目指した教育を多面的に実践していることでした。同社の質の高いプログラムを通じて成長する中高生が増えれば増えるほど、ひとり1人の人生を生き抜く力、仲間とともに目標達成に向けて取り組む力が向上し、結果として次世代を担える人材が社会に増えていく価値を確信して出資に至りました。

もう1社、保育施設のスマート化を推進するユニファ株式会社をご紹介します。保育施設は働く世代や女性の社会進出の観点から、日本経済に欠かせない社会的なインフラです。しかし、業界では業務負荷や精神的負荷を理由に人手不足が深刻化しています。そこで同社は、AIやIoTなどのテクノロジーを活用して保育業務の負担軽減を実現しながら、子どもたちの更なる安全や保護者の皆さんへの安心を提供する「スマート保育園®」の実現を進めています。業務効率化というビジネス上の価値提供が、保育者や園長先生の業務にかかる負担を和らげ、子どもたちに向き合える時間を増やすことに繋がる。そしてその結果として保育関係者のやりがいや心のゆとりが生まれ、子どもたちと家族の幸福度が増していく、という社会的な波及効果の大きさに魅力を感じ、支援をさせて頂いています。

最近の変化として感じているのは、これまで「インパクト投資」の存在を知らなかったスタートアップ企業や投資家からの問い合わせが増えてきたことです。インパクト投資ファンドでは社会的なインパクトについての可視化・定量化を行うため、通常のVCと比べて手間がかかるという印象はあるかと思います。しかし、社会課題の解決を目指す起業家にとっては、目指すインパクトへの道筋を明確にし検証できる体制を整えていくことは、中長期の視点で経営のサイクルをぶれずに回し、社会性と事業性の「二兎を追う」経営を貫き通すためには必須のプロセスとなっていくと考えています。

われわれSIIFも、はたらくFUNDの共同運営者のひとりとして投資先を支援し「インパクト企業によるIPO」の実現を後押ししたいと考えています。日本社会とインパクト投資のエコシステムにとって先例となる社会課題解決型のスタートアップの成長を、投資を通じて支えていきます。その結果、はたらくFUND自身がファンドとして目標を達成するだけではなく、多くの投資家やスタートアップ企業がインパクト投資に興味を持つきっかけになるモデルとなることができれば理想です。



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