彼と推しと私と推し④

ただこの名探偵、何がダメって、犯人に対して優しすぎるし涙脆いこと。急にしーちゃんが泣き始めて(いつものことじゃあるんだけど)さすがに驚いた。何で泣いてるのか、半ニヤケで聞いてしまってた。

「我慢してもらって申し訳ないな、と思って。」

って大泣きし始めた。あまりにも面白くて笑ってしまった。そんなことで泣く人おるんや、って。

でも、お陰で張り詰めてた私の感情がすごく楽になった。いつも思うけど、大事な話の時、しーちゃんが先に大泣きしてくれるから、面白くなって来て、私はいつも気持ちが楽でいられる。

とりあえず、しーちゃんが落ち着くまで待って、「私が発破をかけたのに、嫉妬しちゃってるの申し訳なかった。」「推しの卒業で意外と精神的に来てるのかも。」って、一つ一つ思ってたことを説明した。

ぐずぐずになりながら、一つ一つ頷いてくれて、「私が悪い」ってニュアンスの言葉は全部首振ってくれて。いつもいつもこうなるって、分かっちゃいるんだけど、本当に優しい人だな、と思った。

全部話し終えて、「ごめんね。」って謝ったら、「謝らんでいいよ。」って。何故かしーちゃんが正座し始めて、「気づいてあげられんでごめんなさい。」って謝られてしまった。思わず笑ってしまう。

笑われたの不服そうにしながら、
「嫉妬することは悪くないし、嫉妬されるの正直嬉しい。そんなに好きでいてもらえるの、本当嬉しいけん。」
って、また大粒の涙流しながら。あまりにも泣くから、心配になったので水持って来たら、それでまた泣いちゃうし。

「じゃあ、今日のライブも楽しくなかった?」
「いや、それは楽しかったんよ。全然嫉妬とかせんかったし。このちゃんがいっちゃん可愛かったね!」
「・・・えぇ?じゃあ、結局俺はどうすればいいと?」

いや、そりゃそうなるよね。
応援しろ→でも嫉妬するわ→意外と平気だったわ
どうしろと。

「ごめん、それが分からんっちゃん。」
どうして欲しいなんてなくて、ただこういう気持ちになったことを聞いて欲しかっただけ。しーちゃんからしたら、どうしようもないことを聞かされてるだけ。私のためにないてくれてる彼を見て、さらに申し訳ない気持ちだった。

今度は、しーちゃんが急に両手を握って来て
「俺、りんちゃんのこと大好きよ。」って唐突な告白。
あ、私に気持ちが伝わってない、って思ったのか。

「知っとーよ。」
「知っとーと!?」

しーちゃんの私への気持ちなんて、私のこと大嫌いな私にすら分かる。何でか理解は全然できないけど、この人が私のことを好きで好きで堪らないのは分かる。書いてて恥ずかしいけど。

まぁ、しーちゃんの、どうにかしてあげたいって必死な気持ちは伝わってきて、すごく嬉しかった。

「ごめんね。聞いて欲しかっただけなんよ。」
「これからも嫉妬するかもしれんし、理不尽かもしれんけど、上手く付き合ってくれる?」
私の精一杯の彼への甘え。
頷いてくれるのなんて分かりきってた。

その日の夜はとびきり優し?かった。
何か理由もなく、うなされるように私のこと「可愛い」とか「好き」って言って来て、アホかと思った。

ただ、推しのファンメールが送られて来た通知を、私に気を使って無視しようとしたから、私が拷問のように無理やり彼に開かせた。
送られてきた「推しが髪を解く映像」を無理やり見せて、「可愛いか?どうだ?言ってみろ。」「ハイカワイイデス。」なんて拷問してるの世界でウチだけだと思う。
彼の中では消化し切れなかったかもだけれど、私はそういうことが出来るくらいには消化できていた。

今日もこれから、「私の前で推しが出てる番組を見て、思ったことを正直に言ってもらう拷問」を受けてもらう。・・・なんか、そういう風に捉えたら、少しだけ楽しくなって来ちゃってる。本当性格悪いな、とは思いつつも。彼も申し訳なさそうに恥ずかしそうにするから、それが可愛くて可愛くて。

あぁ、めちゃくちゃシリアスに考えてたのバカみたいだな、ってところに着地しちゃったけれど、多分それもこれも、しーちゃんのおかげだと思う。私の代わりに泣いてくれて、気を使ってくれる。それでいて、私といることを幸せだって言ってくれる。

私が責任を取って、ちゃんと推させますんで、松田好花ちゃん、これからもご活躍のほどよろしくお願いいたします。
(私も、推しが推せないところに行っちゃったら、推させて頂きます。。。)

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