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すごいイラストレーターを見つけた

素敵なイラストレーターさんの本をC104で買ったので感想です。

(感想といっても、なかなか言語化できずに「何か」とか曖昧な表現を結構使っていますが、美術的な作品の感想なので言語化できないものこそ価値がある、とも思っているのでご理解いただけますと嬉しいです。イラスト現物を見ていただけますととなおうれしいです☺)

ご紹介するのは先日のC104で頒布された、あかもくさん(サークル「モクモクセイ」さん
)の創作新刊2冊です。

買おうと思った経緯

とある創作(?)宿で手に取った「ILLUSTRATION 2024」でいいなと思って、コミケ出ているのかなと調べたら出展されていて、購入してみました。
Vtuberやゲームキャラ、初音ミクのお仕事もされているみたいですが、それつながりではなく、何となくイラストそのものに興味が湧いて足を運んだ次第です。

「可愛いイラスト本」を超越した何かを感じる

メインとなる新刊は「セピアモーメントリフレイン」「かたとき。」の2冊構成ですが、先に読んだ「セピアモーメントリフレイン」がとても心に響きました。
「ILLUSTRATION 2024」の一枚からも感じたのですが、透き通ったような色のきれいさが素敵です。なんというのだろう、心が洗われるってこのような感覚なのでしょうか。
モクモクの入道雲。紙越しでも眩しさを感じる、目に飛んできそうな花火。
登場人物がとても可愛いのですが、かわいい女の子のイラストを超越した「何か」を感じました。
自分が体験したことが無くても、子供の頃の感性を呼び覚まし、イラストの世界に呼び込んでくれる、そんな感覚です。

「かたとき。」のほうは、ちょっと別世界に行ったような体験ができる、ドラえもんのような不思議な本です。色使いも「セピアモーメントリフレイン」に比べて現実感が少ないのがわかります。「セピアモーメントリフレイン」についても言えるなのですが、読んでる最中、「こんな子と一緒にいたい!」と思いつつ、「いまは私は楽しいことをしているんだ」という感覚さえ感じる、臨場感あふれて、引き込まれていくイラストの力強さがあります。

2冊ともイラストだけで構成されているのではなく、まえがき、あとがきとメッセージがしっかりと添えられており、登場人物の設定も書いてあるのが特徴かなと思います。私は作品の背景を調べるのが好きなので、解説が書いてあると、とてもうれしいのですが、その内容もとても良くて良くて……
「セピアモーメントリフレイン」は、決して「二度と戻ってこない少年少女時代の夏の思い出を思い出してもらう(そして現実に引き戻され絶望する)」本ではないのです。メッセージもそうですが、最後のイラストが、現実に寄り添ってくれる感覚を感じます。大人になっても、現実を生きながら、昔の感性を呼び覚ましてくれる、読者に寄り添ってくれる優しい一冊です。

自分の好きなものがわかっていく

そして、自分の感性って何だろうなって考えさせてくれる本でもあります。
私はイラストを見るのが好きで、最近は美術鑑賞にも興味があります。そのなかで自分の心を動かされるものは何だろう?と考えていました。
自分は作家さんが感じた感性や素直な気持ちがストレートに表現される作品がとても好きで、その中でもほかの媒体(イラストであれば、小説や写真など)で表現できない方法で表現している作品がとても素敵と感じるんだなと気づきました。あかもくさんの作品もその一つで、その作品を見たことで自分が良いと感じるものを発見したので、とても嬉しく思います。

感性、すり減ってなかった

(ここからは感想ではなく、自分の話になります)
ここ1~2年ぐらい、社会で生きる中で、自分の感性をすりつぶすような体験をしました。忙しくなる仕事もそうですし、プライベートでも自ら望んでそういう体験をしに行ったことすらあります。何故自ら望んだかというと、自分の感性がすりつぶされていくが自覚できず、むしろその行為が自分のためになると思っていたからです。もちろん実際にやってみないとわからないこともあるし、その社会の中での経験などは無駄だったとは思っていません。けれどやはり、自分が大切にしていた嗜好や感覚が抑圧されていました。
長い休みに入り、ようやくその「すりつぶし」を自覚しましたが、コミケの体験を得て、新しい発見をして、思いました。

良かった、感性はまだすり減っていなかった。

学生の頃より時間はない。将来のプレッシャーもある。忍び寄ってくる「普通」の「価値観」、SNSの暴力とも戦わねばいけない。「いいもの」を鑑賞する余裕は減っていく。
でも、昔より言語化能力は上がっているし、それによって自分の好きなもの、自分が欲しいものが明らかになっていくから、より密度の濃い芸術体験をすることができるはず。学生の頃のように何がいいのかよくわからないまま、シャワーを浴びるかのようにアニメを見なくてもいい。感性はまだ死んでいない。それどころが、もっと研ぎ澄ませることができる。学生の頃よりいい体験ができる。
そんな希望を持つことができました。

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